施政方針(平成30年第1回米原市議会定例会)
更新日:2019年02月28日
平成30年度 米原市施政方針
平成30年 米原市議会 第1回定例会の開催に当たりまして、平成30年度の市政運営の基本的な考え方と主要事業について述べさせていただきます。
【市政運営の基本的考え】
私が3期目となる市政の重責を担わせていただいてから、早1年が経とうとしています。この間、市民の皆さまとお約束させていただいた、新たな公共交通システムの導入や若者の定住促進を目的とした給付型奨学金制度の創設など、市民の皆さまや議会の御理解を得て、着実に進めてくることができ、感謝を申し上げます。
市民の皆さまの負託に応えられるよう、市民の希望、地域の願いの実現に向けて邁進してまいります。
さて、今年は、アメリカの公民権運動を指導したキング牧師の没後50年を迎えています。
「I have a dream.」 私には夢があると繰り返し語りかける、あの有名な演説。私は、まちづくりを進める上で、みんながまちの将来像を共有し、みんなでその方向に向かっていくことが、非常に大切なことであり、大きな力を生み、まちを変えていくと考えています。
暮らしの中では景気の回復を実感するには至らず、格差の固定化、貧困の連鎖といった社会のひずみも日本の未来に暗い影を落としています。
また、先月発表された国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、晩婚化や未婚・離婚の増加により、2040年には全世帯の約4割が一人暮らしになり、その半数近くは高齢者とのことです。一人暮らしの高齢者をどのように社会で支えていくのか、大きな課題です。
働き方改革など、高度経済成長期に作られたシステムの見直しも進む中、これからの社会がどうなっていくのか、モデル無き時代を迎え、先行きが不透明なために多くの人々は不安を抱いているように感じます。
こうした時代だからこそ、行政は、市民の暮らしをしっかりと守り、希望ある将来像を実現していくための道筋を市民に示すことが強く求められていると考えています。
市役所の仕事の現場は地域です。地域に出向き、そこで聴く不安の声に寄り添い、ともに考え、進んでいく。その一つ一つを着実に積み重ねていくことが、市民の安心へとつながってまいります。
同時に、私たちには想像力と実現力も問われています。地域の実情をこのままにしていたら将来どうなるのか、想像力をたくましくし、今何をしなければならないのか、どのようなプロセスを踏んだら希望を現実にしていけるか、こうしたことを市民に丁寧に語ることが、まちづくりへの思いを同じくすることに結び付いていくと考えます。
未来は、「今」の積み重ねです。この「今」を少しずつでも変えていければ、未来は大きく変わります。
政府は、先般、公的年金の受給開始時期について、受給者の選択により70歳以降に先送りできることや、高齢者の就労促進などを盛り込んだ高齢化対策の指針となる大綱を閣議決定されました。
年齢によって一律に高齢者として扱うことから、時代は変わろうとしています。
本市において展開している「地域お茶の間創造事業」は、地域を支えたいという意欲を持つ高齢者の皆さんの活躍の場としての側面も持ち合わせています。
人生100年時代という言葉も聞こえ、個人の価値観の変化や多様化が進む中、働く意欲のある高齢者の知識や経験を地域で生かせるような仕組みの充実や、人と関わりながら社会に貢献する充実感を感じられる場所を増やしていくことは、地域の元気にもつながってまいります。
一方、女性や若者の希望に応えられているのか、という点についても、結婚、子育てと仕事の両立、貧困の問題など、まだまだ課題は山積しています。
子ども政策は未来への投資です。
安心して子どもを産み育てられる施策を総合的に進めるとともに、女性、若者の人生設計における選択肢を増やし、一人一人が家庭、地域、学校、職場などそれぞれのステージで活躍できる環境づくりを一層進めていくことが必要です。
しかしながら、限られた経営資源の中、少子高齢化と人口減少の進展、公共施設の再編・長寿命化や社会保障関連経費の増大など喫緊の課題への対応も迫られており、これまでの制度や仕組みを変えていかなければ、多様なニーズに応えることはできず、ましてや未来展望を見通すこともできません。
