施政方針(平成28年第1回米原市議会定例会)

更新日:2017年11月30日

平成28年度 米原市施政方針

 平成28年 米原市議会 第1回定例会の開催に当たりまして、市民のみなさまと議会のみなさまに、私の平成28年度における市政運営の基本的な考え方と新年度当初予算における重点取組事項について述べさせていただきます。

市政運営の基本方針

 私が2期目となる市政の重責を担わせていただいてから、はや4年目を迎えようとしています。
 これまで、地域に元気や賑わいがあふれ、あらゆる世代の人々が、将来に夢と希望を持つことができるまち「希望都市 まいばら」の実現を目指し、子育て支援や少子化対策、また、高齢者をはじめとする市民のみなさまが、安心して暮らすことができるまちづくりに取り組んでまいりました。

 米原市の未来を創る上で、何に価値を置いていくのか、何を求めていくのか、私は、生きる喜び、支え合い、安心な暮らしの中心に、「人や地域を大切にする」という理念を持つことだと考えています。
 地域に寄り添い、市民とともに考え、共に歩むこと、すなわち、市民や地域、とりわけ若者、女性、子どもたちに寄り添いながら期待や希望に応えていくことが、人口減少や地域疲弊といった課題の根本的な解決につながるものと考えています。

 今、時代は「田園回帰」と言われるように、若い人たちは必ずしも都会志向ではありません。
 未来の担い手である若い人たちは、人間らしく生きることに関心を持っておられます。
 ゆったりとした生活の中で、安心して子育てができる、安心して暮らせるといった、暮らしの豊かさを重視しています。

 選択と集中という言葉がありますが、一方で多様性を認めていく、共生していくという言葉もあります。経済や成長と向き合いながら、人をどのように大切にするのか、暮らしをどれだけ豊かにするのか。
 今、未来に対して、どのような創造力や構想力を持っているのかがまちづくりに問われています。

 米原市は、新幹線停車駅という滋賀県唯一の交通社会資本を備え、滋賀県最高峰の伊吹山から琵琶湖にいたる豊かな自然に育まれた「びわ湖の素」のまちです。

 大都市に近接しながらも、四季のうつろいを楽しみながら、彩のある暮らしが実感できるまちです。

 私たちは、これまでの合併10年間のまちづくりの中で、米原市ならではの個性あるオンリーワンのまちづくりを目指し、地域とともに歩んできました。
 このことに自信と誇りを持ちながら、本市の魅力を最大限に生かした個性ある地方創生、「米原創生」を着実に進めてまいりたいと考えています。

平成28年度施策の骨格指針および予算編成方針

 さて、こうした中、平成28年度の施策構築に当たりましては、第1次 米原市総合計画の最終年度であることを踏まえ、総合計画に掲げる各種施策と、私が、市民のみなさまとお約束した政策提案事項の総仕上げ、そして、これに関連する未来へつなぐ職員力事業に、取り組むこととしました。

 また、平成27年度に策定しました「まち・ひと・しごと 米原創生総合戦略」の基本目標、
「女性や若者が活躍するまちを創る」、
「若者世帯が移り住むまちを創る」、
「滋賀県一子育てしやすいまちを創る」、
「駅を核として、地域と地域を結ぶステキなまちを創る」については、希望都市 まいばらの目指すまちづくりと同一線上にあることから、これらを一体的・効果的に展開するため、次の4項目を、重点取組事項として掲げました。

1つ目は、「子どもや女性、若者等が未来に夢を持てるまちづくり」
2つ目は、「生き生きと健やかに暮らせる支え合いのまちづくり」
3つ目は、「安全で安心して暮らせる持続可能なまちづくり」
4つ目は、「地域と市民に寄り添い、共に歩む未来創生のまちづくり」 です。

 平成28年度の予算編成においては、合併10年を超え、もはや合併新市ではない新たな米原市のスタート年度とすることを念頭に、市民の皆さんが、将来に夢と希望を持てる米原創生を着実なものとするため、また、新たな総合計画の議論においても「つなぐ」をキーワードに、人と人、地域とそこに暮らす人々がつながり育み合うこと、過去・現在・未来へと時をつなぐまちづくりをテーマとしていることから、地域の声を聴き、市民とともに考える姿勢、市民一人一人に寄り添う気持ちを持ち「住んで良かった」と実感していただける予算を作り上げることを基本としました。

