施政方針(平成27年第1回米原市議会定例会)

更新日:2017年11月30日

平成27年度 米原市施政方針

 平成27年米原市議会第1回定例会の開会に当たり、平成27年度における市政運営の基本的な考え方と予算に計上した重点取組事項について述べさせていただきます。

合併から10年目を迎えるに当たり

 平成27年度は、米原市にとって合併10年の節目の年となります。

 米原市は、市民の顔が見える、声が聞こえる規模で、効率的な行政運営と不断の行財政改革で持続可能な基礎的自治体を目指して誕生しました。

 合併時に策定した「新市まちづくり計画」では、合併前の4町の一体感の醸成を図るとともに、新市の特長を最大限に生かし、ここならではの個性あるオンリーワンのまちづくりを目指す、「自然きらめき ひと・まち ときめく 交流のまち」を将来像に掲げました。

 その目標や理念は「米原市総合計画」に引き継がれ、その実現に向けた取組は、現在も展開しているところです。

 これまで、本市の憲法ともいうべき「米原市自治基本条例」の制定と市民との協働のまちづくりの推進、行財政の基盤を強化する「行財政改革」に向けた定員適正化や公共施設の統廃合、指定管理者制度導入、多様化・高度化に対応する職員の資質向上など、激しく変化する時代に向き合い、合併新市としての基盤を、着実に積み上げてまいりました。

 特に、平成26年度におきましては、子育て支援や少子化問題への取組として、中学生までの医療費無料化や市内全小学校の空調整備、かなん認定こども園や、おうみ認定こども園の整備など、子育て支援や教育環境の充実を進めました。

 また、市民の皆さんが安心して暮らせるまちづくりに向けて、米原市地域包括医療福祉センターの整備、さらには、高齢者が互いに支え合い、活躍する仕組みを作り上げるため、平成25年度に引き続き「地域お茶の間創造事業」を、13の地域で展開していただいています。

 また、地域のさまざまな行事やイベント、各種会議やタウンミーティングなどに、私自身が参加してみて、伝統行事や自治会事業の維持や運営継続が危ぶまれている実情、人口減少、少子化、高齢化がもたらしている地域疲弊の現実、これにどう立ち向かうのか、この課題解決の道筋は、現場である地域に出向くこと、寄り添うことだと感じてまいりました。

 平成25年10月からは、地域に暮らす人々の生活を支え、地域の課題や暮らしの問題を一緒に解決する市役所、行政の基本スタンスとして「職員行きます!、プロジェクト、地域担当職員制度」を始めました。

 迎えます平成27年度は、合併10年を迎え、これまでの取組を総括し、市としての新たなスタートを切る、重要な年度として位置付けてまいりたいと考えています。

米原市の人口動向と地方創生の動き

 米原市の人口は、国勢調査によりますと2000年頃をピークとして人口減少が始まり、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年に、現在より8,500人少ない、31,500人程度になると推計されています。

 私は、こうした予測をただ受け入れるのではなく、自分たちのまちの未来は自分たちで変えていく、自分たちで創っていくのだという気概を持ち、政策に取り組んでいく姿勢が必要であると考えております。

 ここ数年、若者の間で「田園回帰」の動きが確実に起こっていると言われています。離島や中山間地で人口の流入増がみられ、どちらかと言えば、「鬱陶(うっとう)しい」、「遅れている」と言われる、田舎の人間関係や付き合いを実は、「温かい」、「頼りがいがある」と感じ、自立して働く、自営業や職人の姿を「かっこいい」と感じる若者が増えています。

 そこでは、空き家や田畑があり、住むところや食料を安く確保できることを、良きこと、恵まれていると言い、都会のように高い所得を得られる仕事は少ないが、収入が少なくても安心して暮らせて、子育てや教育の機会、情報も得られる、他人との関係が競争と分断ではなく、セーフテイネット、支え合いの役割になる、地方、田舎こその評価、価値を人生に見い出そうとしています。