世代を超えて、一緒になって、地域課題の解決に取り組む、総合計画でも掲げる、多様な主体が目標に向かい力を合わせる「総働」、分野の異なる人々の特性を生かし、連携して創造する「共創」のまちづくり、言い換えますと、「公」の仕事を分かち合い、多様な主体が担っていく、地域の支え合いの取組を着実に進めていくことが必要です。
日本の1人当たりGDPが伸びても、生活満足度は上がっていないというデータがあります。幸せの価値観が変わってきています。
人とつながること、一緒になって地域づくりに取り組むことに、生きがいや幸せを感じる人が増えつつあるのではないでしょうか。
私は、市民と市民、市民と行政がつながりながら、米原ならでは、米原だからこその取組を進めることで、市民の皆さんの幸福感、満足感を高めてまいりたいと考え、平成30年度は「住みよさ実感予算」を編成することとしました。
そしてそれが、少子高齢化、人口減少問題、地域疲弊を打ち破っていくことに結び付いていくと確信しています。
【平成30年度施策構築および予算編成に当たって】
その上で、平成30年度の施策構築に当たりましては、総合計画に掲げる本市の目指すべき将来像「ともにつながり ともに創る 住みよさ実感 米原市」を実現していくための6つの基本目標に沿った取組を推進していくとともに、私が市民の皆さまにお約束した4項目を重点取組事項とさせていただきました。
1つ目は、「子ども、女性、若者、高齢者、障害者にやさしいまちづくり」
2つ目は、「暮らしに安心・地域が元気なまちづくり」
3つ目は、「未来へ、確かな歩みを始めるまちづくり」
最後、4つ目が、「市民の声で、市民とともに築くまちづくり」です。
そして、平成30年度の予算編成に当たりましては、限られた財源の中で、各部局が真に必要な事業を見極めることにより、メリハリのある予算を編成するよう、ここ数年の一件審査予算方式、いわゆる積み上げ式に変えて、一般財源ベースでの枠配分方式を一般会計に導入しました。
また、予算の概算要求額の査定を行い、歳出から見た一般財源必要額と歳入から見た一般財源見込額を算出し、不足する差額に対してのマイナスシーリングも併せて実施したところです。
各施策の目標に対する進捗状況、社会の動きなどを踏まえつつ、私たちが作っていく政策、予算が地域の暮らしに寄り添い、米原市の未来を切り拓くものとなっているか、議論を重ねながら編成してまいりました。
それでは、4つの重点取組事項を組み入れた「平成30年度住みよさ実感予算」における主要事業について、総合計画の基本目標に沿って説明させていただきます。
【主要事業】
1.健やかで安心して暮らせる支え合いのまちづくり(福祉)
まず、1点目「健やかで安心して暮らせる支え合いのまちづくり」についてです。
地域福祉・高齢者福祉につきましては、後期高齢者として、いわゆる団塊の世代が75歳を迎える2025年に向けて、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができ、健康で生きがいを持って地域で活躍できるようにしていくことが必要です。
国が提唱している地域共生社会とも重なる部分が多く、県内でも先進的な取組として効果を生み出している、地域お茶の間創造事業の一層の拡大に向けた取組と介護予防活動の強化を進めますとともに、元気な高齢者の活躍の場づくり、地域支え合い事業の推進と地域力の強化に取り組んでまいります。
さらに、地域の助け合いによる移動支援体制の構築に向け、互助による送迎サービスや外出支援の提案、昨年導入した新公共交通システムの利用支援の仕組みの検討など、地域の実情に寄り添いながら、さまざまな生活支援を結び付けてまいります。
育児、介護、障がい、貧困など、複合化・複雑化した課題に対し、単独の相談機関では対応できない、いわゆる「制度の狭間(はざま)」の問題があります。この課題を解決できるよう、各相談機関を総合的にコーディネートするための相談支援包括化推進員を配置し、包括的な相談体制の強化を進めてまいります。
次に障がい福祉の推進です。
平成29年度から、市民委員の皆さんとともに策定を進めてきた手話言語条例案を本定例会に提案させていただきました。
