施政方針(令和6年第1回米原市定例会)

更新日:2024年02月27日

はじめに

4期目の市長に就任してから、早くも任期の最終年度を迎えます。
この間、私は、新型コロナウイルス感染症への対策を最優先としながら、合併以来の念願であった本庁舎や連絡通路の完成のほか、給付型奨学金の所得要件の廃止、中学校入学支援金・部活動用具等購入補助金の創設と所得制限撤廃、高校生世代までの医療費の無料化、国民健康保険税の子どもに係る均等割減額措置など、子育て世代を応援する施策にも力を入れ、市政運営のリーダーとしての責任と矜持を持って政策を実行してきました。
しかしながら、昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口の結果によれば、本市の2025年の推計人口は35,628人、2050年には26,594人になるとの予測であり、前回5年前の公表から減少の傾きが明らかに大きくなっていることに、私は、改めて将来への強い危機感を抱くと同時に、人口問題への対策が、基礎的自治体だけでなしうる施策の限界に近づいていること、新たなステージへと変遷したことを実感しています。
米原市の出生者数は30年前、年間400人を超えていましたが、2023年は200人を下回っています。
更なる少子高齢化の進行は、社会保障への現役世代の負担が増加し、暮らしに必要な支え手・担い手の減少、経済の縮小と、市民の暮らしの基盤を蝕む、静かな有事であり、何としても一刻も早い、国を挙げた社会構造の変革を強く要請しなければならないとの決意を新たにしているところです。
私たちは、子育てを親のみの責任とせず、出産、育児、教育など、全ての子どもに関わることを社会全体で支援する「普遍的な子ども政策」の推進で、市民が安心して、豊かさや幸せを実感できる地域づくりを追求し、人口減少の流れを変えるため、行政と市民、そして民間事業者などの多様な主体が連携して、新たな価値や魅力、まちの未来を一緒に創り上げていく「未来共創社会への転換」を図ります。

令和6年度最重点施策

重点1.人口減少に立ち向かう:少子化を止める

デジタル化が進む暮らしなど、数年前までは予想していなかった急速な「変化」の時代、漫然と前例踏襲で進めるのではなく、むしろ敏感に変化を先取りし、従来の発想に捉われず、独自の発想で果敢にチャレンジし、市民の皆さんや民間事業者などとの協働・共創により、1つ目の最重点施策として、人口減少に立ち向かいます。
まず、そのための施策の1点目は「少子化を止める」です。
現実は、若者の6割が、今の社会で子どもを生み育てやすいとは評価していません。理想の子どもの数を持たない理由は、子育て、教育にお金がかかりすぎると断じています。
経済的格差の広がりの中で、一例ですが、非正規雇用、低賃金を背景に50歳時の男性未婚率は28.3パーセント、3人から4人に1人は結婚歴がありません。全国的に未婚化・晩婚化が進んでいます。

結婚サポート事業

結婚を希望する若者世代の経済的負担を軽減するため、結婚新生活支援制度において、新たに住宅賃借料および引越費用を支援対象とするとともに、所得制限を撤廃します。さらには、住宅を取得された場合は、取得日前5年以内に結婚された夫婦等を補助対象世帯とすることで、若者世帯の人口流入と定住の促進に繋げます。

妊娠・産後・子育て支援

安心して妊娠・出産を迎え、母子ともに不安や孤独に陥ることなく、妊娠中から産後にかけてのケアと寄り添いが求められています。
助産師等による妊産婦やその家族に対する相談支援に利用できるクーポン(1万円分)を交付し、不安や疑問に自己対処できる能力を養うとともに、妊婦・産婦健康検診や、ケアが必要な方へのアウトリーチ型での育児サポートを新たに実施します。

(仮称)こども誰でも通園制度

就労要件を問わず時間単位で柔軟に利用できる「(仮称)こども誰でも通園制度」の実施に向け、令和5年度に民間園で実施した定期的な預かり事業の成果と課題を踏まえ、公立園で試行的に実施し、未就園児も含めた子育て家庭の支援を強化します。

