施政方針(平成25年第2回米原市議会定例会)

更新日:2017年11月30日

平成25年度 米原市施政方針

市長就任から現在までの振り返り

 私が米原市長として再登板させていただいてから、はや3か月が経過しました。この3か月の間、私が掲げました市民の皆さんへの数々の約束を実現するための政策提案について、議論を重ねてまいりました。地域における市民の皆さんの嘆きや小さな呟きがきっかけとなり、そこに私の「思い」が加わり、それぞれの分野で職員との議論を積み重ね、議会の皆さんの理解が得られるよう政策内容 を詰めてきたところです。

 また、地域の伝統行事やイベント、各種会議等に時間が許す限り参加させていただき、米原市の持つ歴史や自然、地域における取組の豊かさを再確認し、さらには市民の皆さんとの対話によって生まれる「気づき」の多さに、改めて市民の皆さんの声を聞くことの大切さを痛感しているところです。

当事者主権について

 まず、政策を進めるに当たり、「当事者主権」を大切にしたいと考えております。当事者主権とは、まさにそのことに関わる当事者が決定し、責任を果たすということであります。このように申し上げますと、当事者の決定することが、全てに勝るというように聞こえるかもしれませんが、この考え方は私たち行政がサービスを提供する上で、大切な気づきを与えてくれています。

 一般的に、政策づくりに当たっては、当事者に代わって、客観的でより適切な判断ができるものとして、「専門家」の関わりは欠かせないと考えられております。一方、当事者主権の考え方では、当事者のことは、当事者自身が一番よく理解していることから、当事者の方が専門家よりも適切な判断ができるとされています。また、当事者自らが政策づくりに参加することは専門家任せではない、当事者のニーズや実情に合った政策形成に繋がります。この考え方は市政の多くの 場面で当てはめることができるものと考えております。

 ともすると、当事者の立場に寄り添う姿勢は、予算や仕組み等の制限を理由になおざりにされてしまいがちであります。これに対して、今後の市政運営に当たっては地域における関係者や利用者といった当事者の意見や思いをしっかりと受け止める「対話」の姿勢を心がけ、当事者の立場で考えることができている政策なのかを確認しながら、議論を重ねてまいりたいと考えております。

 今後も、職員ともども、市民の声を生かす市政運営を心がけ、地域に元気や賑わいが溢れ、あらゆる世代の人々が将来に夢と希望を持つことができるまち「希望都市まいばら」を目指して、迅速かつ着実に施策に取り組んでまいります。

 それでは、本日提案いたしました諸案件の御審議をお願いするに当たりまして、私の平成25年度の施政方針を申し上げます。

最重点施策とする取組

 まず、私が掲げました市民の皆さまとの約束につきましては、その実現に向けて、70項目の具体的な取組を掲げたところであります。

 今回の補正予算につきましては、この70項目の取組のうちから、これまでの議論も踏まえ、必要な政策的経費をお願いしております。

 まずは、市として少子化問題に真正面から向き合い、米原市を「県内一子育てしやすいまち」にするため、「保育所と幼稚園の保育料の第2子以降の無料化」など、子育て世代の経済的負担の軽減を図る取組を進めてまいります。

 一方、今を生きる子どもたちを取り巻く社会問題の一つに学校のいじめ問題があります。本市では、学校のいじめ問題に迅速に対応するために、新たに「米原市 いじめ等対応支援員」を設置し、実態に合わせた支援を行うことで、児童および生徒が安心して学校生活を送ることのできる基盤づくりを進めてまいります。

 次に、高齢者の皆さんが地域で安心して暮らせるために、身近な地域を単位にして、元気な高齢者が活躍でき、また一方で、支援の必要な高齢者が訪問サービス を受けられるような活動拠点となる「居場所」を作り、共助によるコミュニティの再構築と地域の活性化を図る「地域お茶の間創造事業」に取り組んでまいります。

 また、大規模な地震等の発生時の備えとして、避難生活者や帰宅困難者のための「防災備蓄品の拡充整備」を計画的に進めてまいります。

 さらに、市内の中小企業や地場産業を振興し、市民の皆さんの住環境の向上に繋げるため、緊急経済対策として、「住宅リフォーム助成制度の創設」に取り組んでまいります。

4つ約束の実現に向けて

 さて、ここで改めまして、市民の皆さんとの約束の実現に向けて、平成25年度に進めます戦略的な取組について説明してまいります。

子どもや女性・高齢者にやさしいまちに!