 現在、全国の自治体では、人口増へ向けた取組が行われています。もちろん米原市も人口減少に立ち向かう取組を進めるわけですが、ここでは、従来型の経済の規模と数を追い求めるのではなく、そこで暮らす市民の顔が見える、“地域に寄り添う”という姿勢がなければ、真に持続可能なまちを創ることはできません。産業を呼び込み、雇用を生み出し、持続可能性のある地域社会、地方を創る仕組みが必要です。

 米原市の未来を創る上で、何に価値を置いていくのか、何を求めていくのか、私は人としての生きる喜び、支え合い、安心な暮らしの真ん中に、“人や地域を大切にする”という理念を持って人口減少に立ち向かい、若者をはじめとする市民の皆さんの希望や願いを実現する「希望都市まいばら」を目指して、各種の施策を進めてまいりたいと考えています。

 国においては、昨年11月には関連法案が成立し、12月には人口減少の克服に向けた「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」および「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定されました。

 一方、地方公共団体に対しては、国の「総合戦略」を勘案した「地方版総合戦略」等の策定が求められており、これに関連する施策を進めるための新しい交付金も手当されることとなっています。

 こうした動きを踏まえ、平成27年度中に「地方人口ビジョン」および「地方版総合戦略」を策定します。

平成27年度施策の骨格指針および予算編成方針

 平成27年度の施策は、「米原市総合計画」に掲げる政策および、これに組み込んだ、私の政策提案の展開を基本に、これらを一体的、効果的に実行に移す視点として3つの重点取組事項を掲げました。

  1. 女性や若者等が魅力を感じるまちづくり
  2. 市民が安心で健やかに暮らせるまちづくり
  3. 未来へたしかに歩むまちづくり

 そして、市民に寄り添い、地域に密着した予算を作り上げることを基本といたしました。 それでは平成27年度予算における、3つの重点取組事項に係る主要事業について説明いたします。

3つの重点取組事項

1. 女性や若者等が魅力を感じるまちづくり

 まず、一つ目「女性や若者等が魅力を感じるまちづくり」です。

 本市の人口減少は、出生数を死亡数が上回ることによる「自然減」と、20代の若者を中心とする転出による「社会減」が大きな要因となっています。

 こうした要因の克服につながる若者の定着を図ることは、本市の将来を考える上で重要な課題です。

 このため、若者がどんな希望を持っているのか、どんな未来を願っているのか、これをしっかりと受け止め、その希望を実現する施策を展開し、若者の定住につなげてまいります。

 併せて出生率の上昇につながる子育て環境の整備も重要です。

 人口減少に具体的な対応策が必要です。それは、若者、子育て世代への支援です。

 夫婦が理想の数の子どもを持とうとしない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最も多く、子育てに対する経済的負担の軽減が、現実的で効果的な支援策として求められています。

 引き続き「県内一子育てしやすいまち」の実現を目指す取組を進めてまいります。

 具体的には、中学生までの医療費無料化とともに、新たに0歳児から2歳児までの第2子以降の保育料無料化による、子育て世代の経済負担の軽減を図ります。

 また、おうみ認定こども園の開園、(仮称)まいばら認定こども園の整備、放課後児童クラブの充実、さらには新たな事業として、「ファミリー・サポート・センター」を設置し、子どもの預かりなどの子育てに関する各種サービスが、地域の方々との連携で提供される仕組みを作ります。

 一方、仕事と生活の調和が図られることが必要です。今や、特別な事でなく、時代の要請である、人の生き方、働き方としてのワーク・ライフ・バランスを、男性の家事・育児への参画として進め、女性にとって子育てか、仕事かの二者択一ではなく、両立できること、女性も男性も共に働き続けることで、若い世代の経済的基盤を安定させ、子育て条件を整えることにつなげます。

 また、不妊・不育治療費の一部を助成する「不妊・不育治療支援事業」を拡充し、「子どもを産みたい」という市民の願いを実現できる支援を行います。

 さらに、男女の出会い、婚活支援については、結婚の前段である出会いの場づくりを平成26年度から本格的に取り組んでいるところです。平成27年度においてもこの取組を継続し、市内の企業や団体との連携を図るなど、人生のパートナーに巡り合う、お手伝い、おせっかいの取組を更に広げます。

