施政方針(平成31年第1回米原市議会定例会)

更新日:2019年02月22日

平成31年度 米原市施政方針

平成31年 米原市議会 第1回定例会の開催に当たりまして、平成31年度の市政運営の基本的な考え方と主要事業について述べさせていただきます。

【平成の振り返りを通して】

30年にわたる平成の時代が幕を閉じようとしています。4月には新元号が発表され、5月1日の新天皇即位と同時に改元 されます。

昭和の戦後世代の私は、この平成の時代30年を、戦争のない時代として終えていきますが、新しい元号の時代を前にして、終戦から73年が経ち、戦争体験を語る人たちが私たちの周囲から、次々と亡くなっていかれるからこそ、戦争の悲惨さ、平和の尊さを、継承していく大切さを、改めて問われ、求められていると思います。

さて、平成という時代を振り返る時、大災害の発生は大きな出来事であり、阪神・淡路大震災、東日本大震災をはじめ、 地震や台風、記録的豪雨などにより、多くの尊い命が奪われ、甚大な被害がもたらされました。

東日本大震災では、深刻な原子力災害が発生し、多くの方々が帰るべき故郷を奪われ、深刻な放射能汚染、膨大かつ過酷な原発事故処理の現実から、原子力、核エネルギーの「絶対安全」は「絶対不可能」であり、科学も技術も及ばずの 事実が明らかになりました。

しかし、同時に、こうした経験は、防災意識の高まりや、一人一人が自分の生き方や暮らし方、地域との関わり方を見つめ直すきっかけともなりました。

人が人を救う、救える命は全て救うという歩みを着実に進めていかなければなりません。

また、人口減少社会、超高齢社会、生産年齢人口の減少時代に入りました。大きな転換点でした。そこには、我が国の 経済規模の縮小、社会保障費の増大、地域コミュニティの担い手不足など、さまざまな影響に対する懸念、不安が生まれ、これらに対応していく社会の再構築は急務となっています。

高度経済成長期に作られた終身雇用の制度は崩れ、非正規雇用が増加し、日本の労働環境は大きく変わりました。

将来を見通せない暮らしは、格差の固定化、貧困、晩婚化や未婚率の増加、出生数の減少にもつながっています。

若者や女性の希望が叶う社会の実現に向けた取組が求められています。

一方で、人々は、暮らしそのものの豊かさや個人の生きがいを重視するライフスタイル、価値観の多様化を求めています。

こうした中、豊かな自然環境と高い交通利便性を備える米原市は、自分らしい生き方、働き方、家族の暮らし方を多様に選べる、実現できる地域として評価される時代を迎えています。

昨年、「人権を考えるつどい」において、書家の金澤翔子さんが、席上揮毫で書かれた文字は「共に生きる」でした。

社会的弱者と言われる方々一人一人に目を向け、しっかりと寄り添い、誰一人取り残されない社会を私たちは築き上げていかなくてはなりません。

現在、福祉の制度や分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域の住民や地域の多様な 主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人一人の暮らし、生きがい、地域をともに創っていく社会として「地域共生社会」の実現を目指す取組が始まっています。

私は、地域に暮らす皆さんが、時に寄り合って、一緒に食事をしたり、語り合う、互いの居場所や出番がある地域、それが 米原市を支える地域の風景であって欲しいと思っています。

人は一人ではない、周りに人がいる、共に、つながっている、ぬくもりもある、頼れる人がいる、ここで暮らす、住み良さを実感できる、ここに幸せ感がある、共に生きる、そんな共生社会こそが、次の時代に続く、米原市、人が育つ基礎、基盤だと、私は考えています。

しかし、地域コミュニティにおける担い手の減少は確実に地域の力を奪っています。一旦失われた地域力を取り戻すことは容易ではありません。

昨年、本市で発生した竜巻被災地域では、地域の方々が 被災された方に寄り添い、復旧作業に丁寧な対応をされていました。先人から受け継がれてきた助け合い、地域の力は、米原市の大きな財産です。この地域力を維持し、次の世代に引き継いでいかなければなりません。

地域力を維持できるか、失っていくのか、今、米原市は大きな分岐点に立っていると言えます。

第2次米原市総合計画では、子どもから高齢者まで世代を超えて、市民と市民、市民と行政が一緒になって地域の課題解決に取り組む、総働・共創によるまちづくりの推進を掲げています。