障害者の権利に関する条約および障害者基本法において手話が言語として位置付けられ、また平成28年には障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されるなど、地域における共生社会の実現のための施策推進が求められています。この条例を制定することで、手話に関する取組を一層推進し、手話やろう者の皆さんに対する理解を広めるとともに、これを1つの礎(いしずえ)として、誰もが自分らしく地域で安心して暮らすことができるまちづくりを更に進めてまいりたいと考えます。
現在、湖北圏域では、医療が必要な重症心身障がい児者の入院等を受け入れる病床がなく、県南部の医療機関受診の際には、喀痰(かくたん)吸引などが必要な移送になることもあり、介護者や家族の負担は大きいものがございます。そのようなことから、医療移送支援制度を創設し、御家族の費用負担軽減に取り組んでまいります。
次に、健康づくりについてです。
平成29年度に、市では健康増進計画「第2次健康まいばら21」の中間評価と計画の見直しを進めてまいりました。これまでの取組の効果が表れ、成果指標の1つである、特定健康診査の受診率は、昨年の県平均38.2%に対し、本市は県内6位の47.9%と上昇傾向にございます。しかし一方で、肥満や運動不足などの健康課題も見えてきところです。引き続き、特定健診・がん検診の受診率向上、糖尿病等の発症や重症化の予防、食育の推進に努めるとともに、見直した当計画を健康版総合戦略と位置付け、暮らし・健康・スポーツなどの各分野が連携して、ライフステージに応じた健康づくりを展開し、健康寿命の延伸と医療費の抑制を目指してまいります。
具体的取組の一例としましては、国民健康保険の被保険者を対象に、過去3年連続で特定健診を受診した場合の受診料無料化を引き続き実施するとともに、新たに、スマートフォン向けの健康増進アプリ「BIWA(ビワ)-TEKU(テク)」を活用して、利用者が各種健診の受診や、ウォーキングなどの健康づくりイベントへ参加した際にポイントを付与し、そのポイントに応じて景品などを提供する「健康スマホ スタンプラリー事業」にも取り組み、市民の健康づくりを推進してまいります。
また、国民健康保険制度の改正により、平成30年度から県が国民健康保険の財政運営の責任主体となりますが、市は、地域住民と身近な関係の中で、資格管理、保険給付、保健事業等、地域でのきめ細かい業務を引き続き担うこととなります。円滑な事務の遂行に努めますとともに、平成30年度から本格的に実施される「保険者努力支援制度」では、保険者の経営努力が評価されることとなりますので、先に述べました取組をはじめ、医療費適正化に向けた取組を一層進めてまいりたいと考えています。
次に、子育て支援についてです。
米原市子ども・子育て支援事業計画に基づく支援施策を推進するとともに、次期計画の策定に向けた作業を平成30年度から2か年にわたって進めてまいります。
子育てに関する経済的負担や不安の解消を図るため実施している、0歳児から5歳児までの第2子以降の保育料軽減事業、中学生までの医療費無料化を引き続き実施します。
また、4月に開園するまいばら認定こども園をはじめ、各園の適正な運営に努め、子ども一人一人に寄り添った教育・保育を提供してまいります。
保育環境・施設の充実を図るため、私立保育所等の施設整備についての支援も行ってまいります。
また、保護者の就労形態の多様化に対応すべく、保育標準時間認定の時間帯を超える延長保育については、昨年11月から米原中(なか)保育園においてモデル的に開始したところです。平成30年度からは、まいばら・かなん・いぶきの各認定こども園において、早朝7時からと夕方7時までの延長保育事業をモデル実施し、取組における課題整理をした上で、市内全公立認定こども園での本格実施に向けての体制整備を進めてまいります。
さらに、公立認定こども園および山東幼稚園においては、長期休業期間中の対応として幼稚園型一時預かり事業を始めたいと考えております。
平成29年度から一部のこども園・保育所でスタートした「体調不良児対応型病児保育事業」につきましても、平成30年度からは、市内全公立認定こども園での取組を開始し、共働き世帯への支援を充実させていきます。
放課後児童クラブにつきましては、安全で、安心できる場所としての運営に努め、仕事と子育ての両立を支援してまいります。