 まず、1つ目の約束は、「子どもや女性・高齢者にやさしいまちに!」についてです。

 子育て世帯の支援や、高齢者の安心づくり、女性が活躍 できる市政を実現します。

 米原の未来を担う子どもたちに対する施策としましては、「(仮称)おうみ認定こども園」の整備に当たりまして、計画の一部見直しを行い、「近江にし保育園」、「近江ひがし保育園」および「ふたば幼稚園」の3園を統合し、乳児施設および幼児施設を整備してまいります。

 また、柏原中学校の統合につきましては、「米原市保幼小中学校統合整備計画」を見直すとともに、その他の小規模校も含めて、その在り方を検討してまいります。

  次に、国における「子ども・子育て支援新制度」への移行に伴い、本市においては、「県内一子育てしやすいまち」を目指し、子ども・子育て支援に関する市民 の皆さんのニーズを十分に把握するとともに、子育て中の方、子育て支援に携わっている方などの御意見を伺いながら、「子ども・子育て支援計画」の策定を進 めてまいります。

 また、子どもから高齢者までが安心して暮らすことができるまちづくりを進めるため、保健、福祉、医療が連携し、24時間対応の在宅サービスが提供できる拠点整備を進めてまいります。

 市民の主体的な健康づくりの推進につきましては、子育て中の保護者が集団健診など受診しやすい環境を整えるため、新たに「子育て応援検診」として、検診時の託児を実施してまいります。

 次に、認知症を患う高齢者等が、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、医療機関と介護サービスおよび生活支援サービスが連携した仕組みの構築を図るため、「認知症施策総合推進事業」に取り組んでまいります。

 障がい者福祉につきましては、発達障がいのある人に対し、乳幼児期から成人期まで、一貫した支援を行う機能を持った「発達支援センター」を4月から福祉支援局内に設置しておりますが、今後、併せて児童発達支援事業所の開設準備を進めてまいります。

 また、社会福祉法人が長浜市に整備する「湖北地域重症心身障がい者通所施設」に対して、長浜市と連携し支援してまいります。

 路線バスや乗合タクシーなどの公共交通につきましては、停留所の点検を実施し、必要な箇所につきましては整備を行い、利用者である高齢者や障がい者の方々の利便性および快適性の向上に努めてまいります。

 次に、市民スポーツにつきましては、スポーツを推進するための市の指針となる「スポーツ推進計画」を策定し、市民誰もがスポーツを楽しみ、健やかに暮らせるまちづくりを進めてまいります。さらには、スポーツによる人と人、地域と地域の交流を促進し、地域の一体感や活力の向上を目指します。

 私が考える本市の課題の一つには、女性が社会参画する機会が少ないことが挙げられると考えております。そこで、女性の持つしなやかさや、きめ細やかな解決能力を市政に生かせるような仕組み作りを進めてまいります。

暮らしに安心、地域が元気なまちに!

 2つ目の約束は、「暮らしに安心、地域が元気なまちに!」についてです。

 日々の生活を健やかに安心して暮らすことは、市民の皆さんの切 なる願いです。老いても病んでも安心して住める地域づくりを全市に広げてまいります。

 JR柏原駅・近江長岡駅・醒ヶ井駅の周辺地域では、駅前としての高い利便性を有しているにもかかわらず、少子高齢化や人口減少、空き家の増加等が進展しており、地域の活力が低下しております。この課題の解決と、駅周辺の賑わいと活力を創出するために、地域の皆さんとともに駅周辺地域への定住促進に繋がる 仕組み作りを進めてまいります。

 また、水源の里振興につきましては、平成25年度は水源の里まいばら元気みらい条例の制定後5年目を迎えるため、施策の成果検証を実施するとともに、取り組んできた施策が市内全域に拡大できるよう検討を加えてまいります。

 公営・改良住宅につきましては、市民生活の安定と社会福祉の増進のため、適正な維持管理を図るとともに、改良住宅の計画的な譲渡を進めてまいります。

 地域経済の発展と雇用の確保に関しましては、新規起業を目指す地域の若者や女性に対する支援、また地域資源を活用した新商品・新サービスの開発や販路を開拓する事業者への支援を行うことで、地場産業の振興や米原ブランドの創出を図ってまいります。さらには、進学や就職等で米原市を離れた若者やI・Jターン 者等に対して、働く場の創出ができるような仕組みを作りたいと考えております。

