○米原市職員コンプライアンス行動指針
平成30年2月23日
訓令第5号
目次
1 策定趣旨
2 コンプライアンスとは
3 コンプライアンス推進目標
4 コンプライアンス実践行動
(1) 法令を遵守した適正な事務の執行
(2) 公務員倫理・服務規律の徹底
(3) 情報の適正管理
(4) 人権の尊重
(5) 交通法規の遵守
(6) ハラスメントの防止
(7) 不当要求への対応
(8) 挨拶、身だしなみ
(9) 活力ある風通しの良い職場づくり
(10) 業務改善の推進
(11) 公益通報の徹底
5 コンプライアンス推進体制
1 策定趣旨
私たち地方公共団体が市政運営を円滑に進めるためには、市民の信頼が大きな基礎になります。
しかしながら、本市においては、平成17年の合併以降、職員による不祥事が後を絶たない状況が続いており、その信頼が大きく揺らいでいます。職員による違法行為や職員の不注意に起因する事務処理ミス等の不祥事が発生すると、市政運営全般に支障が生じることを、全ての職員が認識し、組織としてコンプライアンスの取組を進めていく必要があります。
この指針は、全ての職員が二度と不祥事を起こさないという強い決意の下に、もう一度、公務員としての高い倫理意識を持ち、コンプライアンス行動を実践することにより、米原市役所が市民から信頼される組織となることを目指し、平成24年10月17日に策定した米原市職員コンプライアンス行動指針を全部改定し、職員が常に意識すべき行動指針として新たに定めるものです。
※この指針において、「職員」とは、非常勤職員および臨時の職として任用される臨時的任用職員を含みます。
2 コンプライアンスとは
コンプライアンス(compliance)とは、一般的に「法令遵守」と訳されます。また、コンプライアンスは、社会的な信用失墜行為が発生することを未然に防ぐという考え方を背景にしていることから、法令や訓令類だけでなく、社会規範、ルールおよびマナーの遵守も含まれます。
※「法令」には、憲法をはじめ法律、政令、省令、条例、規則に加え、職員に対してのみ適用される訓令類も含みます。
◇ 職員のコンプライアンス意識向上に向けて 職員は、勤務時間内外を問わず常に法令等を遵守するのは当然のことです。 その上で、法令等により禁止されていなくても「市民の信頼を損なう行為」は、行ってはいけません。逆に、法令等に義務付けがなくても「それを行うことで市民の満足度が向上するサービス、市民の福祉が向上するサービス」については、積極的に取り組もうとする高い意識を持つべきです。 これまでの反省に立ち、職員のコンプライアンス意識の向上に取り組み、この実践により市の組織から市民の信頼を損なうような事案の発生を断ち切ることで、「コンプライアンス意識が高い職員が働く、信頼できる組織」であり続けなければなりません。 上記により、市民の方々からの評価を得ることで多くの職員がやりがいと誇りを持ち、誠実に職務に取り組む米原市役所になることを目的とします。 |
3 コンプライアンス推進目標
私たち職員は、もう一度、公務員としての原点に立ち返り、一人一人が公務員としての高い倫理観を持ち、コンプライアンス行動を実践することにより、市民から信頼される市役所、市民が安心して生活できる市政運営を目指します。
4 コンプライアンス実践行動
コンプライアンス推進目標を達成するために必要となる実践行動を次の11項目に分け、それぞれを職員一人一人が認識し、実践することとします。
なお、具体的な内容は、別紙実践行動計画として整理し、所属ごとに管理できるようにします。
(1) 法令を遵守した適正な事務の執行 (2) 公務員倫理・服務規律の徹底 (3) 情報の適正管理 (4) 人権の尊重 (5) 交通法規の遵守 (6) ハラスメントの防止 | (7) 不当要求への対応 (8) 挨拶、身だしなみ (9) 活力ある風通しの良い職場づくり (10) 業務改善の推進 (11) 公益通報の徹底 |
(1) 法令を遵守した適正な事務の執行
事務の執行については、常に根拠となる関係法令等を十分に理解して、正確な手続により日々の職務を遂行しなければなりません。
◎ 法令等に違反した事務処理の禁止(地方自治法第2条第16項)