 次に、経済活性化や雇用に関する新たな取組としまして、「創業支援事業」を展開いたします。この取組では、特に女性や若者の活躍を促してまいりたいと考えています。

 さらに、「住宅リフォーム助成」を継続し、小規模事業者、市内経済の活性化を図ります。

 また、農業の担い手問題が深刻化する中、若者等の就農への関心が高まっています。こうした流れを捉え、新規就農希望者への財政的支援を行うとともに、受入体制の整備に取り組み、自立した経営体となるよう育成・支援します。

 次に、本市の魅力を高める取組として、日本百名山であり、本市を象徴する伊吹山を核とした取組を進めてまいります。

 既に本年度から伊吹山活性化計画の策定に取り組んでいるところですが、平成27年度においては、地域の歓迎ムードづくりを、地元や関係団体等と連携し、取り組みます。

 一方、伊吹山では、貴重な植物への獣害が深刻化しています。これは喫緊の課題として既に対策を進めているところですが、平成27年度においても、伊吹山山頂の植生防護柵を設置し、保全・再生を進めます。

 観光振興においては、石田三成にスポットを当て、長浜市、彦根市と連携し三成ゆかりの地として、PRと情報発信を行い、NHK大河ドラマ誘致につながる機運づくりや受入体制の醸成を図ります。

 次に、本市に対する「住みたいまち、住み続けたいまち」としての信頼と評価を高め、定住人口の増加と都市ブランド化を目指す、戦略的なシティセールスを展開します。

 移住者の若者や、都市部で活躍する市内出身の若者、市内在住の若者のグループにより始まった「伊吹の天窓」。本市への評価を高める上で大きな成果を上げています。平成27年度においても、若者による米原の魅力発信などの取組を進めてまいります。

 また、平成23年度から3年間にわたり取り組んできた「水源の里まいばら みらいつくり隊」による若者たちの活動は、本市が、若者の夢を実現するための適地であるとの評価やイメージを高めたものと考えています。

 この成果を基に、新たに「みらいつくり隊」の仕組みを生かした「(仮称)水源の里まいばら民藝創生プロジェクト」を展開します。

 日本各地の独自の素材や歴史は、各地に固有の工芸文化を生み出し、その地方ならではの暮らしの文化を培ってきました。そこに民(たみ)の芸術が生まれ、地方の暮らしの文化が人を育て、民衆の手作りによる民藝品を作ってきました。

 本市は、上丹生の彫刻、仏壇づくり、多和田や岩脇の真綿、曲谷の石臼(いしうす)など、「水源の里」ならではのさまざまな民藝が息づいています。

 このプロジェクトは、こうした本市の素材にこだわりを持ち、新しい視点や創造力をもって伝統を現代に生かす新たな民藝の創生に挑戦しようとする若手工芸作家を、全国から招(しょう)へいするものです。この民藝創出の活動を通じて、地域の魅力発見や人々に価値観の変化をもたらすとともに、本市が若者や個性ある人材の夢の実現の適地であることをアピールし、次なる若者世代の移住・定住の機運を、更に高めてまいりたいと考えています。

2. 市民が安心で健やかに暮らせるまちづくり

 次に、二つ目の重点取組事項である「市民が安心で健やかに暮らせるまちづくり」についてです。

 「住み慣れた地域で最後まで暮らしたい」、こうした市民の願いに応え、超高齢社会での、社会保障制度を持続可能なものとしていくことが求められています。

 地域内で互いに支え合う互助の仕組みを作る「地域お茶の間創造事業」については、平成25年度からモデル事業として取組をはじめ、本年度でモデル期間を終えることとなります。

 平成27年度からは、この間の成果や課題を踏まえ、新たな制度を再構築し、既に取組のある13地域を含めた全市への取組拡大を図り、新たに子育て支援への取組をメニューに加えるなど、地域内での児童の見守り等の事業拡充もしてまいりたいと考えております。