医療機関等で産後の母親の不安解消を図る産後ケア事業や、妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談支援を行う子育て世代包括支援センター事業、発達支援センターを中心とした発達障がい児者とその家族を切れ目なく支える体制づくりなどを総合的に進めることで、次世代を担う子どもたちの成長を見守ってまいります。
こうしたきめ細かな子育て支援を行い、安心して子どもを産み育てられるまちづくりを推進してまいります。
また、結婚を希望される方の出会いの機会が増えていくよう、結婚相談所の登録の仕組みを見直すなど、結婚相談窓口の充実を図ってまいります。
高額の治療費が掛かる特定不妊治療および不育治療について、その費用の一部を助成しておりますが、新たに男性不妊治療費についても助成し、不妊に悩む夫婦に寄り添ってまいります。
また、ひきこもり、ニート、精神疾患を患う若者などの側(そば)にいながら、自立に向けた支援を行っていけるよう、若者自立ルーム「あおぞら」「子ども・若者支援地域協議会」「少年センター」の連携による総合的な応援体制の充実を図ってまいります。
このような、出会いから結婚、出産、子育てまで切れ目のない支援を進めていくことで、滋賀県一子育てしやすいまちを築いてまいります。
2.ともに学び輝き合う人と文化を育むまちづくり(教育・人権)
次に、2点目「ともに学び輝き合う人と文化を育むまちづくり」についてです。
平成29年度の最重点取組事項の1つとして、制度の構築を進めてまいりました給付型奨学金ですが、先般の第4回定例会において条例の制定について可決いただきましたので、今定例会では、その必要額を当初予算に盛り込みました。
この制度は、学ぶ意欲と米原市に愛着を持つ若者への本市からのメッセージです。着実な制度の実施により、若者の就学支援と市内への定住促進につなげてまいります。
さて、本市の児童生徒の学力の状況につきましては、ここ数年、「継続して小学校は全国平均より低く、中学校で全国平均並みに回復する」「学力の2極化」「抽象的で論理的な思考を必要とする活用力を問う問題に課題がある」といった傾向が見えてまいりました。
低学年の具体的な学習内容から、抽象的、論理的な思考を必要とする中学年の学習には壁があり、これをうまく乗り越えられないと学習に対する自信をなくしたり、基礎的な学力が定着しなかったりする課題が残り、その後の学習活動に大きな影響を及ぼします。
こうした状況を踏まえ、学習内容がそのステップに移行する小学校3年生を対象とした放課後補充教室「学びっ子」を開設し、学力の定着を図り、2極化の解消に向けて取り組んでまいります。特に支援が必要な家庭の児童については、この取組への参加を勧めていきます。
また、この中で、一人親家庭など経済的に厳しい状況に置かれた子どもへの支援として、送迎面の不安を取り除く、ファミリーサポートセンター事業の一人親家庭に対する利用助成も併せて行い、子どもたちの学習をしっかりと支えてまいります。
確かな学力の保証につきましては、35人学級編成や少人数指導を継続して実施し、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな指導を進めます。
昨年、文部科学省が公表した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の平成28年度分の結果では、前年度と比較して、全国、滋賀県における小中学校のいじめの認知件数は、小中ともに増加しており、本市におきましても、疑わしいものも含めてより丁寧に把握する中で、増加している結果となりました。
いじめ問題対応支援員の配置や、関係機関の連携により、いじめ・問題行動の未然防止、早期発見、早期対応に努めてまいります。
小学生の英語教育の推進につきましては、市内5小学校を英語科の教育特例校に指定し、小学校1年生から独自のカリキュラムによる英語教育を進めてまいりました。平成30年度は全小学校を英語科教育特例校として、英語教育を一層推進してまいりたいと考えております。英語に慣れ親しみ、英語や外国の文化への興味・関心を高め、学んだことをもとに英語を積極的に使える児童生徒を育成してまいります。