地域力を維持していくための米原市らしい支え合いの仕組みについて、改めて私たちの仕事の現場である地域、自治会に 真摯に向き合って、地域の皆さんと一緒になって創ってまいりたいと思います。

【平成31年度施策構築に当たって】

平成31年度の施策構築に当たりましては、総合計画に掲げる本市の目指すべき将来像「ともにつながり ともに創る 住みよさ実感 米原市」を実現していくための6つの基本目標に沿った取組を着実に推進していくとともに、本市の現状と 課題を踏まえた上で、まちの将来を見据え、「安全安心なくらしの実現」と「つながりの強化と創出」の2つを最重点取組事項とさせていただきました。

それでは、平成31年度における主要事業について、最重点取組事項から御説明申し上げます。

【最重点取組事項】

まず、1つ目の「安全安心なくらしの実現」についてです。

昨年も、全国各地で大きな災害が相次いで発生しました。

本市におきましても、竜巻や台風21号、24号により市内に大きな被害が発生しました。被災された皆さまには改めてお見舞い申し上げますとともに、復旧に当たり御尽力賜りました皆さまに深く感謝を申し上げます。

今回の竜巻被害の対応も教訓としながら、災害対応力の 強化を図るとともに、高い地域防災力が市全域で発揮できる体制づくりを推進します。

西日本豪雨の際、岡山県倉敷市真備(まび)町地区では亡くなられた方の9割が高齢者でした。

災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障がいのある人など避難行動要支援者の避難を支援する体制づくりを着実に進める必要があります。

災害時に円滑で安全な避難ができるよう進めている「避難行動要支援者の避難支援プラン」の作成について、全自治会での作成を目指してまいります。作成を推進するため地域担当職員制度の中にテーマを設け、自治会に活用していただき易くするとともに、自治会・自主防災組織・民生委員などさまざまな 主体が連携した取組を集中的に展開してまいります。併せて、計画の実効性を高めていただけるよう、避難支援プランを活用した避難訓練の実施を促進します。

次に、地域防災リーダーの育成についてです。

近年、防災の専門知識を持つ、民間資格「防災士」への関心が高まり、各地の自治体でも防災士の養成・支援の取組が広がっています。本市といたしましても、新たに防災士育成支援制度を設け、地域防災のリーダーとなる人材確保、自主防災組織の活性化につなげてまいります。

また、万一の大規模災害時に、市をはじめ関係機関、市民が適切な行動がとれるよう、実践的な総合防災訓練を実施します。さらに、原子力災害の特徴について市民の皆さんの理解を深めていただけるよう、原子力防災を考える市民委員会において、避難行動計画や安定ヨウ素剤の事前配布などを含め幅広く議論いただくとともに、避難行動や安定ヨウ素剤の配布を想定した訓練を実施し、災害対応力の強化、市民の安全・安心の確保につなげてまいります。

今回、竜巻被害への対応をする中で、速やかな被害状況の把握が課題として浮き彫りになりました。そこで、災害発生時の現場の位置と被害状況を把握し、迅速な情報共有が可能となる防災情報システムを導入します。また、車両等に搭載している移動系アナログ防災行政無線の老朽化に対応するため、新たにIP無線の導入も進めます。

また、先の竜巻被害では、災害廃棄物の処理における課題も見えてきたことから、この経験を教訓として、災害廃棄物処理計画の策定を、長浜市・湖北広域行政事務センターと共同して進めてまいります。

次に、最重点取組事項の2つ目が、「つながりの強化と創出」です。

まず、市役所と地域が共に支え合いながら、安心して暮らせる持続可能な自治会組織づくりが進むよう、市が重要と考える 課題について自ら取り組む自治会、共に乗り越えようとする 自治会を応援します。

具体的には、「避難行動要支援者の避難支援体制づくり」、「自治会における女性登用の推進」、「空家への移住定住促進」に取り組んでいただける自治会に対する地域担当職員制度によるサポートと、それら課題解決に取り組んでいただいた自治会に対し交付金を加算する自治会パートナーシップ事業を創設 します。

市内の住宅地開発の実態は、米原・近江地域に集中する傾向があるものの、市内全域で見るとまだ不十分な状況です。

来年度から新たに、若者や子育て世代の移住・定住の受け皿となる住宅地の供給につながる取組を進めてまいりたいと考えています。

具体的には、土地利用規制が異なる区域に応じて、「民間住宅地開発を誘導する補助制度の創設」や「開発基準の緩和」を行うほか、「土地利用の高度化」などを検討し、市内全域で住宅地供給の拡大につなげてまいります。