就学援助費の基準見直し

親や保護者のさまざまな事情、経済格差や所得格差が拡大する中で、健やかな成長に必要な生活環境や、教育の機会を得られない子どもたちがいます。
特に経済的な困難を抱える家庭では、子どもたちの将来への希望や可能性が制約されることも少なくありません。
親や保護者の立場に寄り添った子育て環境を充実させるため、令和6年度では、就学援助費の認定基準を見直し、学校給食費や学用品費などの就学支援の対象者を拡大します。

重点1.人口減少に立ち向かう:地域の暮らし満足度を高める

人口減少に立ち向かうための2点目の施策は、「地域の暮らし満足度を高める」です。
今後も急激な人口増加が見込めない中、市民の生活を支え、暮らしの満足度を高める住民自治の現場に、公の役割、機能発揮が必要です。
地域の人口減少と高齢化は、地域の自治会運営の現場でも、従来の住民互助の力が小さくなっています。
地域に住み続ける市民の暮らし満足度の向上に向けた、持続可能な地域づくりを地域と一緒になって進めます。

空家の活用・適正管理

人口減少に立ち向かうためには、移住定住人口を増やし、「空家は資源」という資産活用が必要です。
本市の空家バンクは県内でもトップクラスの成約実績を誇っていますが、空家登録物件数に対し、利用希望者は約3倍あり、そのニーズに応じきれていない状況です。
空家再生みらいつくり隊員や民間事業者等との連携を含めた新たな実施体制を構築するとともに、新規空家登録を行った所有者に奨励金を交付し、空家バンクの充実を図ります。
また、空家リフォーム補助金の補助要件を拡充し、空家の有効活用を図ります。
さらに、専門業者による空家の実態調査を実施し、空家の適正管理を促進するとともに、管理不全空家を地域ぐるみで対策に取り組む自治会等を支援します。

自治会事務員設置事業

自治会役員の負担感や成り手不足は深刻です。
若い世代の減少と自治会の高齢化は、一部役員の負担を増しています。
そのため、自治会役員の負担軽減に繋がるICTを活用したコミュニケーションツールである自治会サイトの更なる活用や、持続可能な自治会運営を支援するため、自治会パートナーシップ交付金事業に自治会事務員設置の支援メニューを新たに追加します。

自治会集会施設情報通信ネットワーク環境整備費補助金

地域の自治会集会施設は、災害時の住民の避難所であり、その安全・安心機能の充実が求められています。
地域活動の推進や災害発生時における情報伝達の効率化を図るため、民間事業者の協力を得て、行政放送、防災アプリの活用ができるよう、自治会のインターネット環境の整備を支援します。

投票区再編

民主主義の基礎基本である選挙投票が、恒常的な投票率の低下、投票所のバリアフリーの改善などの課題があります。
さらに、期日前投票者数の増加や投票区における有権者数の偏りなど、選挙を取り巻く環境は大きく変化しています。
ついては、将来にわたって公正な投票環境を安定的に維持し、市民の皆さんが投票しやすい環境とするため、投票区を再編し、共通投票所制度の導入や、投票当日の移動支援を実施し、投票率の向上に努め、選挙執行の改善改革を進めます。
また、投票所入場券のほかに、マイナンバーカードによる投票受付を実施し、事務の迅速化に努めます。

駅と高校を結ぶ地域公共交通強化事業

伊吹高校は、少子化の影響や、最寄り駅から遠いため、通学条件不利の不安などから、生徒数は開校当時の半分にまで減少しています。
地元高校の存在は、地域の教育インフラだけでなく、同時に地域の文化振興や活性化と無縁ではありません。地域の若者たちが、「この地域に住み続けたい」「いずれは帰ってきたい」「この地域で働きたい」と思える地域や地元の高校生を応援することは、私たち公の役目であり、地域の未来を守ることにも繋がります。
昨年、県と連携して実施した通学支援の実証実験では、多くの生徒が公共交通を利用され、とてもニーズが高いことが分かりました。
令和6年度からは、路線バスと乗り合いタクシーの共通通学定期券を創設し、伊吹高校生の通学支援を行います。
また、策定を進める米原市地域公共交通計画に基づき、市民、交通事業者、行政が連携し、地域公共交通の利用促進と利便性の向上を図ります。