 次に、農業につきましては、本市においても農業就業人口は減少し、高齢化が進み後継者不足や耕作放棄地の増加が課題となっております。

 地域農業の未来設計図である「人・農地プラン」の作成支援を行い、集落営農を含む担い手となる農家の育成に繋げてまいります。

 次に、霊仙山系の山腹崩壊につきましては、私も地元の皆さんや県の担当職員とともに、現地を確認してまいりました。大雨の度に土砂等が丹生川下流に流れ出している実態から、地域の安全確保が最優先であることを痛感しました。県と連携し、砂防対策や土石流対策、堆積土砂の浚渫などの事業を早急に進めてまいります。

 さらには、全国的にも道路や橋、水道など社会資本の老朽化が問題となっております。

 本市においても、引き続き、「橋梁長寿命化修繕計画」の策定作業を進め、水道および下水道施設等につきましても対策を進めてまいります。

未来へ、たしかな歩みをはじめるまちに!

 3つ目の約束、「未来へ、確かな歩みをはじめるまちに!」では、米原駅の周辺整備を実らせ、観光と物流拠点のまちとして、パワフルで活力ある米原市を創ってまいります。

 まず、市の最重要課題であります「米原駅東口まちづくり」につきましては、不動産取引の仲介業者の媒介や斡旋による売買や事業用定期借地などを進め、進出事業者の要望に対し、柔軟な対応を図り、土地区画整理事業の保留地および市有地の売却に向け、引き続き、全力で取り組んでまいります。

 次に、 私たちの米原市は、京阪神・中京・北陸を結ぶ交通の要衝としての地理的な優位性を持ち、豊かな自然や歴史・文化等の全国に誇れる地域資源が数多くあります。これらを有効に活用することにより、賑わいと活力を生み出し、いつまでも住み続けたいと思える魅力あるまちを目指してまいります。

 坂田駅周辺につきましては、地区計画制度を活用し、地域住民および事業者とともに、まちづくりを進め、民間開発による新たな賑わいが生まれてきております。今後も、まちづくり計画に基づく適正な開発誘導を行い、活力溢れる市街地づくりを進めてまいります。

 観光振興につきましては、観光振興計画に基づき、観光地域コミュニティづくりを進めるため、商工会が主体となって進める醒井地域の活性化事業に対して支援を行ってまいります。

 米原駅東口におきましても、増加傾向にある外国人観光客も一つのターゲットとして、国際観光都市である京都から新幹線で一駅という優位性を生かし、国や県が推進している観光施策と連携して、集客が図れるように検討を進めてまいります。

 その仕組みの一つとして、特に米原駅東口に「商業スペース」を設置することを検討していきたいと考えております。今まで何も無かった箇所に、「商業スペー ス」を設置することを突破口として、変わり始めたという状況を市内外に向けて発信していけるように活性化対策を講じてまいります。

 次に、伊吹山を生かした新たな魅力づくりにつきましては、地域や関係団体等と連携し、夏の夜間登山を盛り上げるような新たな戦略を進めてまいります。また伊吹山への観光客誘致を促進するために、山麓道路の検討を進めてまいります。

 さらに、米原らしい景観まちづくりを進め、伊吹地域北部4集落の生活に根ざした身近な景観保全を図るため、「文化的景観保存計画」を策定しており、今後は、文化庁の「重要文化的景観」の認定を申請し、具体的な保全活動の実施に取り組んでまいります。

 次に、自治基本条例に掲げる「役割分担と協働」を市役所の全部局において推進するため、平成24年度から取組をはじめた「まいばら協働事業提案制度」は、 市民の皆さんから多くの提案をいただき、現在市の担当課とともにさまざまな取組を進めていただいているところです。平成25年度におきましてもこの事業を 継続し、地域課題の解決に繋がる協働の取組を積極的に推進してまいります。

市民の声で、市民とともに築くまちに!