また、空家への総合的な対策を充実させてまいります。

空家バンクの利用希望者は増加傾向にありますが、空家バンクの登録率はわずか5%程度にとどまり、紹介できる物件が少ない状況となっています。

そこで、空家所有者の空家バンク登録等を推進するための「空家等サポーター」を設置します。また、市内全域を対象とした空家実態調査を実施し、空家バンクの登録促進、今後の施策検討に活用してまいります。さらに、所有者向けの支援、住宅リフォーム補助金や古民家再生協会滋賀との連携も併せて、危険な空家になる前に空家を活用しやすい体制を整えてまいります。

人口減少が進む中、その対応策の1つとして言われているのが、地域には住まないけれど、地域に貢献してくれる人、地域や地域の人々との関わりを持とうとする人である、いわゆる 「関係人口」の創出です。

平成31年度が最終年度となる総合戦略とシティセールスプランについて、次期計画の策定を進めていく予定であり、関係人口の創出に向けた施策の構築を図ります。

引き続きまして、次年度の主な取組について、総合計画の基本目標に沿って申し上げます。

【主要事業】

1.健やかで安心して暮らせる支え合いのまちづくり(福祉)

まず、1点目「健やかで安心して暮らせる支え合いのまちづくり」についてです。

子ども・子育て支援の分野では、これまでの成果と課題を踏まえ、今後5年間の子ども・子育て支援の方向性を示す、第2期子ども・子育て支援事業計画を策定します。

放課後児童クラブにつきましては、女性の就業率上昇や共働き世帯の増加に伴い、利用児童が年々増加しています。待機児童への対策といたしまして、大原児童クラブの増築と 坂田児童クラブの新築工事のほか、今年度に引き続き民間放課後児童クラブ運営費補助などを行い、児童が安全、安心に過ごせる環境の整備に努めてまいります。また、多子世帯の経済的負担を軽減するため、保護者負担金の兄弟姉妹減額の対象を4月から拡充します。

次に、未就学児施設についてです。

延長保育の拡充について、今年度は、まいばら、いぶき、かなん認定こども園の3園でモデル実施しましたが、新年度からはおうみ認定こども園を含めた公立認定こども園全園で実施してまいりたいと考えています。

また、各園への看護師の配置を拡充し、公立園全てに看護師を配置し、安全、安心な保育の充実を図ります。

保育の更なる充実を目指した取組としましては、新たに保育業務支援システムを認定こども園と幼稚園に導入し、保育業務の効率化と保護者へのサービス向上を図るほか、保育士がより細かく子どもたちに関われるようにするため、1、2歳児のクラスの昼食後の片付けなど保育の周辺業務を手伝う「低年齢児サポーター」の派遣などを行ってまいります。

また、民間園に対しましては、新たな補助事業といたしまして、0歳児途中入園受入体制確保事業を創設し、保育士の雇用と園運営の安定化を支援してまいります。

続きまして、子ども・若者の育成支援についてです。

日本の子どもの実に7人に1人が貧困状態にあると言われていますが、その実態は見えづらく、支援の手が差し伸べられていない子どもたちの存在も危惧されています。

子どもたちが自由に夢や希望を持つには、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないようにするとともに、貧困の連鎖を断ち切っていかなければなりません。

米原市における子どもの貧困の実態はどうなのか、把握に向けて、専門家も交えた部局横断的な検討を進め、経済的に厳しい家庭で育つ子どもに寄り添った対策につなげます。

次に、地域福祉と高齢者福祉についてです。

現在策定を進めています「第2次まいばら福祉のまちづくり計画」の目指すまちの姿「自分らしく 心豊かに 安心して 暮らせるまち まいばら」の実現に向け、米原市に関わるあらゆる主体が一体となった、みんなで支え合う、地域福祉を一層推進してまいります。

また、高齢者等の居場所づくりや元気な高齢者の活躍の 場づくり、生活支援・介護予防サービスの充実に向けて、「地域お茶の間創造事業」に引き続き取り組んでまいります。

さらに、「地域包括ケアシステム」の柱である地域医療体制を維持していくため、今後の事業展開の方針を策定します。

次に障がい福祉の推進です。

障がい者の皆さんが自分らしく地域で自立した生活を送ることができるための体制を整えてまいります。

現在、湖北圏域には数か所の相談支援事業所が設置されていますが、さまざまな課題を抱えたケースに対応するためには、相談支援事業所を後方から支え、連絡調整を行う基幹相談支援機関が不可欠です。長浜市とともに長浜米原しょうがい児者基幹相談調整センターを設置し、湖北圏域全体の相談支援体制を充実させてまいります。