米原市まちなか住まい供給促進

人口減少に立ち向かうには、住宅事業の誘導、市内誘致が必要です。
まちなかに相応しい魅力や活力にあふれる市街地づくりを進めるため、駅前や駅近でありながら、高度利用が図られていない土地の利用転換を促すため、民間事業者にインセンティブを提供する住まい供給のための事業奨励制度を整えます。

重点2.災害への備えと再生:安心をつくる

能登半島地震は、地方の人口減少と地域疲弊が重なる脆弱な小規模自治体での大規模地震、自然災害であり、決して他所事ではありません。
特に活断層の隆起が一義的起因であれば、なおのこと、柳ヶ瀬・関ヶ原断層を直下にしている湖北、米原市においては、想定以上の被災の可能性を持って向き合うべき事態であります。
同時に日常化、恒常化している異常気象による台風・豪雨など、大規模災害を想定した災害想定を持って、防災、減災の備えと検証を怠ってはなりません。
そこで、2つ目の最重点施策は「災害への備えと再生」です。
1点目の施策は「安心をつくる」です。
市民の生命や財産を守るため、「事前の備え」を一層強化し、災害から市民を守る安心づくりが必要です。

災害対策事業

能登半島地震では、断水による衛生環境の悪化や、避難所に食料や飲料水などの支援物資が届かない状況に加え、地域防災計画で定める指定避難所が開設できず、避難所では人があふれ、備蓄は底を突くなど、私たちに初動対応の課題を突きつけました。
予期せぬ災害に備えるために、今一度、地域防災計画の検証と見直しを行うとともに、いざという時に迅速な初動対応ができるよう、市民一人一人が必要な手順を学ぶため、防災関係機関や自治会、地域住民と連携し、実践的な総合防災訓練を行います。
また、大規模地震発生時には広い範囲での停電が想定され、電気の復旧時に電熱器具等からの出火が予想されることから、二次被害の拡大を防ぐため、地震の揺れを感知して自動的に電気の供給を遮断する感震ブレーカーの設置に対する支援を行います。

個別避難計画の策定

災害の規模が大きいほど公的な支援「公助」が行き届きにくくなり、地域でお互いに助け合う「共助」の役割が地域防災の要です。
個別避難計画は、「共助」が機能し、高齢者や障がい者など支援を必要とする一人一人の事情・状況に合わせて事前に作成しておくことで、災害の発生時の迅速な避難行動に繋がります。
令和6年度では、医療機器等を使用する重い障がいや疾病等がある方について、医療・福祉専門職と連携した実効性の高い個別避難計画を策定します。

原子力災害広域避難計画の策定

福井県の原子力発電所から最も近いところで、およそ37キロメートルに位置する本市では、これまでから安定ヨウ素剤を小・中学校や認定こども園などに配備し、さらに、昨年末には各自治会にも分散配備を行ってきました。
原子力防災は、放射線の被爆を避ける、被爆させない、遠くへの避難行動が必要です。
原子力発電所の災害時に被災当事者となる市民の皆さんの意見を取り入れ、令和6年度中に遠方へ避難するための広域避難計画の策定を目指します。

重点2.災害への備えと再生:再生へ挑戦する

2点目の施策は、「再生へ挑戦する」です。
昨年7月、伊吹山が崩壊しました。集中豪雨によって大規模な土石流が発生し、登山道が大きく崩れ、今なお、麓からの入山禁止を余儀なくされています。近年、急激に増加したニホンジカの食害が深刻化したことにより、植生が失われたことなどが原因です。
また、同じ7月には、伊吹山に生息し、生態系の頂点といわれるイヌワシのヒナが、十分なエサを食べることができず、巣立つことが叶いませんでした。
これらの出来事は、地球温暖化によって自然環境のバランスが大きく崩壊し始めていることを意味し、私はこの状況を「伊吹山ショック」として深刻に捉えています。