地方公共団体は、法令や県の条例に違反して事務を処理してはいけません。 |
◎ 法令等および上司の職務上の命令に従う義務(地方公務員法第32条)
私たちの職務は全て、法令等に定められた規定によって遂行しなければなりません。したがって、私たちは法令により定められた事柄には忠実に従わなければなりません。 |
◇ 業務への取組姿勢
① 職務の遂行に当たっては、前例踏襲に陥ることなく、常に根拠法令の確認を行うこと。 ② 現行の法令や市が展開する施策や制度が、市民からの現実の要望に合致しないときは、制度などの見直しや組織としての対応策を提案すること。 ③ 職場内などでの法令違反行為を知ったときは、これを隠ぺいまたは見過ごすことなく、上司への相談などに適切に対処し、相談を受けた上司や管理職も、迅速かつ的確に対応すること。 |
(2) 公務員倫理・服務規律の徹底
職員として当然に守るべき原則が、地方公務員法や米原市職員の倫理の保持に関する条例(令和5年米原市条例第5号)、米原市職員倫理規則(令和5年米原市規則第12号)などに規定されています。これらの服務の根本原則を確認し、厳守しなければなりません。
また、業務を進めていくに当たっては、様々な場面や利害関係の中で、職員として判断し行動することが求められます。市役所は市民の役に立つところでなければなりません。私たちの仕事は市民との信頼関係の上に成り立っています。「その判断は市民に説明できるのか。」このことを自問しながら、米原市職員として行動することが重要です。
◎ 服務の根本基準(地方公務員法第30条)
私たちは、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければなりません。 |
◎ 信用失墜行為の禁止(地方公務員法第33条)
私たちは、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務することが求められます。職員として、職務遂行中はもちろん、勤務時間外にあっても市の信用に傷を付けたり、市民の信頼を裏切るような行為は一切許されません。 |
◎ 職務に専念する義務(地方公務員法第35条)
私たちは勤務時間中、全力を挙げて職務の遂行に専念しなければなりません。 |
◎ 政治的行為の制限(地方公務員法第36条)
私たちの属する地方行政は、政治に関わりなく、法令等に従って中立かつ公正に運営されなければなりません。また、職員の政治的な中立性を確保することによって、職員を政治的な影響から離し、その身分を安定したものにすることができます。 |
◎ 争議行為の禁止(地方公務員法第37条第1項)
争議行為(ストライキ、時間内職場集会、一斉休暇・超過勤務拒否など)を行うことは、私たちの公務員としての地位の特性と職務の公共性から、市民生活に重大な影響を及ぼすため禁止されています。 |
◎ 営利企業等の従事制限(地方公務員法第38条第1項)
職員が営利企業等に従事することは、以下に掲げるような懸念を生じるおそれがあることから、制限が課されています。 ①職務の公正が害されるおそれ ②職務に対する集中を欠き、職務専念義務をないがしろにするおそれ ③職員の品位を損ない、職員の職全体に対する信用を失墜するおそれ |
◎ 服務の宣誓(米原市職員の服務の宣誓に関する条例(平成17年米原市条例第24号))
地方公務員法第31条には「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。」と定められており、私たちは、新規採用の発令の後、宣誓書に署名をしました。 |
宣誓書 私は、ここに主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、かつ、擁護することを固く誓います。 私は、地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います。 私は、米原市における最高規範である米原市自治基本条例を遵守し、自主および自立の理念のもと公益のために誠実に職務を果たすことを固く誓います。 |
この「全体の奉仕者」という規定は、私たちが実際に勤務している時間だけでなく、勤務時間外や休暇中、休職期間中のような、実際に勤務をしていない場合にも該当します。