また、昨年、手話を使う市民が安心して心豊かに暮らすことができる共生社会の実現を目指す「手と手をつなぐ 米原市 手話言語条例」を制定しました。専任手話通訳者の確保を図るほか、手話やろう者に対する理解を広める出前講座をはじめ、手話の普及啓発などの取組を更に充実させてまいります。

障がいのある方が住み慣れた地域において自立した生活が送れるよう、住まいの場となる障がい者のグループホームの 更なる整備に向け、関係法人と協議、調整を進めてまいります。

また、医療ケアを必要とする重度の障がいのある方が、安心して生活を送ることができるケアホーム等の整備に向け、県や近隣市との協議を進めるとともに、介護者や家族に対する支援として今年度から取り組んでいる重症心身障がい児者医療移送費補助事業など、関連施策を引き続き実施してまいります。

次に健康づくりの推進についてです。

心身ともに健康でいきいきと暮らせることは、皆さんの願いです。一人一人が、主体的な健康づくりに取り組み、生き生きとした生活を送れることを目指します。

生涯を通じた健康づくり活動、特に子どもに重点を置いた食育推進・運動支援や、生活習慣病である糖尿病等の重症化予防活動などを展開し、市民の皆さんの健康寿命の延伸へとつなげてまいります。

また、がん検診の受診率を向上させるため、受診勧奨の取組を強化するとともに、魅力ある検診の提案を行ってまいります。

体の健康づくりと合わせて、心の健康づくりとして、自殺予防対策計画を策定します。

制度改革で県単位化された国民健康保険の安定的な運営につきましては、医療費適正化に積極的に取り組み、被保険者の健康づくりを推進してまいります。

また、医療費負担に関しましては、身体障がい者・児に対する福祉医療費助成制度の拡充を図ってまいります。8月の福祉医療助成対象者一斉更新時に、身体障がい者手帳3級所持者も県の補助金制度に準じた助成が受けられるようにしてまいります。

2.ともに学び輝き合う人と文化を育むまちづくり(教育・人権)

次に、2点目「ともに学び輝き合う人と文化を育むまちづくり」についてです。

まず、学校教育の充実についてです。

学校図書館の「学習・情報センター」機能を強化していくことは、資料や情報を活用した豊かな授業の実施だけでなく、子どもの主体的に学ぶ姿勢が芽生えるといった効果も期待できます。

学校図書館のこうした機能を最大限に発揮させるため、小中学校11校に学校司書を配置します。

今年度開設しました、小学校3年生を対象とした放課後補充教室「学びっ子」は、保護者の皆さまや学校関係者から 評価をいただいており、事業実施による効果を感じているところです。「学びっ子」事業を継続し、個々に応じたきめ細やかな 指導を行ってまいります。

教育環境の充実につきましては、計画的な学校施設の維持管理と施設整備を進めてきたところです。引き続き、学校施設長寿命化計画に基づき、長寿命化改良に併せて防災機能の強化、時代に合った教育環境の整備を進めてまいります。特に、老朽化が進んでおります双葉中学校につきましては、長寿命化改良工事に取り組んでまいります。

35人学級編成や少人数指導の継続、ICTを活用した教育の推進などと合わせまして、一人一人が大切にされ、安全・ 安心で質の高い教育環境を築いてまいります。

また、児童生徒の自尊感情を醸成し、いじめ・問題行動の未然防止に努めるとともに、英語教育・国際理解教育の推進など、子どもたちの豊かな心とたくましく生きる力を育みます。

地域に根ざした学びの場、活動の場である公民館については、指定管理者により、それぞれの特性を生かした個性ある 公民館運営をされています。現在、検討を進めています公民館のコミュニティセンター化につきましては、社会教育の場としての機能に加え、多様化する地域住民の生涯学習ニーズに柔軟に対応でき、各種団体や地域住民の交流やまちづくりの学びの場となる新たなコミュニティセンターとして、条例制定を目指してまいります。

図書館については、より効率的、効果的な運営を行うため、4月から休館日、開館時間を変更しますが、迅速な資料提供と適切なレファレンス対応に重点を置きつつ、引き続き、丁寧なサービスの提供に努めます。