 さらには、これらの取組の地域の体制づくりやボランティアの派遣調整など、市民の支え合い活動の中間支援を行う拠点として「地域支え合いセンター」を設置いたします。

 こうした体制により、地域活動団体を新たな介護保険制度における地域福祉の担い手となるよう育成し、介護保険の財源による支援を行うことや、団体活動のコミュニティビジネス化を進めるなど、地域内でお金が回る、持続可能な支え合いの組織となるよう、地域主体の取組を支援してまいりたいと考えております。

 また、介護職員の人材不足に対応するため、離職率の高い初任者に向けた研修経費の助成制度を創設し、人材の確保とサービスの充実を図ります。

 誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるように、保健・福祉・医療が連携し、24時間対応の在宅医療を支援する施設、「地域包括医療福祉センター」につきましては、平成27年10月の開設に向け、整備を進めます。

 また、地域完結型の在宅医療体制を整えるため、在宅医療を担う医療機関のない旧山東西学区において、診療所の設置に向け、その運営方法の決定など、開設準備を進めます。

 健康寿命の延伸に向けた取組は、「米原市民の健康づくり8か条」の実践、保健指導実施率の向上の取組や健康教育の充実、出前講座の実施など、きめ細(こま)やかで丁寧な啓発、指導等を展開します。

 こうした地域におけるさまざまな取組と併せ、介護給付や医療費の適正化に向けた取組を展開し、介護保険制度や医療保険制度が将来にわたって持続可能なものとなるよう努めてまいります。

 次に、生活困窮者やひきこもり等への支援対策についてです。

 私は、人にやさしいまちづくりの基本は、人を孤立させないことであると考えており、そのための施策を展開します。

 生活困窮者対策としては、平成27年度から生活困窮者自立支援法が施行され、新たな制度へと移行することを受け、本市では生活困窮者からの相談窓口を設置し、課題やニーズに応じ、就労支援や家計を再建するための支援など、自立に向けた支援を行います。また、ひきこもりやニートなどの若者への対策は、さまざまな分野の関係機関が連携して設置する「米原市子ども・若者支援地域協議会」により、経済的、精神的な自立に向けた支援を行います。

 次に、安心な暮らしにつながる地域防災です。全国で発生しているさまざまな災害においても、地域の共助は、多くの命を救っています。その中核となる自主防災組織や消防団が、いざという時にその機能が発揮できるよう、支援を行います。

 まず、自治会における自主防災組織の強化は、研修会の開催や地域リーダーの養成を図るとともに、各自治会単位の標準装備として必要な資機材を早期に整備していただくため、補助率の引き上げによる消防防災施設器具補助制度を拡充します。

 消防団員においては、出動団員の安全装備の充実に向け、計画的に配備を進めます。

 また、併せて、市内全域での防災訓練の実施など、「自助」「共助」「公助」の理念による防災体制の強化に取り組みます。

 次に、道路網の整備は、市民の皆さんの生活に直結し、災害時にはライフラインとしての重要な役割を持つなど、まちづくりの基盤をなすものです。

 特に、集落内の交通量の緩和と歩行者等の安全を図るための県道伊部近江線のバイパスである顔戸長沢線への着手、市内一体道路としての(仮称)長岡志賀谷線および県道長岡バイパスの調査業務を始めとする、幹線道路の整備を早期に完了できるよう、道路網整備計画に基づき取組を進めて行きます。長寿命化修繕計画に基づき、市道に架かる橋りょうの予防修繕を計画的に実施します。また、下水道施設も、長寿命化基本計画を策定し、適切な維持管理に努めます。

 さらに、河川においては、改修や浚渫(しゅんせつ)など適切な維持管理を行うとともに、長岡、醒井、宇賀野地先での雨水の浸水対策などに取り組み、市民が安心して住める災害に強いまちづくりを進めます。