 また、貴重な財源確保と住民負担の公平の観点から、市税等の収納率向上に努めるとともに、現場主義に立った創意工夫による施策展開や、市民サービスの取組の推進と、他の部局と協力して施策を推進するほうが、より早く効果的に目的を達成できる施策については、組織を横断した横連携で取り組むこととし、庁内議論を深めながらまとめさせていただきました。

 それでは、平成28年度予算における、重点取組事項に係る主要事業について説明させていただきます。

1) 子どもや女性、若者等が未来に夢を持てるまちづくり

 まず、1点目は「子どもや女性、若者等が未来に夢を持てるまちづくり」についてです。
 米原市の人口動向について、年齢階級別 人口移動の状況の推移をみると、20代の人口が男女ともに転出超過となり、進学や就職等で転出した若年層の3分の1程度は、20代後半以降に、米原市に戻ってきますが、若年層の3分の2程度は流出しています。この傾向が過去30年間続いています。

 このままの人口動向が続けば、生産年齢人口の減少による税収等の減少や社会保障費用の高止まりなど、行政サービスの継続的、安定的な提供が困難になるほか、自治会の運営や教育環境の維持など、子どもたちの将来に大きな影響を与えることが予測されます。

 これらを克服するためには、20歳から30歳代を中心とした生産年齢人口の流出抑制と転入促進を目指す必要があります。
 子育て支援をはじめ、女性や若者の暮らしの安定につながる就労や居住の支援、男女の働き方、育児の在り方の変革など、出会い、結婚、妊娠、出産、子育ての各段階に応じた少子化対策を総合的に推進するとともに、米原だからこそ学び、体験できる特色ある環境を生かし、子どもたちが安心して伸び伸びと育ち、誰もが自分の将来に、夢を描きながら育つことができるまちづくりを展開する必要があります。

 特に、女性の視点から見て、暮らしやすい施策や制度を構築することは、同時に、女性も男性も共に輝く社会、ひいては、子ども、若者、高齢者など、全ての人にとって暮らしやすい社会をつくることにつながります。
 このため、「県内一子育てしやすいまち」の実現を目指し、女性が日々の暮らしに生きがいや充実感をもって、家庭や地域、職場で、輝ける施策の構築に取り組んでまいります。
 具体的には、引き続き中学3年生までの医療費無料化と、0歳児から5歳児までの第2子以降の保育料無料化を継続し、子育て世代の経済負担の軽減を図ります。

 また、(仮称)まいばら認定こども園の施設整備をはじめ、社会福祉法人が実施する 米原保育園の施設整備の支援、いぶき認定こども園の大規模修繕など、就学前教育、保育環境の充実に取り組んでまいります。

 さらに、放課後児童クラブを安全確実に運営するため、受入体制の充実を図るとともに、地域での子育て支え合い活動を支援する「ファミリー・サポート・センター事業」を活用し、放課後児童クラブ終了後の子どもの預かりや、休校時における子どもの預かりなど、保護者ニーズに応える仕組みとして、利用の拡大を図り、安心して働くことができる環境づくりに努めてまいります。
 また、平成27年10月に開設しました米原市地域包括医療福祉センター「ふくしあ」では、4月から「病児・病後児保育室おおぞら」と「児童発達支援センターてらす」を開所いたします。
 このことにより、病気になった時の一時保育サービスや養護学校等に在籍されている児童等のみなさんが、放課後や長期休暇中に、安心して過ごしていただける放課後等デイサービスを、御利用いただけます。

 これからも、仕事と子育てを両立しながら、安心して働くことができる環境の充実を図り、子育て家庭の支援に取組んでまいります。

 少子化や核家族化によって、野外で遊ぶ場、多くの大人に見守られて育まれる暮らしの場が不足しています。
 市民と市の協働のまちづくり「まいばら協働提案事業」から始まった「冒険遊び場」は、子どもたちが自由に、のびのびと野外で遊べる居場所として広がりを見せており、子どもを抱える親の相談の場、地域のお年寄りが見守り人として参加する場として、世代を超えた交流が行われています。
 こうした「冒険遊び場」を、米原市の豊かな自然や水に親しむことのできる身近な遊び場として市内全域へ拡大し、子どもの野外遊びの推進と地域で子どもを育てていこうとする機運を高めてまいります。