次に、歴史文化についてです。

国指定史跡の京極氏遺跡と鎌刃城を含め、市内には100か所に及ぶ中世の山城跡などが確認されています。また、本市は、のろし駅伝など地域の皆さんが地域の山城跡を積極的に活用していることでも知られています。重要遺跡確認緊急調査を進め、城跡の保護とともに、地域の誇りの醸成、地域での活用につなげてまいります。

また、県指定無形民俗文化財であり、古くから祭礼や祝いごとの際に打ち上げられていた「流星」や、江戸時代から伝わる 「米原曳山まつり」など、文化財の保護、技術の保存・伝承のための支援をしてまいります。

次に、スポーツ振興です。

本年9月には、ラグビーワールドカップ日本大会が開幕し、2020年には、東京オリンピック・パラリンピック、さらにその翌年には、ワールドマスターズゲームズ2021関西が開催されます。さらには、2024年の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会は滋賀県が舞台となるなど、国や県をあげてのスポーツイベントが続き、スポーツに対する国民の関心がますます高まっていくものと考えています。

スポーツの推進は、「人づくり」、「健康づくり」、「地域づくり」につながってまいります。このスポーツに関する盛り上がりを 逃すことなく、身近にスポーツがある環境を整えてまいります。

東京オリンピック・パラリンピック開催を機に進めております ホストタウン事業につきましては、ニュージーランド国ホッケー協会等関係者を招待するなど、ニュージーランド国ホッケー 代表チームの事前合宿誘致に向けた取組をはじめ、継続的な国際交流事業を行い、スポーツ・文化など幅広い交流につなげてまいります。

また、米原市を代表するスポーツであるホッケーにつきましては、2024年の国民スポーツ大会開催時に滋賀県代表として活躍する世代の有望選手を発掘し、いわゆるターゲットエイジの強化育成を図るとともに、普及活動にも力を注いでまいります。

昨年も、米原の子どもたちがさまざまなスポーツで活躍してくれました。トップレベルで活躍するアスリートを直(じか)に見たり、指導を受けることは、子どもたちにとって大変貴重な経験となり、運動意欲の向上にもつながります。引き続き、スポーツ応援大使である青山学院大学陸上競技部原監督によるトレーニング体験授業などの機会を作ってまいります。

つながりのまちづくりを進める上で、一人一人の人権が尊重され、個性や違いを超えて、多様な主体が共生することは大前提となるものです。

インターネット上の人権侵害などの新たな課題に対し、より 実効性の高い施策を行うべく、人権意識調査の結果や人権三法の施行も踏まえながら、今後の施策の指針となる人権施策基本方針の改訂を行います。

3.水清く緑あふれる自然と共生する安全なまちづくり(環境・防災)

次に、3点目「水清く緑あふれる自然と共生する安全なまちづくり」についてです。

まず、環境分野についてです。

米原市の暮らしの豊かさは、長年にわたり自然と共に暮らしてきた先人たちから、世代を超えて受け継がれてきたものであり、このまちの暮らしと環境は未来へつないでいかなければなりません。市民・事業者等・来訪者とのパートナーシップの下、第2次環境基本計画に基づく取組を推進してまいります。

暮らしやすい生活環境の整備の取組としましては、平成30年度から、市民とともに創る都市公園市民会議を開催し、米原市のシンボルとなる公園の在り方についての話し合いを進めていただいています。平成31年度は、市民会議での公園構想を取りまとめていただきます。

防災に関しましては、先程も申し上げましたとおり、「安全安心なくらしの実現」を来年度の最重点取組事項としているところです。御説明した取組以外にも、自主防災組織活動の活性化に向けた取組や消防可搬式ポンプおよびポンプ積載車の更新などを着実に進め、地域防災力の強化を図ってまいります。また、自主避難所の在り方についても検討してまいります。

このような防災に関する情報と取組につきましては、市民や自治会へ積極的に発信し、命と暮らしをみんなで守るまちづくりを進めてまいります。

また、浸水被害対策として、醒井地区、宇賀野地区の雨水整備工事を実施するほか、河川整備、砂防事業、急傾斜地の崩壊防止対策事業につきましても県と連携しながら事業の推進を図ってまいります。

災害に強いインフラ整備につきましては、道路橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、老朽化した橋りょうの修繕を行いますとともに、上下水道施設の耐震化も計画的に進めてまいります。

伊吹地区水質硬度低減化対策事業につきましては、本市場(もといちば)浄水場ポンプ棟をはじめとした建築工事や本市場浄水場と伊吹南部第1水源地をつなぐ送水管新設工事などを行います。