伊吹山植生復元プロジェクト

危機的な状況に瀕している伊吹山の再生には、相当な時間と労力がかかりますが、国や県、地元自治会、そして伊吹山を愛する全ての皆さんのご支援やご協力を得ながら、一刻も早く伊吹山を再生し、次の世代を担う子どもたちへ雄大な姿を残したいという強い思いがあります。
そこで、令和6年度は、伊吹山植生復元プロジェクトとして、増え過ぎたニホンジカの捕獲、南側斜面の崩壊防止、植生回復などの対策を強化します。
また、伊吹山の大自然の植物、動物、人間の繋がり、生命力を再生再現していくアクションを市内外に広く発信し、多くの方や民間事業者等に共感していただくため、連携協力の推進や、市内中学校の生徒会による学習、フォーラムの開催などを行います。

脱炭素地域推進事業

地球温暖化は、異常気象を日常化させ、地球全体の環境問題が深刻化しています。
このような状況下で、私たちは、人と環境の関わり方を見直し、持続可能なまちづくりを実践し、市民の暮らしやライフスタイルを変えることで風景が変わる、世の中にあった当然のことが変わり始めているという実感を伝えていくことが大事です。
市は昨年、気候非常事態宣言を行いました。異常気象が通年化、常態化している今こそ、命や健康リスクが高まっている危機感を市民へ強く伝え、循環型社会への転換を目指し、身近なところから具体的な行動を起こしていきます。
令和6年度は、リサイクルした際に二酸化炭素を排出するペットボトルに代わり、マイボトルで利用できる給水スポットを市内公共施設に拡充配置するとともに、市が主催する会議におけるペットボトル飲料の配布を中止し、市民にマイボトル持参の習慣の定着を推進します。
さらに、電気自動車等の購入やスマートエコハウスの導入支援を継続し、新たに物流2024年問題にも対応する宅配ボックスの設置支援を行います。

総合計画の6つの基本目標に沿った主要事業

続きまして、第2次米原市総合計画に掲げる6つの基本目標に沿って、将来像の中にある「住みよさが実感できるまち」への取組を着実に推進するため、令和6年度の主要事業について説明いたします。

1.健やかで安心して暮らせる支え合いのまちづくり(福祉)

まず、1点目「健やかで安心して暮らせる支え合いのまちづくり」についてです。
子どもを産み育てる環境を整え、いつまでも安心して生き生きと健やかに暮らせる支え合いのまちづくりを進めます。
保育の現場では、深刻な保育士不足や、保育体制の維持確保が課題です。保育士が保育を離れて保育準備等をする時間、いわゆるノンコンタクトタイムを確保するため、公立認定こども園での長時部担任制を廃止し、学年に携わる保育士がチームで保育を担うチーム担任制を導入し、働きやすい環境を整えることで保育の質の向上に繋げます。
民間保育所等の保育人材を確保するため、これまでから処遇改善加算を行っていますが、まだ十分に改善されているとは言えない状況です。保育士の皆さんが心に余裕を持って保育ができる職場環境を整えることが必要であり、民間保育士の給与の処遇改善とノンコンタクトタイムを確保できる職場改善の支援を行い、人材確保に努めます。
介護需要が高まる一方、介護業界では深刻な人手不足により、サービスの低下や経営状態の悪化が危惧されています。
介護人材の確保策として、昨年に引き続き、就職フェア等を行うとともに、事業所が参加しやすいように介護サービス事業所の就職フェアへの出展料等を支援する制度を新たに創設します。

2.ともに学び輝き合う人と文化を育むまちづくり(教育・人権)