 最後に、4つ目の約束「市民の声で、市民とともに築くまちに!」では、市民の不安や嘆きに耳を傾け、市民目線で市民のためのまちづくりを目指してまいります。

 市長に就任し、さまざまな施策について議論し決断する中で、今の米原市に足りないと感じるものは、「地域の声を聞く、市民の皆さんとともに考える体制」です。そこで、地域の主体的なまちづくり活動を支援するために、「職員の地域担当制度」を導入し、地域の声を聞き、地域の皆さんと一緒になって、課題や問題を探り、地域や行政とのパイプ役として、その解決方策を検討してまいります。

 職員採用につきましても、従来の採用試験に加えて、民間企業の採用試験で利用されている手法を導入し、新たな採用試験枠を設けることで、米原市に愛着を持ち、地域振興に貢献していきたいという人材を広く募集してまいります。

 人権尊重のまちづくりの推進につきましては、平成24年度に実施した人権意識調査の結果を踏まえ、「米原市人権施策基本方針」の見直しを行ってまいります。また、さまざまな国籍の市民の皆さんが、地域の中で安心して暮らすことができるよう多文化共生のまちづくりを進めてまいります。

 さらに、近年、深刻化している鳥獣被害につきましては、手塩にかけて育てた農作物を収穫前に食べられてしまう、そのことによる失望や落胆、これは地域の疲弊感の一因となっております。また農林業だけの問題ではなく、霊仙山においては、鳥獣被害が一つの要因となって大規模な土砂崩壊が発生し、人々の暮らしを脅かす深刻な問題にも繋がっております。市としましては、有害鳥獣の生息場所となっている集落に隣接した森林を間伐して、「緩衝帯」とする取組を進め、森林と集落との適切な距離を保つような対策を図ってまいりたいと考えております。

 次に、東日本大震災のような大規模な災害時には、消防を含めた行政の支援である「公助」はすぐに行き届かない可能性があります。そこで、自分の身は自分で守る「自助」や、自分たちの地域は自分たちで守る「共助」が重要となることから、自主防災組織の防災施設や器具等の整備に対する支援を行ってまいります。

 さらに本市は、福井県の最も近い原子力発電所から概ね35キロメートルから60キロメートルまでの位置にあることから、原子力災害を想定した実効性のある防災訓練を実施し、もはや他人事では無くなった原子力災害に対する各自治会や自主防災組織の防災意識を高めてまいります。

 また原子力エネルギーへの依存とリスクを減らすためには、市の地域資源である水力や木質バイオマス、太陽光などの再生可能エネルギーの利用を促進する必要 があります。地域の特色を生かした再生可能エネルギーの利用促進について研究し、関係機関と連携して市内での導入促進を図るため、検討を進めてまいります。

 次に、市民の皆さんと協働のまちづくりを進める上で、「情報」は欠くことのできない資源であります。

 情報の共有につきましては、「広報まいばら」や「伊吹山テレビ」、昨年リニューアルしました「公式ウェブサイト」などによる積極的な情報発信のほか、平成25年度からの新たな取組として、 フェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用し、市民の生の声を市政にリアルタイムで反映させる仕組みを構築してまいります。これは、新たな情報伝達手段を用いて、さらなる透明性の高い市政運営を目指すものです。

 総合計画における4つの約束の位置付け

 以上、取組について申し上げましたが、これらを具体的な施策として展開していくに当たっては、これまでの業務に加え、米原市の将来の設計図である総合計画に、これら70項目の取組を組み込んで施策展開を図ってまいります。

 そして、私の任期である4年間における戦略展開につきましては、本年秋に策定する総合計画実施計画に、約束の実現のための具体的な取組とスケジュール等を明らかにしていく考えであります。

 また、これらの取組を進めることにより、米原に住みたい人を増やし、地域の活性化に繋げていきたいと思っております。そして、米原市で住み暮らすことに、将来への希望がもてる明るい「希望都市まいばら」づくりを推進してまいりたいと思っております。

合併10年に向けた取組について

 私の任期の中間年である平成27年には、米原市は、合併10年を迎えます。これは一つの大きな区切りであります。

 今、地方自治の中で、市民の皆さんの夢や希望の実現に応えられる市政運営が問われています。

 地域における「合併しても、ちっとも変わらない」、「結局何を言っても、変わらない」、そんな呟きを放っておいてはいけません。私は、この呟きに応える仕事をすることが希望都市まいばらの実現に繋がっていくものと考えております。

 今一度、原点に立ち戻り、何のために合併したのか、どんなまちを作ろうとしたのかを振り返りながら、次の10年、そして未来に向かって、夢と希望の持てる米原市となるために、市政の基盤を更に強固なものにしてまいります。

結びに

 以上、私の平成25年度の施政方針を申し上げました。
 冒頭でも申し上げましたように、市政運営に当たっては、市民の声を生かすように心がけ、「希望都市まいばら」を実現するため、私が先頭に立ち、職員が一丸 となって、各施策に全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆さまの御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

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