 女性の社会参加が進むことは、若い世代の経済的基盤を安定させ、子育て条件を整えることになります。
 しかし、重要なことは、女性にとって、子育てか仕事かの選択ではなく、両立できること、女性や男性が、共に働き続けることができる環境、仕事と生活の調和が図られることが、何よりも重要です。

 このため、女性の活躍や男女のワーク・ライフ・バランスの推進など、市役所から率先して日本の少子化問題を解決していく意識や姿勢を持ち、育児を社会全体で分担する仕組みを、作ってまいりたいと考えています。

 少子化による児童・生徒数の減少は、市内全ての教育現場、地域の共通課題です。しかし、私は、小規模だからこそ、一人一人の子どもに寄り添ったきめ細かな教育や、家庭や学校、地域が力を合わせ、みんなで子どもの成長を応援することができる良さがあると考えています。

 小中学校では、きめ細かで質の高い教育を行うため、引き続き市独自の取組として講師を任用し、全ての小中学校、全ての学級で35人学級による指導充実を図ります。
 また、電子黒板、デジタル教科書等ICT機器を導入した授業を実施し、子どもたちが自ら進んで学ぼうとする力を育ててまいります。

 さらに、平成27年度に、柏原中学校区、河南中学校区で実施しました、地域と学校をつなぎ、地域が学校を支援し、地域に根ざした教育を行う「学校支援地域本部事業」を、米原中学校区、伊吹山中学校区に拡大するとともに、保護者や地域の人々の持つ豊かで専門的な知識や技能、さまざまな大人と交流し、生き方を学べる機会、地域の自然や文化などを学習に取り入れる地域に根ざした「特色ある学校づくり事業」を推進し、生まれ育った米原市を愛し、誇りに思う心を育んでまいります。

 また、子どもの成長において集団の経験を積むことは重要です。
 互いの学校を訪問して、合同授業や合同行事を行う小規模校交流事業や、小中学校9年間を見通した指導方法により、いわゆる「中1ギャップ」の解消に努める小中連携教育を展開し、小規模校における交流事業を推進してまいります。
 小中学生の安全で快適な学校施設整備につきましては、大東中学校のトイレの洋式化をはじめ、柏原中学校のエレベータ設置、大原小学校と河南小学校のグラウンド整備設計を進めます。

 また、中長期的な観点から、計画的な施設整備を進めるため学校施設長寿命化整備計画を策定してまいります。

 また、地方創生の取組の中で企業と連携し、市内に住む子ども向けに体力や運動能力の向上を目指し、ICTを活用した子どもの健康増進プログラムの実証を継続して実施します。

 また、包括連携協定を締結した青山学院大学との連携についても、英語教育等の分野で連携を図るなど、教育環境の充実に取り組んでまいります。

 地域に元気や賑わいを取り戻すには、若者の定住が不可欠です。
 米原の未来を切り開く若者や女性の起業創業支援として、創業支援事業者(商工会)が開催する創業塾や創業セミナーを支援します。

 また、首都圏で暮らす移住希望者をターゲットとして、米原市の魅力を発信するとともに、UIJターン就職希望者登録制度を活用し、雇用の促進と移住定住による人口増加につなげてまいります。

 豊かな自然環境は、米原市の強みです。
 この自然環境を生かし、農業に取り組みたいと考える若者等の夢を応援するため、新規就農者の育成を目的とした研修を支援します。

 また、園芸作物の振興を図るため、ビニールハウスの施設整備支援を新たに実施し、新規就農者の確保に向けた受入体制の充実と、新たな担い手の発掘に取り組んでまいります。

 また、国道8号バイパス沿いの農産物直売所については、地元の新鮮な農産物の地産地消を推進する施設として、引き続き検討してまいります。

2) 生き生きと健やかに暮らせる支え合いのまちづくり

 次に、2点目の重点取組事項である「生き生きと健やかに暮らせる支え合いのまちづくり」についてです。

 これまでの福祉サービスは、高齢者、児童、障がい者など、対象ごとに充実発展してきました。
 その一方で、共働き世帯や高齢者の増加により、子育てや介護の支援が、これまで以上に必要となる中、核家族化、ひとり親世帯の増加、地域のつながりの希薄化など、家庭や地域の支える力が低下しています。