2点目、「ともに学び輝き合う人と文化を育むまちづくり」についてです。
学校、家庭、地域が連携しながら子どもを育み、互いに学び合い、人権を大切にし、多様な主体が共生できるまちづくりを進めます。
家族内で夫婦間の暴力や、子どもや親への虐待などが顕在化してきています。人権が尊重され、安心して暮らすことができる地域社会の実現に繋げるため、保護対象基準に満たないDV被害者や、さまざまな困難を抱える女性とその家族が、一時的に自宅から離れ、気持ちを整理する場所を確保するため、民間シェルターの運営を支援します。
戦後78年が経過しましたが、過ぎた歴史ではありません。今を生きる世代にとって、悲しみと憎しみしか生まない戦争の体験者との関わりが失われていく時代だからこそ、戦争の悲惨さ、戦争の事実を継承していかなければなりません。
戦争犠牲者への追悼と恒久平和を願って整備された「平和の礎」を活用し、「平和祈念式典」の開催や、市内小中学生を対象とした平和学習を行い、広く市民へ非戦・平和の啓発や平和の尊さを提唱していきます。
児童生徒の自己肯定感や自己有用感を高めるとともに、学ぶ意欲に繋がる体験・体感の機会を提供する必要があります。小学校6年生を対象として、画像、映像にはない本物の演劇に触れる機会をつくることで、感性や想像力などを育む取組を行います。
また、教育の機会均等を保障するため、外国籍の児童生徒の母語支援員を配置します。
中学生にとって、部活動は心身の健全な育成と豊かな人間形成を図る上で、大きな意義を持つ教育活動です。
しかし、学校単位での部活動の維持や選択競技数の違い、教員の未経験指導や負担が大きいことなどが課題となっています。
部活動指導員の拡充による質の向上と教員の負担軽減を図るため、新たに、コーディネーターを配置して地域の実情を把握するとともに、令和6年度中を目途に検討委員会を設置して地域移行方針を定めます。
学校施設については、長寿命化計画に基づき計画的に改修を進めていますが、近年の異常気象により夏場には酷暑が続き、体育館での授業や部活動において児童生徒が熱中症になるなどの健康被害も発生しています。
また、災害発生時には、地域の避難所としても利用される重要なインフラ施設であることから、体育館への空調設備の設置に向けた検討を始めます。
これまで、学校開放施設や学びあいステーション、ルッチプラザなどの公共施設は、電話での予約確認や窓口で紙の申請書を提出する必要がありましたが、いつでも、どこからでも利用施設の空き状況が確認できるオンライン予約システムや、鍵の受取、遠隔施錠を管理するシステムを導入し、申請の簡略化と公共施設の有効活用、利用者の利便性向上に繋げます。
昭和56年の「びわこ国体」から44年ぶりとなる令和7年に、滋賀県で「国民スポーツ大会」、「全国障害者スポ―ツ大会」が開催され、本市がホッケー競技の開催地となります。
びわこ国体を契機に米原市のホッケーは、今や多くのトッププレーヤーやオリンピアンを輩出するなど、ホッケーのまちとして認知され、日本ホッケー協会からホッケータウンの認証もいただくことができました。
本格的に大会に向けた気運醸成を図るため、本大会に先立ち、リハーサル大会の開催やPRイベントを実施します。
昨年、文化庁の認定を受けた米原市文化財保存活用地域計画では、文化財を次世代に繋ぎ、地域の誇りを醸成し、行政と地域が一体となって、地域総がかりで保存と活用を総合的に推進していくこととしています。
令和6年度は、出張! お城EXPO in びわ湖 米原大会でのPRや、旧常喜医院の具体的な利活用の方法について検討を進めます。

3.水清く緑あふれる自然と共生する安全なまちづくり(環境・防災)