つまり、私たちは職務を遂行するに当たって守るべき職務上の義務だけを遵守していれば良いのではありません。公私にわたって常に高い倫理観を持ち、広く公共の利益に尽くす心掛けを持たなければなりません。
私たちが市民の皆様からいただいている信頼は、ひとえに私たちが地方公務員であることに由来しています。職場を離れても公務員であることの自覚を持ち続け、勤務時間中は当然のこと、勤務時間外も含めた24時間、服務規律を守らなければなりません。
(3) 情報の適正管理
私たちが職務を遂行していく上で知り得る情報の中には、公開されることによって公共の利益が著しく損なわれるものや、個人のプライバシーに関わるものが多く存在します。これら情報の取扱いに万全を期すことも、市民の皆様に対する私たちの責任です。
◎ 職務上知り得た秘密を守る義務(地方公務員法第34条第1項)
私たちは、職務上知り得た秘密を漏らしてはいけません。また、退職後も同じです。 |
◎ 市政運営に関する情報は市民の財産(米原市情報公開条例(平成17年米原市条例第4号)・米原市文書取扱規程(平成17年米原市訓令第6号))
市政運営に関する情報は市民の財産であるという基本的認識の下、公文書の作成、保存等については、適正に行わなければなりません。 職員が作成または取得した文書で、組織で共有しているものは、それがメモ書きであっても公文書に該当します。常に情報の公開を意識した事務処理を行います。 |
◎ 個人情報の保護・情報セキュリティ(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)および米原市個人情報の保護に関する法律施行条例(令和5年米原市条例第2号)・米原市情報セキュリティ基本方針(平成29年7月改訂))
職員は、職場にどのような個人情報が存在するのか把握し、個人情報の重要性や情報漏えいの危険性を認識した上、適正に取り扱わなければなりません。 |
(4) 人権の尊重
人権は、誰もが生まれながらにして持ち、人間らしく生活していくための誰からも侵されることのない基本的権利です。性別・国籍・出身地、学歴等に捉われず、お互いが対等の立場に立って、お互いの人権を認め合うことが不可欠です。
また、障がいなどを理由として、必要な市民サービスを受けられないまたは支援が必要な人には、積極的な支援や社会的障壁の除去など、合理的配慮が必要です。
◎ 人権尊重都市宣言(平成18年米原市告示第223号)
◎ 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する米原市職員対応要領(平成28年11月策定)
(5) 交通法規の遵守
公務内外を問わず、車を運転する場合は、交通法規を遵守するとともに、事故防止や安全運転に努め、特に、飲酒運転は絶対に行ってはなりません。平成24年4月に懲戒指針の全面改定を行い、職員が飲酒運転に関与した場合、原則として免職とする厳しい処分が科されます。
◎ 米原市職員交通事故・交通違反防止マニュアル(平成26年8月策定)
(6) ハラスメントの防止
職員は、職場内外において、全てのハラスメントを行ってはいけません。
① セクシュアルハラスメントの禁止 相手の意に反し不快にさせる、性的な関心や欲求に基づく言動、性別により役割を分担すべきとする意識に基づく言動等を行ってはいけません。 ② パワーハラスメントの禁止 職務上の地位や権限を利用し、業務指導の範囲を逸脱した人格や人間性を否定するような言動等を行ってはいけません。 ③ モラルハラスメントの禁止 相手に対して言葉や態度による執拗な攻撃や無視を繰り返し、尊厳を傷付ける、心身に損傷を与える言動等を行ってはいけません。 |
(7) 不当要求への対応
市民社会の秩序・安全に脅威を与える反社会的勢力には組織として毅然として対応し、不当要求や公正な職務の遂行を妨げる行為があった場合には、断固拒否しなければなりません。
(8) 挨拶、身だしなみ
市民の皆様に不快感を与えることは、市政に対する信頼感の低下を招きます。勤務時間中は職務の状況に応じた、清潔感のある服装や身だしなみを整え、職員としての自覚と心構えを持って、明るい挨拶で親切、丁寧な対応をします。