安心で安全な水道水の安定供給のため、老朽化対策事業、耐震化事業と併せまして、第2次米原市水道事業基本計画に基づく取組を計画的に進めます。

また、下水道施設につきましても、将来にわたって安定的に事業を継続するため、長寿命化計画に基づく適正な維持管理に努めてまいります。さらに、安定した事業経営を進めるための経営戦略を策定し、適正な下水道使用料についての検討も進めます。

汚水処理事業の長期的・安定的経営を進めるため、農業集落排水処理施設の公共下水道への接続を計画的に進めています。平成31年度では、菅江地区の切替工事を実施するとともに清滝地区の測量詳細設計に入ってまいります。

安全な道・まちづくりの推進といたしましては、危険箇所について、速やかな修繕や改良工事を行ってまいります。

また、雪寒対策車両を更新し、冬季道路の安全確保のための体制充実を図ります。

4.地域の魅力と地の利を生かした活力創出のまちづくり(産業経済)

次に、4点目「地域の魅力と地の利を生かした活力創出のまちづくり」についてです。

昨年、自転車とグルメを楽しむイベント「びわ湖の素・米原 グルメライド」を開催することができ、県内外多くの方に米原のグルメと豊かな自然を楽しんでいただきました。

本市の強みである豊かな自然と交通の利便性を生かした体験型自然観光を推進するとともに、ジャパンエコトラック「びわ湖・伊吹山コース」や日本遺産など広域自然ルートを広くPRするなど、認知度向上、交流人口の増加から新しい人の流れの創出と地域の活力づくりへとつなげてまいります。

また、世界規模のスポーツイベントが我が国に集中するゴールデン・スポーツイヤーズという好機を生かすべく、関西、中部を訪れる国内外の旅行者に対し、本市の交通利便性の高さをアピールするプロモーション活動も行います。

さらに、石田三成ゆかりの地観音寺の観光拠点化につきましては、観光拠点化計画に基づく受入環境の整備を周辺地域とともに進めてまいります。

集客・観光需要は「着地型観光」「体験型観光」「訪日外国人観光」が主流となる中、これらに対応すべく受入態勢を充実 させていくことは、本市にとりまして喫緊の課題です。市内観光おもてなし組織の強化に取り組むとともに、統合庁舎建設や 東口周辺まちづくりが進む米原駅の観光拠点化を推進し、琵琶湖東北部だけでなく、滋賀の玄関口としての広域的な役割を担う観光案内所の誘致を進めてまいります。

また、米原駅東口まちづくり事業を進めていく上で、地元商工会はもとより、近隣の商工団体との連携は不可欠です。関係団体との連携を深めながら、滋賀の玄関口にふさわしい賑わいの創出へとつなげてまいりたいと考えています。

次に農業振興についてです。

引き続き、新規就農希望者など地域農業の担い手を育成・支援するとともに、持続可能な力強い地域農業の実現につながる、集落の「人・農地プラン」の作成や更新の支援を積極的に行い、中心となる経営体の確保、農地の利用集積や集約化の推進を図ってまいります。

また、生産コストの削減、農地の集積や集約化を加速化させるほ場整備事業につきまして、井之口地先における事業実施に向けた作業を進めてまいります。

伊吹在来そばのブランド化につきましては、伊吹在来そばの地理的表示登録、いわゆるGI登録も念頭に置きつつ、特産品としての普及啓発活動に一層力を入れてまいります。また、今後の展開を見据え、生産量と販路の拡大に向けた支援施策の検討も進めてまいります。

次に、林業分野につきましては、来年度から交付される森林環境譲与税を活用し、自伐型林業の施業地調査、森林境界明確化などに取り組み、豊かな森の次世代への継承と森林資源循環の持続可能な仕組みづくりを推進します。

野生鳥獣による農作物被害は、これまでの対策により減少傾向となっていますが、対策を緩めることなく引き続き、集落ぐるみの被害防除や、捕獲の推進、森林整備の実施など総合的な鳥獣被害対策に取り組んでまいります。

また、標高の高い区域や奥山において深刻化している食害につきましても、国・県や広域的連携の中で対応を検討してまいりたいと考えています。

5.心地よく暮らせるにぎわいと交流を支えるまちづくり(都市基盤)

次に、5点目「心地よく暮らせるにぎわいと交流を支えるまちづくり」についてです。

米原駅東口まちづくり事業につきましては、2021年度のまちびらきを目指し、一般社団法人米原駅東口まちづくり協議会において協議が進められています。市としましても、一般社団法人との連携はもとより、円滑な事業の推進、有効な土地利用が図られるよう、滋賀県との調整も進めてまいります。