3点目、「水清く緑あふれる自然と共生する安全なまちづくり」についてです。
豊かな自然を次世代に引き継ぎ、人と自然の共生と、地域防災の充実を図ることで安心・安全なまちづくりを進めます。
消防活動や災害対応を行う地域の要である消防団は、火災をはじめとする地域の防災力です。
しかし、消防団員の減少や高齢化により、消防団活動の維持が難しいことから、組織のあり方を考え直し、将来にわたって、消防団活動を持続できる組織へと再編し、消防力の維持強化を図ります。
また、出動指令や情報共有、報告書などの書類提出など、市と消防団がデジタルを活用して双方向でのやりとりを迅速かつ確実に行えるよう、消防団管理システムを導入し、デジタル化による活動の効率化を図ります。
水道経営状況が厳しい中、健全な経営と将来に渡り安全で安心な水道を維持していくために、長浜水道企業団が管理をしている近江地域を除き、4月使用分から水道料金を改定します。
皆さまには、物価高騰により経済状況が厳しい中、御負担をおかけしますが、御理解をお願いいたします。
また、漏水等が原因による有収率の低下を防止するため、伊吹南部配水エリアにおいて重点的に漏水調査を実施するとともに、災害に備え、配水管の耐震機能を有する管への布設替工事などを計画的に進めます。
下水道につきましては、安定的かつ持続的な運営に向けて、経営計画の見直しを行うとともに、引き続き、主要な管路の耐震化工事や広域避難所のトイレ不足を解消するマンホールトイレの設置を進めます。

4.地域の魅力と地の利を生かした活力創出のまちづくり(産業経済)

4点目、「地域の魅力と地の利を生かした活力創出のまちづくり」についてです。産業の振興や担い手の育成を進めることで、にぎわいと活力あふれるまちづくりを進めます。
来月16日、いよいよ北陸新幹線 金沢~敦賀間が開業します。
令和7年度には、大阪・関西万博、滋賀県では国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催され、これまで以上に県内唯一の新幹線駅である米原駅の役割が重要となる時期を迎えます。
これらのイベントやアフターコロナの観光需要を取り込めるよう、観光資源の磨き上げや、体験型旅行商品の開発等、広域連携も含めた観光事業に取り組みます。
また、市の観光地域づくりを牽引する、びわ湖の素DMOとの役割分担のもと、より連携を強化し、観光客の誘致促進を図ります。
本市の農業の現状は、生産者の高齢化と担い手不足がますます深刻さを増しており、早急な対応が必要です。
新たな担い手をはじめ、農業に携わる多様な人材の掘り起こしと育成を図るためにスタートした「まいばら農業塾」は大変好評でした。令和6年度も、若者や移住者など多様な人材が、小さく、無理なく始められる新しい農業の入口として、内容を更に充実させ、農業の担い手へと繋げます。
本市では、企業誘致を促進する手段の一つとして、米原市工場等誘致条例を制定し、企業の誘致や既存事業所の拡大再投資を支援することで、雇用機会の創出と維持を図り、地域活性化を推進してきました。
しかし、企業の用地取得から操業開始までのスピード感や造成された用地などのニーズに応えられておらず、ほかの地域との競争も激化している状況です。
本市に進出している企業や物流関連企業等の拡大ニーズを逃すことなく、市内で活発に事業活動が行われるよう、米原市企業立地促進条例に名称変更し、支援制度の要件の緩和や奨励措置を強化し、企業の立地を促していきます。
また、子育て世代の方の再就職の促進と地元企業が必要とする人材の確保を支援するため、子育て世代の方と子育てを応援する地元企業とのマッチングを支援する合同企業説明会を開催します。

5.心地よく暮らせるにぎわいと交流を支えるまちづくり(都市基盤)

5点目、「心地よく暮らせるにぎわいと交流を支えるまちづくり」についてです。鉄道を核に地域の拠点をつくり、にぎわいと定住を支える基盤を整備します。
市民の皆さんから多くの期待をいただいている米原駅東口周辺まちづくり事業については、滋賀の東の玄関口にふさわしい都市機能の集積と賑わいを創出するため、現在、進出事業者を募集しているところです。
今後、5月には事業者の優先交渉権者を決定し、その後、市議会の議決を経て土地譲渡契約の締結を目指します。
建築から半世紀近くが経過し、各所で経年劣化が著しい米原駅東西自由通路の大規模改修に向けて、改修計画の策定に取り掛かります。
また、滋賀県唯一の新幹線停車駅である強みを生かし、引き続き、若年世帯の新幹線の通勤支援を行います。
米原駅を中心としたまちの核づくりに向けた取組を進め、まちの未来を築いてまいります。
緑の基本計画に基づき新たに整備する(仮称)磯公園は、令和9年度の供用開始を目指し、令和6年度は工事に着手し、園路や遊歩道の整備を行います。