 こうした課題に対し、地域全体で支える力を構築することが求められており、いわゆる互助、共助の取組を育みつつ、分野を問わず、包括的に相談・支援を行うことを可能とすることが求められています。

 「住み慣れた地域で最後まで安心して暮らしたい」、こうした市民の願いに応えるため、地域内で高齢者など、誰もが集える拠点を作り、地域内で互いに助け合う、互助の仕組みを作る 「地域お茶の間創造事業」は、平成25年度、平成26年度のモデル期間を経て、平成27年度から常設制度として事業を進めており、地域内での児童の見守りなど、事業拡充に取り組んでいます。

 現在、市内20地域で居場所づくり事業を中心に、高齢者の見守りや生活支援など、支え合い活動が展開されています。
 平成28年度においても市内全域への拡大を図るとともに、実施団体の継続的な取組を推進するため、資格取得やスキルアップ研修の支援など、地域が取り組みやすい制度となるよう見直しを行います。

 また、「地域支え合いセンター」では、市民の支え合い活動の中間支援組織として、地域お茶の間創造支援事業に取り組む団体の支援や、生活支援の担い手であるボランティアの育成など、全市を対象とした人材育成や多様な主体によるサービスが展開できるようネットワーク化を進めてまいります。
 こうした地域の支え合いを推進し、介護保険制度における新しい介護予防や日常生活支援総合事業の担い手としての育成、地域課題のコミュニティビジネス化など、持続可能な支え合いの仕組みとなるよう、地域主体の取組を支援してまいります。

 さらに、介護職員の人材不足に対応するため、離職率の高い初任者に向けた研修経費の奨励制度を継続し、人材の確保とサービスの充実を図ります。
 次に、健康寿命の延伸に向けた取組として、米原市健康増進計画「健康まいばら21」、「データヘルス計画」、「米原市いきいき食のまちづくり計画」に基づき、生活習慣病等の発症や重症化を予防し、健康寿命の延伸に取り組んでまいります。

 米原市の国民健康保険税は、医療費の増加に伴い、県下でも税負担率が高くなっています。これ以上、税率改定のみで医療費の増加に対応することは困難な状況となっており、国民健康保険を持続可能なものとするためには、生活習慣病の重篤化を予防し、医療費を抑制することが必要です。

 このため、平成28年度から米原市国民健康保険の被保険者を対象に「健康づくりインセンティブ事業」を実施します。本事業は、特定健診の受診料を現行の1,000円から500円とし、受診率の向上を図るとともに、生活習慣病の早期発見と重症化を予防するため、平成25年度から平成27年度までの3年間、連続して特定健診を受診していただいた方は、平成28年度の特定健診受診料を無料とするものです。
 特定健診の受診率と特定保健指導の実施率を高め、医療費の抑制と国民健康保険の安定化を推進してまいります。

 さらに、年齢・性別を問わず気軽に楽しめ、高齢者にとっても「ひざ」などへの負担が軽く、無理のないスポーツとして取り組みやすい「ノルディック・ウォーキング」の普及啓発を推進し、市民のみなさまの健康づくりと健康長寿の増進につなげてまいります。

 これらの取組を通して、介護給付や医療費の適正化に向けた取組を展開し、介護保険制度や医療保険制度が、将来にわたって持続可能なものとなるよう努めてまいります。

3) 安全で安心して暮らせる持続可能なまちづくり

次に、3点目の重点取組事項である「安全で安心して暮らせる持続可能なまちづくり」についてです。

 近年の地球温暖化に伴う異常気象、また、南海トラフを震源とする大規模地震の発生予想を踏まえ、危機管理体制の強化が求められています。

 このため、防災行政無線の老朽化に対応するため、「米原市防災情報伝達システム基本計画」に基づき、迅速かつ確実な防災情報伝達基盤の整備として、携帯電話通信網を利用したシステムの構築に取り組みます。