 懸案となっていた枝折地先での急傾斜地崩壊対策事業につきまして、いよいよ工事に着手できることとなりました。

 次に、周辺住民の生活環境への悪影響など、全国で大きな問題となっている空家への対策につきまして、この議会で提案させていただく「米原市空家等の発生予防、管理および活用の推進に関する条例」に基づき、空家に「しない」「させない」「ほっとかない」を合言葉に、条例の理念や空家活用等の必要性について啓発するとともに、空家所有者や自治会、空家の利用希望者などに向けた総合的な窓口を設置するなどの取組を進めます。

3. 未来へたしかに歩むまちづくり

 続きまして、三つ目の重点取組事項である「未来へたしかに歩むまちづくり」についてです。

 人口減少や地方創生の動きなどを背景として、今後、全国の自治体で魅力や個性を高めあう競争が加速し、また一方では、自治体の連携による効果的・効率的な取組も加速することが予想されます。

 こうした流れの中で、米原市が未来へ向かって確かな歩みを進めていくためには、本市の強みを最大限に生かし、その存在感を高めるとともに、持続可能な循環型社会を作り上げる必要があります。

 これは、米原市がひとつの都市として、時代に向き合い、未来を創っていく上での課題です。

 地域においては、定住・移住を促す、転入奨励や住宅施策が求められています。

 まず、市役所庁舎の整備は、平成26年度における検討結果を踏まえ、更なる一歩を踏み出せるよう取り組んでまいります。

 また、本市は古くから近畿・東海・北陸の結節点であり、広域的交通の要衝として、現在でも新幹線が停車する米原駅をはじめ、坂田駅、醒ヶ井駅、近江長岡駅、柏原駅の5駅を有し、さらに高速道路ジャンクションを有する利便性の高いまちです。

 この強みを生かし、まずJR東海道本線の3駅周辺地域の活性化に向けた取組では、本年度とりまとめた5か年の整備計画に基づき、駅周辺における駐車場や多目的広場等の基盤整備、周辺地域への定住・転入促進に向けた個人への住宅整備支援や、民間事業者への集合住宅建設支援などを行います。

 また、坂田駅周辺地域においては、坂田駅前の第2工区(Bブロック)について着工を目指し、地元や関係者と協議を進め、更なる活性化に向け取組を進めます。

 さらに、米原駅東口周辺まちづくり事業においては、複数の協議案件への取組を進めると同時に、県との連携による「米原駅周辺活性化による県広域振興に関する検討会議」での基本方針に基づき、区域内の市有地・保留地および県有地について具体的な利活用内容の検討を行い、米原駅東口の活性化に向けた県との調整、事業者の誘致にしっかりと取り組みます。

 また、名神高速道路伊吹パーキングでのスマートインターチェンジと道の駅の整備は、柏原地域の活性化として、その実現に向け、国や県・高速道路管理者など、関係機関と協議を進めます。

 次に、本市は、交通の結節点であると同時に、川の流れの上流に位置する、美しい自然や文化・伝統が生き続ける「水源の里」です。ここから注ぐ水は、母なる琵琶湖を通じて、近畿1,400万人の生活を支えています。

 この誇るべき位置や価値の魅力は、米原市にとって大きな強みであり、この地域資源があるからこそ、地産地消型のエネルギー循環型社会を形成することが可能です。

 平成27年度の「再生可能エネルギー推進事業」は、エネルギー循環型社会の形成を目指し、米原市再生可能エネルギー協議会との検討を重ね、森林資源の循環利用に向けた、間伐材等を地域内で流通させる「木の駅」構想の取組を進めます。

 一方、農業においては、単なる産業としての側面だけではなく、美しい景観形成や、防災機能、あるいは集落営農等を通じた地域力の形成など、多面的な機能を有しており、これを維持していくことは本市の大きな課題です。

 このため、新規就農希望者への育成・支援と共に、併せて集落営農を含めた地域における中心経営体の育成に取り組み、農地中間管理機構やJAと連携し、農地の集積や耕作放棄地の解消を図ります。