統合庁舎整備につきましても、本年8月に実施設計を終え、いよいよ秋には建設工事に着工する予定です。

米原市の持つポテンシャルを生かし、未来を大きく切り拓くステージが目の前にあります。

統合庁舎と米原駅東口まちづくり事業を連動させ、県内唯一の新幹線駅の徹底活用と都市機能の強化を図り、「米原新時代」を象徴する新しいまちづくりの拠点をつくり上げてまいります。

JR駅周辺の環境整備につきましては、醒ヶ井駅、近江長岡駅と、順次、駅前広場と駐車場整備工事を進め、利便性の向上を図ってまいります。

また、柏原駅および坂田駅の周辺整備につきましても、それぞれの地域特性を踏まえながら、国の交付金活用を視野に 入れた都市再生整備計画の策定を進めます。

続きまして、公共交通についてです。

乗り合いタクシーまいちゃん号は、昨年度のリニューアル後、利用者も増え、市民の皆さまにとりまして利便性の高い公共交通ネットワークを整えることができたと考えております。更なる利便性向上と経費抑制の両方が図られるよう、全体的なバランスも見極めながら、公共交通の充実に取り組んでまいります。

都市計画の関係では、今年度から来年度にかけまして進めております都市計画道路の見直し業務のほか、都市計画を 定めるための基となる都市計画基本図の更新を予定しています。引き続き、本市の発展と秩序ある土地利用が進められるよう努めてまいります。

市営住宅、改良住宅につきましては、引き続き、適切な維持管理に努めますとともに、小集落改良住宅譲渡基本方針に基づき、改良住宅の譲渡を進めてまいります。

暮らしを支える道路交通網の整備に関しましては、継続性、緊急性、重要性を鑑み、計画的に整備を進めてまいります。また、道路の計画的な予防修繕を推進し、安全で安心な道路ネットワークを維持していくため、市道維持管理計画の見直しを行います。

6.まちづくりを進めるための基盤(都市経営)

最後に、6点目「まちづくりを進めるための基盤」についてです。

私たちは、合併新市として動き出す際、市政運営の礎となる標準装備の1つとして米原市自治基本条例を制定しました。地方分権が進み、「地域のことは地域で決める」時代となった中、しっかりとした基盤を持ってまちづくりを進めていくことが 必要であると考えたためです。そしてこれまで、本市では自治基本条例の理念に基づき、相互補完や連携による協働のまちづくりを推進してまいりました。

米原新時代への一歩を踏み出そうとする今、私は、改めて市民主体のまちづくりについて、皆さんと一緒に考えてまいりたいと思います。そのための仕組みである、間接民主主義を 補完する、常設型の住民投票条例の制定を目指してまいります。

人口減少や高齢化が進む中山間地域では、将来にわたって地域住民が暮らし続けることができるよう、日常生活に不可欠な施設や地域活動を行う場所を集約し、生活圏を維持していくことも考えていかなければなりません。

そうした点も踏まえながら、地域の拠点づくりとして、休校中の東草野小中学校の活用方策について地域の皆さまとともに検討を進めてまいります。

続きまして、行政経営についてです。

統合庁舎の整備に伴う既存庁舎の利活用のうち、山東庁舎につきましては、今年度内に利活用方針の決定を行う予定です。来年度は、仮称総合支所としての利活用に向けた具体的検討を進め、基本計画の策定を行います。併せて、山東庁舎以外の既存庁舎の利活用についての検討も進め、方針決定をしてまいります。

また、統合庁舎建設に関連したネットワーク等の整備につきましても、関係先と調整を図りながら、構築作業を進めてまいります。

時代の変化に対応し、効果的で効率的な行政経営を進めていくには、それを担う職員の能力向上と意識改革が不可欠です。

かねてより、職員には地域に出向き、市民の声をしっかり聴き、地域に寄り添い、共に歩んでいく、これ以外に私たちの 歩み方はないと伝えています。

昨今、職員には、専門的知識はもとより、地域の課題解決に向け、多様な主体の力をつなぎ合わせるコーディネーターとしての能力やプレーヤーとしての役割が求められています。