 また、災害から命を守るためには、隣近所をはじめとする地域の人と人とのつながりが、何よりも重要です。自治会における自主防災組織の強化を図るため、より実践的なカリキュラムによる地域防災リーダー研修会を開催し、各地域で防災の核となる人材の育成に努めてまいります。

 さらに、各自治会が災害に備え標準装備として購入する 防災資機材の整備を支援するとともに、自治会、民生委員児童委員の方々などの協力を得ながら、災害時における要配慮者の避難支援体制の充実を図るなど、地域防災力の強化に取り組んでまいります。

 次に、交通の円滑化や利便性の向上、地域振興や産業振興などまちづくりの基盤となる道路網の充実を図るため、道路網整備計画に基づき、安心安全な道路整備を進めてまいります。

 都市計画道路の顔戸長沢線では、顔戸集落内の交通緩和と歩行者等の安全確保のため、詳細設計に着手します。さらに、市内一体化道路である(仮称)長岡志賀谷線では予備設計を行い、事業化を図るため地元協議を進めます。

 また、通学路の安全対策においては、枝折西出川線の国道21号の交差点付近に歩道の設置工事を行うとともに、通学路の危険箇所点検を継続して実施し、通行帯や防護柵等を整備するなど、危険箇所の改善を図ります。

 さらに、災害時や不測の事態に備え、橋りょう長寿命化修繕計画に基づく予防修繕、上下水道施設の計画的な予防保全を行うとともに、浸水被害から地域を守るため、雨水浸水対策として、長岡、醒井、宇賀野地先の整備など、市民のみなさまが安心して暮らしていただけるまちづくりを推進してまいります。

 また、地域公共交通網形成計画を策定し、路線バス、乗合バスの再編について検討するとともに、公共交通の視点から、米原市の地域特性に合わせた小さな拠点の在り方を検討し、これに合わせた新しい公共交通ネットワークの構築に取り組んでまいります。

 再生可能エネルギーの推進については、地域資源を有効活用した再生可能エネルギーを推進し、災害時の自治会避難場所であり、広域避難所でもある、甲津原交流センターへ、小水力発電設備を整備します。

 また、森林資源の循環利用に向け、間伐材等を地域内で流通させる「木の駅事業」を推進し、木質バイオマスエネルギーの利用拡大に努めてまいります。

 鳥獣害対策においては「鳥獣害対策マスタープラン」により、集落ぐるみによる総合的な獣害防止対策への取組が、3年目を迎えます。
 平成28年度では、現時点までに取り組まれていない集落への働き掛けや支援を強化し、被害防止に努めるとともに、侵入防止柵や緩衝帯の設置、捕獲および里山や人工林の森林整備までを集落ぐるみで一体的に進め、農業生産の安定化や、森林の多面的機能の維持増進を図ってまいります。

 一方、伊吹山では、山頂にある貴重な植物への獣害が加速しています。喫緊の課題として植生防護柵の設置を進めているところですが、平成28年度には、山頂のお花畑全体を、植生防護柵で囲むことができるよう、県と連携し設置を進めるなど、伊吹山山頂の植生回復に取り組んでまいります。

 また、本市の強みである伊吹山、琵琶湖をはじめとする豊かな自然と、交通の利便性を生かした新しい観光ルートを設定し、米原駅、近江長岡駅を核としたサイクルステーションの整備を進めるとともに、伊吹山を楽しむアウトドア拠点として、近江長岡駅を活用するなど、新しい人の流れによる交流と地域の活性化に取り組んでまいります。

 また、地域の農業を発展させていくため、集落や地域における人と農地の問題を一体的に解決するための設計図である「人・農地プラン」の策定を推進し、農地中間管理機構を活用しながら、農地の集約化と安定した農業経営を支援するとともに、耕作放棄地の解消に努めてまいります。

4) 地域と市民に寄り添い、共に歩む未来創生のまちづくり

 次に、4点目の重点取組事項である「地域と市民に寄り添い、共に歩む未来創生のまちづくり」についてです。
 私は、市民の皆さんが、米原市に夢や希望を持てる「希望都市まいばら」の実現のためには、地域の課題や暮らしの問題を共有し、共に解決に向けて取り組むことが重要であると考えています。