6.まちづくりを進めるための基盤(都市経営)

最後に、6点目の「まちづくりを進めるための基盤」についてです。
多様な主体と住みよいまちづくりに取り組み、社会の変化に対応した健全で持続可能な行財政運営を進めます。
行政のデジタル化では、財務会計や文書管理などの内部情報系システムの再構築によるパソコン上での電子決裁とペーパーレス化を進めるとともに、全国の自治体の住民情報を扱う基幹系システムの統一化・標準化を計画的に進めます。
また、今までから機能の充実を図ってきた証明書コンビニ交付システムについて、市外からでも戸籍謄本などを取得できるよう、新たな機能を追加します。
市の情報伝達手段である市公式ウェブサイトについては、オンラインサービスの利用を促進し、利用者の利便性を向上するため、トップページのリニューアルを行います。
公共施設については、公共施設等総合管理計画に基づき、伊吹・近江市民自治センターの移転や、解体工事が完了した旧米原庁舎跡地の売却など、公共施設の総量の最適化や有効活用等に取り組みます。
市公用車については一元管理とカーシェアリングの効果的な活用を行い、効率的な運用と計画的な公用車の更新、削減を進めます。
光と明かりの投影で社会の課題や時代のテーマに繋がる市民の意識や動機付けを啓発するため、カラフルな光の線の組み合わせが可能なサーチライトによるライトアップで市役所庁舎の存在感を高めます。
今後、人口減少と少子高齢化の進行により、市税を中心とした歳入の減少や社会保障費などの増加により、財政状況が一層、厳しくなることが予想されます。
これらの厳しい現実を次の世代に先送りせず、行政運営を安定的に維持していくために、行政の役割分担や仕組みなどを見直し、デジタル化の推進による業務の効率化と併せ、行財政改革に取り組んでまいります。
財源の確保につきましては、法人市民税の不均一課税による増税のほか、ふるさと納税については、新たな寄付サイトの追加や返礼品の開拓を進め、さらに寄付額を増やしていきたいと考えています。
また、国や県の交付金等を積極的に活用するとともに、国、県および関係機関への要望活動や情報収集を行うなど、補助金等の財源の獲得にも注力し、更には税の公正、公平な賦課課税の実施と収納率の向上をはじめとする安定的で効率的な財源を確保することで、持続可能な市政運営に努めてまいります。

結び

平均寿命、健康寿命という言葉があるように、幸福寿命という言葉があります。
市民の誰もが生きづらさを抱えることなく、納得感や幸福感を味わって人生を送っておられるかどうか、市民や地域に向き合う地方自治体として重要なキーワードです。
人生100年時代という言葉が当たり前のように交わされるようになった現在において、高齢者や障がいのある方が幸福感を持って暮らしているかどうか、そう感じられる体制が整えられているかが問われています。
少数だからいいのではなく、少数者だからこそ手を差し伸べる対応をしていきたいと思います。
本年は、市制施行から20年目の節目の年となります。
変化の激しい時代に米原というまちが、この先もあり続けていくためには時代の要請に応じて変わっていかなければなりません。
令和6年度を迎えるに当たり、私は常に米原市の将来をイメージしながら、自ら変化を起こし、市民の皆さん、地域、民間事業者の皆さんとともにまちの未来を創る年にしたいと思います。
前例にとらわれることなく、変えるべきところは思い切って変えていくという姿勢で臨んでまいりたいと思います。
そして、私の4期目の市政運営の総仕上げとして、誰もが夢や希望に満ちた魅力あるまちづくりを推進し、施策を着実に成果へと繋げ、本市の将来像「ともにつながり ともに創る 住みよさ実感 米原市」を実現してまいります。
市議会議員の皆さまをはじめ、市民の皆さまに格段の御理解、御協力をお願い申し上げ、令和6年度の施政方針とさせていただきます。

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