そうした中、地域に出向くことの積み重ねこそが、課題を見つけ、地域に化学反応を起こすことができる人材の育成につながると考えています。

職員が地域の皆さまと共に活動する地域担当職員制度を一層推進してまいりますので、地域の皆さまには是非活用いただきたいと考えています。

次に行財政改革の推進についてです。

少子高齢化と人口減少という前例のない時代に立ち向かうには、従来型の行政経営からの転換、新たな発想を取り入れた行政経営が必要です。

現在の第3次行財政改革大綱が来年度に終期を迎える中、こうした視点を踏まえつつ、弛(たゆ)みない行財政改革を推進するため、次期大綱および実施計画の策定を行います。

また、若年労働力の絶対量の不足が見込まれる中、自治体としても人工知能、いわゆるAI(エーアイ)などを使いこなすスマート自治体への転換が求められています。手間と時間がかかる仕事を効率化し、職員を創造的な仕事や市民のみなさんとのコミュニケーションにより多く関わらせることで、市民サービスの向上につなげていかなくてはなりません。

まずは、その第一歩として、AI(エーアイ)音声認識技術を活用した会議録作成支援システムを導入し、事務効率の改善を図ってまいります。さらに、AIや、ロボットによる業務自動化、いわゆるRPA(アールピーエー)などのICTによる自動化技術についての研究を進め、こうした技術を導入する業務を拡大してまいりたいと考えています。

また、平成31年度当初予算案には、議会ICT化推進に係る議員活動支援システム導入経費も計上させていただいております。地域での議員活動に役立つ、見たい資料がすぐに見ることができるなど、議員活動の深化につながる環境整備であるとともに、市役所内のペーパーレス化も図ることができるものと考えております。

今後、納税者数の伸び悩みや相続放棄の増加が予想され、税収の大きな伸びは見込めない状況です。しかし、当然ながら、市の自主財源の根幹である市税収入の確保を図ることは、 地域の実情や市民のニーズに応じた施策の実施に直結してまいります。引き続き、適正な賦課徴収による税収の確保に努めてまいります。

本市の財政状況といたしましては、健全化判断比率、資金不足比率、いずれの指標も早期健全化基準を下回っておりますが、国による合併支援措置も終わりに近づく中、社会保障関連経費への対応や、公共施設の長寿命化、人口減少対策などの切迫した諸課題にも取り組んでいく必要があり、今後ますます厳しい財政運営が余儀なくされてまいります。

こうした中にあって、持続可能な財政基盤を維持していくために、全職員が共通した現状認識の下、事業の選択と集中や公共施設の再編といった行政資源配分の最適化、民間活力の活用、国・県支出金の獲得といった財源の確保などに積極的に取り組み、健全な財政運営を継続してまいります。

【信頼回復に向けて】

以上、平成31年度における市政運営の基本的な考え方と主な取組事項について申し上げました。

平成29年度、職員の不祥事が相次いだことから、平成30年度の施政方針で私は、服務規律の確保や法令順守を徹底していくことを申し上げました。

しかし、結果は皆さま御承知のとおり、職員による不祥事が続くこととなり、今の市役所に対する市民の皆さまからの評価は大変厳しいものがあると受け止めております。

市役所職員は、市民の皆さまからの信頼の下、市民の皆さまに安全安心な生活を送っていただけるよう、公務を通して奉仕しなければなりません。

市民の皆さまの信頼回復に向けましては、法令順守、一つ一つの業務を誠心誠意対応していくことしかないと認識しており、全職員が二度と不祥事を起こさないという決意の下、昨年度、改定した米原市職員コンプライアンス行動指針に基づき、職務に当たってまいります。

【結びに】

最後になりますが、私は、市民の皆さんの幸福感を高めるために、新しい米原市をどう創っていくのか、ここにこだわり、市政運営に取り組んでまいりたいと考えています。そして、その舞台は地域であり、主人公は市民の皆さんです。

米原市には、自分の知識や技術を生かして、誰かの役に立ちたい、地域の役に立ちたいという強い思いをお持ちの市民がたくさんいらっしゃいます。まちづくりを進める上でこれほど心強いものはありません。人口減少や超高齢社会への対応などさまざまな課題はありますが、皆さんと知恵を出し合い、力を合わせることで、未来展望は切り拓けると確信しています。

米原新時代をともに創ってまいりましょう。

米原市が直面している諸課題を乗り越え、「ともにつながり ともに創る 住みよさ実感 米原市」を実現していくため、市議会議員の皆さまをはじめ、市民の皆さまの御理解、御協力をお願い申し上げ、平成31年度の施政方針とさせていただきます。

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