 このため、各自治会に関する基本情報や過去の要望内容などをまとめた「自治会カルテ」を活用し、問題や課題の共有化を図るとともに、職員を地域に派遣する「地域担当職員制度」により、職員が地域の一員として、地域課題にしっかり向き合い解決を図る協働の取組を積極的に推進します。

 さらに、地域が主体的に課題の解決に取り組む「地域創造支援事業」や公共的な課題の解決を図る「まいばら協働事業提案制度」など、地域主体のまちづくり活動を、米原市の地域振興につなげてまいります。

 また、新たな協働提案事業の展開として、行政のみではなく、「産業界・行政・大学・金融機関・労働団体・メディア」のいわゆる「産・官・学・金・労・言」の各主体が、本市のまちづくりに参画できる仕組みとして、「米原創生 官民連携 パートナーシップ事業推進制度」を創設します。

 雇用を生み出す事業創造や行政サービスの刷新アイディアなど、全国から地方創生につながる幅広い提案を公募し施策に生かしてまいります。

 市民のみなさまに寄り添った新たなサービスとして、個人番号カードを利用し、全国のコンビニエンスストアで各種証明書を取得していただくことができる「コンビニ交付」を、10月から実施いたします。

 土曜日・日曜日や祝日、また、これまでよりも幅広い時間帯で各種証明書を受け取っていただくことができます。個人番号カードの普及と併せ、市民サービスの充実に取り組んでまいります。

 平成23年度から、移住者の若者や、市内出身で、都市部で活躍する若者、市内在住者の若者などのグループが始めた「伊吹の天窓」は、斬新な視点から米原の魅力を発信し、本市への評価を高めていただいております。

 平成27年度においても「米原ぽっぽフェス」の中で、その世界観を演出するなど、魅力的な雰囲気づくりは、多くの評価をいただきました。
 平成28年度は、甲津原地先で「伊吹の天窓」が開催されます。
 より多くの方に米原市の魅力に触れていただき、新たなファンの獲得につなげてまいります。

 さらに、米原市でのモノづくりを通した自己実現の支援と定住の促進を図るため、「水源の里まいばら 民藝創生 みらいつくり隊」の活動を支援します。この活動を通じて、地域の新たな魅力や価値の創造に取り組んでまいります。

 「びわ湖の素米原」としての魅力を高めるため、平成27年度に伊吹山を核に地域資源を磨き生かす「伊吹山活性化プラン」を策定しました。

 平成28年度においては、伊吹山の魅力をリアルタイムで発信することができる伊吹山ライブカメラの設計に取り組むとともに、登山口の周辺整備として、伊吹山ビジターセンター、ケカチの泉周辺整備、伊吹山麓道路整備など、地元自治会と協力しながら進めてまいります。

 観光振興についてですが、1月から放映が始まりましたNHK大河ドラマ「真田丸」で、戦国武将、石田三成が登場します。
 米原市には石田三成ゆかりの地「観音寺」があり、寺の小僧であった三成が、鷹狩りで立ち寄った秀吉に茶を献じて、その才能を見出されたという「三献の茶」の逸話が残っています。
 この機会を生かし、観光客の皆さんが、石田三成ゆかりの地、観音寺へお越しいただけるよう、地元の皆さんと一体となった受入態勢を整え、企画展やお茶を活用したイベントなどを展開してまいります。
 また、彦根市、長浜市との広域連携により集客を図りながら、観光客の皆さんを「おもてなしの心」でお迎えし、米原市の魅力発信につなげてまいります。

 平成27年度から取組を始めている、JR東海道本線の3駅周辺地域の活性化については、醒ヶ井駅周辺全体設計、近江長岡駅前 駐輪場設計、柏原駅多目的広場設計に着手します。

 また、現在実施している移住定住支援策を継続するとともに、新たに「移住・交流体験住宅の整備支援制度」を創設します。
 移住交流体験住宅を活用することで、一人でも多くの方に米原暮らしの魅力を体験していただき、より満足度の高い移住定住につなげてまいります。