◎ 米原市職員接遇マニュアル(平成25年3月策定)
(9) 活力ある風通しの良い職場づくり
職場の風通しが良く、職員が相互に支え合い、上司や同僚ともきめ細やかな意思疎通ができる雰囲気があることは、組織に活力も生まれ、コンプライアンス意識の向上に大きな効果があります。
職員相互の情報交換や対話を深め、課題や悩みを共有しながら、意欲的に職務遂行できるような職場環境づくりを進めなければなりません。
(10) 業務改善の推進
業務改善の取組は、働きやすい職場づくりを進めるとともに、健全な職場環境づくりにつながります。現在、身近なところから仕事の進め方や職場環境の改善を図ることを目的として、全庁的な業務改善の取組を進めています。この取組においては、職員自身の提案によるボトムアップ型の業務改善も進めており、職員の意識改革および組織の活性化を推進し、行政の効率化および市民サービスの向上を目指し、各所属で積極的に取り組みます。
また、管理職は事務処理体制の点検・改善として、日常の指導や事務処理の方法等について、適宜点検を行い、トラブルにつながるようなものがあれば、直ちに改善を指示するようにします。
(11) 公益通報の徹底
「これは、法令や社会的常識に反しているのではないか」「このままでは市民の信頼を失うのではないか」と感じる場面に遭遇した場合には、これを見逃すことなく、公益通報制度に基づき、総務部総務課長へ通報します。
職員からの通報が、市職員全体の自浄につながり、ひいては、当該職員のみならず職員全体を救うことになります。
通報に関する事項は、公益通報処理委員会で適正に調査し、その情報は慎重に取扱い、通報者が特定されないよう配慮しますので、通報者が不利益を受けることはありません。
5 コンプライアンス推進体制
コンプライアンスの推進を庁内で徹底するため、コンプライアンス推進会議(部長会議)を中心とした推進体制を組織します。また、コンプライアンス推進のための具体策の策定およびその実施に当たり、専門的立場から助言等を得るため外部委員を招へい(随時)します。
① コンプライアンス推進統括管理者
コンプライアンス推進統括管理者は、副市長とし、市役所全体におけるコンプライアンスの推進を統括します。
② コンプライアンス推進管理者
各部におけるコンプライアンスの推進を目的に、部内の状況把握、相談、指導等を行うコンプライアンス推進管理者は、部長会議の構成員とします。
コンプライアンス推進管理者は、部内のコンプライアンス意識の形成に努め、率先して範を示すとともに、コンプライアンスの推進状況を常に把握し、その進捗における成果や課題を必要に応じてコンプライアンス推進会議(部長会議)に報告します。
③ コンプライアンス推進リーダー
職域内でのコンプライアンスの取組を円滑に推進することを目的に、各所属長をコンプライアンス推進リーダーとし、チェックリストによる定期的な所属内の問題点を把握し、必要な対策を講じるとともに、職員に対する指導、研修などを実施します。
また、法令違反や事故などを確認したときは、速やかにコンプライアンス推進管理者へ報告し、是正措置および再発防止策を講じます。
④ コンプライアンス推進員
グループ内でのコンプライアンスの取組を推進すること目的に、各グループリーダーをコンプライアンス推進員とします。コンプライアンス推進リーダーと連携しながら、各所属におけるコンプライアンスの向上を図るとともに、風通しを良くし、仲間同士で助け合うグループ力の向上を目指します。
⑤ 各委員会との関係
本市では、それぞれのコンプライアンス事案を調査、審議するための機関として、米原市職員倫理委員会、米原市ハラスメント処理委員会、公益通報処理委員会があり、そのそれぞれの事案については、必要に応じて、コンプライアンス推進会議で情報共有します。
○コンプライアンス推進体制図
付則(令和2年2月20日訓令第1号)
この訓令は、令和2年4月1日から施行する。
付則(令和5年4月1日訓令第6号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
付則(令和5年4月1日訓令第17号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。