これに関連しまして、ホストタウン事業として、相手国のニュージーランドからスポーツ国際交流員・SEAを招聘(しょうへい)し、スポーツを通じた英語教育にも取り組んでまいります。
さらに、電子黒板、デジタル教科書、タブレットパソコンなどの配備を進め、ICTを活用した授業ができる環境づくりと授業展開に取り組みます。
また、伊吹山中学校のエレベータ設置工事、柏原中学校校舎防水工事、伊吹小学校・春照小学校・米原中学校体育館LED化改修工事、双葉中学校校舎長寿命化改修設計など、安心安全で快適な教育環境となるよう、計画的に施設整備を進めてまいります。
子どもの成長を支える給食につきまして、食物アレルギーを持つ子どもたちに配慮した給食の提供をはじめとする、安心・安全な給食の提供を最優先とし、地場産物の活用や、全国の郷土食、世界各国の料理といった特色あるメニューを給食に取り入れるなど、食への関心を高める取組も進めてまいります。
次に、学校、家庭、地域が連携して子どもたちの成長を見守る取組として、学校支援地域本部事業に加え、新たにコミュニティ・スクール制度をモデル的に導入し、地域の声を学校運営に生かしながら地域と共にある、特色ある学校づくりを進めてまいります。
昨年は、双葉中学校の陸上部が男子400mリレーで中学校記録を塗り替えての全国優勝を果たしたほか、春照ホッケースポーツ少年団が全国スポーツ少年団ホッケー交流大会で優勝、更に、米原中学校の陸上部男子が滋賀県中学校駅伝大会で優勝するなど、米原の子どもたちがスポーツで大活躍してくれました。
また、包括連携協定を締結している青山学院大学と連携した駅伝大会を開催し、多くの子どもたちや市民の皆さんに、箱根駅伝4連覇を果たしたトップアスリートの技術を肌で感じていただくことができました。
引き続き、スポーツに取り組んでいる若い人たちを支える環境づくりや支援する取組を進め、スポーツを通じた人づくり、健康づくりを目指してまいります。
また、2024年の滋賀国体に向けて、伊吹第1グラウンドを多目的に活用できるよう、全面人工芝とする改修工事を行うとともに、ホッケーのジュニア選手育成の取組としてトップアスリート交流事業を実施します。
「希望と元気あふれるスポーツコミュニティまいばら」を将来像として定めるスポーツ推進計画の中間年に当たることから、現状課題等を整理した上で、今後のスポーツ推進のあり方についても検討してまいります。
また、リニューアルした近江はにわ館を活用して、市民に芸術作品の発表や表現の機会を提供するなど、文化や芸術に親しみながら生涯にわたって学ぶことができるまちづくりも進めます。
誰もが身近に利用できる文化・情報拠点である図書館につきましては、「暮らしに寄り添い、地域とつながり、学び合える図書館」を基本理念に置きながら、利用状況や利用者ニーズなどに応じた効果的・効率的な運営形態を検討してまいります。
また、江戸時代から昭和30年まで約300年にわたり、中山道・柏原宿のさまざまな出来事を記録した「萬留帳(よろずとめちょう)」の翻刻(ほんこく)調査・報告書発刊をはじめとして、歴史文化遺産を次の世代にしっかりと継承していくとともに、大原太鼓踊りフェスティバルと連携した「まいばらまつりサミット」の開催によって、「山麓の祭り・太鼓踊り」をPRしていくなど、本市の豊かな歴史文化の情報発信と活用についても推進してまいります。
人権尊重のまちづくりにつきましては、今年度実施した人権意識調査の分析結果を踏まえ、社会情勢の変化に対応した啓発、人権教育を行うとともに、人権施策基本方針の改訂に向けた準備を進めてまいります。
また、地域における男女共同参画を推進していくため、部局横断的に一層の啓発に努めることと併せて、自治会運営への女性の参画促進を図ってまいります。
3.水清く緑あふれる自然と共生する安全なまちづくり(環境・防災)
次に、3点目「水清く緑あふれる自然と共生する安全なまちづくり」についてです。
環境の分野につきまして、来年度策定する第2次環境基本計画に基づき、本市の目指すべき環境像の具現化に向けた取組を進めてまいります。
木製コンポストによる生ごみの堆肥化を普及させ、焼却ごみの減量化とリサイクルを図る協働事業の実施や再生可能エネルギーを活用した発電事業を支援し、市民とともに環境意識の高揚を図りながら、資源循環型社会の構築を目指してまいります。