 また、管理がされていない空家は、周辺住民の生活環境への悪影響を及ぼすなど、地域不安の要因となります。「米原市空家等の発生予防、管理および活用の推進に関する条例」の基本理念、空家に「しない」「させない」「ほっとかない」に基づき、空家所有者等からの相談に関するワンストップ窓口の設置と併せて、空家等の発生予防・活用・適正管理など、総合的な対策を講じ、利活用を促進してまいります。

 人口が減少するという現実をただ受け入れるのではなく、米原市ならではの豊かさを追求する中で、持続するまちの魅力を高めていくことや、本市の魅力を発信し住み続けたいまちとしての信頼と評価を高めるため、シティセールスを積極的に展開します。

 平成28年度は、シティセールス専用サイトを開設し、若者に魅力的な「びわ湖の素」としての雰囲気をインターネット上で表現し、世界に米原市の魅力を発信し、定住人口の増加と都市ブランド化に取り組んでまいります。

 人口問題や地域活力の維持といった課題に対応するためには、暮らしやすい都市環境をつくることが求められます。

 このため、土地利用などの観点から、まちの将来像を描く「米原市都市計画マスタープラン」を改定します。

 また、坂田駅周辺を核にした賑わいと活力ある市街地づくりに取り組むとともに、名神高速道路 伊吹パーキングでのスマートインターチェンジ整備については、観光の活性化や、緊急時の道路網の確保につながる取組の一つとして、国や県および高速道路管理者などと引き続き協議を進めてまいります。

 次に、今定例会においても議論していただきます、米原駅東口市有地の新庁舎整備は、本市の最大の社会資本である米原駅の機能強化と、米原駅周辺の都市機能を更に高め、その効果を米原市全体の活性化につなげることを目的としています。

 米原駅東口周辺まちづくり構想についても、民間から宿場町をイメージした提案や、複数の企業から本プロジェクトへの参加を表明していただくなど、大きく動き出そうとしています。

 民間からは、新しい時代に求められる庁舎には、地域とのつながりや、まちづくりと連動したデザインが求められており、本市における新庁舎整備においても、米原駅東口まちづくり構想と一体的なものとしてデザインする「インテグレーション(統合)のまちづくり」を提案していただいております。
 この千載一遇のチャンスを生かし、滋賀県の玄関口にふさわしい魅力ある都市拠点を形成し、米原駅周辺を核とした新しい人の流れが、新たな賑わいや活力を生み出す相乗効果となって、米原市全体が大きく飛躍する未来を創ってまいりたいと考えております。

 以上、4項目の重点取組事項である主要事業について、御説明しましたが、こうした取組の展開に当たりましては、米原市の将来の設計図である「総合計画」に組み込む形で進めていくことになります。

総合計画等の策定

 平成28年度は、地方創生を大きく飛躍させ、新しい米原市の未来を創る米原創生を本格的に始動する年度と位置付けています。

 現在の総合計画は、平成28年度が最終年度となります。
 このため、これまでに取り組んできましたさまざまな施策の成果を礎に、米原市自治基本条例に基づく市民等との協働によるまちづくりの指針として、平成28年9月に、第2次米原市総合計画が、策定できるよう取り組んでまいります。

 さらに、平成27年度に策定した、まちの魅力を戦略的に発信して総合的な魅力を高める「米原市シティセールスプラン」、地方創生の動向に合わせて重点的な人口減少対策に取り組む 「まち・ひと・しごと 米原創生総合戦略」を、米原市の新しい未来をつくる羅針盤として、これからのまちづくりを進めてまいります。

結び

 地方創生は、独自のアイディアと実行力で、まちの未来を創り上げることのできるチャンスです。新しい時代の流れをしっかり捉え、全国に誇れる地方創生、地域特性を生かした米原創生を着実に進めてまいりたいと考えております。

 人と地域を大切にする理念の下、市役所職員が一体となって、地域に寄り添いながら、人口減少をはじめとする多くの諸課題に正面から立ち向かい、市民のみなさまが将来に夢と希望を持てるよう職員と一丸となって邁進し、親、子、孫の3世代100年にわたって住んで良かったと実感していただけるステキな米原市を築いてまいります。

 最後に、市民のみなさまならびに議員のみなさまの更なる御理解と御支援、御協力をお願い申し上げ、平成28年度の施政方針とさせていただきます。

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