 また、鳥獣害対策においては、「鳥獣害対策マスタープラン推進事業」により、集落ぐるみによる総合的な獣害防止対策への取組が2年目を迎えます。平成27年度は、現時点で取組が十分ではない集落への働き掛けや支援を強化し、被害防止に努めます。

 次に、本市がこれからの未来をたしかに歩むためには、地域住民の皆さんと力を合わせて、共に現場に立つことが大事です。既に取組を始めている「地域担当職員制度」を継続し、地域の課題解決に職員が地域と一緒になって、市役所と地域の距離を縮めます。

 また、市内の各自治会に関する基本情報や過去の要望内容などをまとめた「自治会カルテ」を活用し、相互の情報共有や課題の掘り起こしを行い、地域が自ら課題を解決し、活性化していくための力を高めます。

 さらには、市内でさまざまな活動を行う市民活動団体による地域の特色を生かした取組を支援する「地域創造支援事業」や、市民の持つアイデアやノウハウを公共的課題の解決に生かす「まいばら協働事業提案制度」についても、更に推進します。

 さて、小規模校では、切磋琢磨や相互啓発がなされにくいといわれますが、本当にそうなのでしょうか?子どもは、他人と自分の能力の違いに気づくことによって競争意識が芽生えます。子どもの自然な競争意識を芽生えさせるのに、必ずしも大規模な集団は必要ありません。

 一人ひとりの子どもがわかるまで学ぶためには規模が小さい方がいいのははっきりしています。また、単なる知識でなく、その応用力、思考力、問題解決力など社会人になって求められる知的能力や知恵を身につけるには、少人数の協同学習が有効であることは立証済みです。だからこそ「小さな学校」「小さなクラス」が世界の流れとなっています。

 平成27年度では、地域と学校をつなぎ、地域が学校を支援し、地域に根差した教育を行う「学校支援地域本部事業」を新たに取り組むとともに、地域に密着した小規模校ならではの良さを生かし、小学校と中学校の連携など、魅力ある学校づくり、小規模学校の支援を行います。

 また、一人一人にきめ細やかで質の高い教育を行うため、市独自の取組として講師を任用し、全ての小中学校、全ての学級における35人以下の少人数学級の指導充実を実現します。

 さらに、学校への空調整備やトイレの洋式化などを進めるとともに、老朽化の状況把握と長寿命化計画の策定に着手し、併せて、耐震対策として天井等の落下防止に向けた整備等も進めます。

 次に、他自治体との連携は、既に湖北広域行政事務センターによる環境衛生事務や、湖北地域消防組合による消防行政をはじめ、さまざまな面で近隣自治体と連携した取組を行っております。今後も、こうした連携を生かしながら、米原市の住みよさの向上につなげます。

 以上、3つの重点取組事項における主要事業について説明いたしました。取組の展開に当たりましては、米原市の将来の設計図である「総合計画」に組み込む形で進めていくこととなります。

総合計画等の策定

 この総合計画ですが、平成19年度に10年間の計画として策定しており、平成28年度に終期を迎えることとなります。既に昨年12月の定例会でも示していますとおり、本市としては、市のまちづくり全体の指針となる第2次総合計画の策定に取り組んでまいりたいと考えており、その具体的な作業に平成27年度から着手します。

 一方で、先ほども申し上げた地方創生に係る「地方版総合戦略」については、平成27年度中に5か年の計画として策定することとしております。

 また、土地利用の将来像を描く都市計画について、これまで市内に複数の都市計画区域が存在し、支障が出てくることから、都市計画区域の再編を行うため、「都市計画マスタープラン」の改定作業にも着手します。

結びに

 以上、平成27年度の施政方針を申し上げました。

 繰り返しになりますが、平成27年度は米原市の合併10年目に当たるとともに、人口減少に国を挙げて立ち向かおうとする最初の年となります。

 私は、人口減少を始めとする多くの課題に正面から立ち向かい、市民や地域の希望をかなえる施策展開に取り組んでまいります。

 正に米原市が一体感を持って、新しい米原市に向かってのスタートを切ります。議員各位をはじめ、市民の皆さんの御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

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