また、先人たちが守り、育ててきた米原市ならではの景観を貴重な共有財産として、未来へ大切に引き継いでいくため、景観計画に基づいたまちづくりを推進します。
次に、防災についてです。
昨年の台風5号および21号により、市内各地の農地・林道・橋りょうなどが大きな被害を受けました。市民生活への影響を最小限に抑えるため、災害復旧事業の早期完了を目指します。
今年度、整備が完了しました防災情報伝達システムにつきましては、万一に備え、その効果が高まるよう、引き続き、市民に対しての丁寧な説明に努めてまいります。
平時からの備えが問われる中で、市総合防災訓練につきましては、伊吹地域をメイン会場に避難所開設運営訓練等、実践的な防災訓練を予定しており、出前講座なども含め、市民の防災意識、災害対応力の向上を図ります。
災害から自分たちの地域を守る自主防災組織は、現在、ほぼ全自治会に設置いただいており、災害に備えて、日頃から訓練などに取り組んでいただいています。
しかしながら、災害への備えがこれでよしということはなく、地域の防災力を高めていく弛(たゆ)みない努力が大変重要です。
自主防災組織の標準装備品の整備を進めるため、各地域での計画的な資機材の整備について引き続き支援するとともに、地域での防災リーダー育成を図ってまいります。
次に、地域防災の主力を担う、消防団につきましては、配備車両の計画的な更新を進めますとともに、可搬式小型ポンプ積載車未配備の消防班への配備を支援していきます。
また、災害発生時には、高齢者や障がい者などの避難行動要支援者が犠牲者の多くの割合を占めています。支援を必要とされる方が迅速に避難できるよう、個別支援計画の策定と地域での見守り体制の強化を進めてまいります。
交通安全施設整備としては、市道高番春照線歩道整備工事の実施をはじめ、子どもたちや高齢者が安心して通行できるよう道路の安全対策を進めます。
過去に痛ましい交通死亡事故が発生した市道箕浦碇(いかり)線の交差点につきましては、事故の減少に有効とされる環状交差点、いわゆるラウンドアバウト方式を採用した整備を行い、交差点を通る児童や生徒、地域の皆さまの安全確保を図ってまいります。
次に、雨水整備事業の促進です。今年度完了した長岡第1排水区雨水バイパス管整備事業においては、昨年の台風による豪雨でも浸水被害が発生せず、改めてその効果を認識したところです。水害から市民の生命、財産を守るべく、醒井地区、多和田地区の設計、宇賀野地区の工事といった雨水整備事業を着実に進めてまいります。
さらに、防災重点ため池の災害時における人的被害防止のため、ため池ハザードマップの作成と耐震診断調査を実施します。
河川改修や浚渫(しゅんせつ)、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業につきましても、滋賀県と連携しながら、事業の促進を図ってまいります。
また、水道施設につきましては、伊吹南部地域の水質の硬度低減化に向けた工事や老朽管の更新など、適正な維持管理を行い、水道水の安定供給に努めてまいります。
下水道施設につきましては、大規模地震に対する影響を最小限にとどめるため耐震化を進めますとともに、長寿命化工事を推進してまいります。
さらに、農業集落排水処理施設の老朽化対策調査の実施や、汚水処理の集約化と効率化を図るため、菅江地区農業集落排水施設の公共下水道接続に向けた実施設計にも取り組みます。
4.地域の魅力と地の利を生かした活力創出のまちづくり(産業経済)
次に、4点目「地域の魅力と地の利を生かした活力創出のまちづくり」についてです。
際立つ地域になるための成功法則として、次の3つがポイントとなると言われています。
まず、「本物であること」。これは、そこにしかないもの、歴史がある、本質的な美があるといったことです。
次に、「物語があること」。これは、本物だということの確かさを感じられるストーリーがあるといったことです。
そして、最後が「体験があること」。本物や物語を実際に体験できる仕組みや仕掛けがあり、その世界に深く浸ることができるといったようなことです。
米原市はどうでしょうか。私はその要件を十分に備えていると確信しています。
御承知のとおり、先般、国土交通省が主催した「“水のめぐみ”とふれあう水の里の旅コンテスト2017」におきまして、市民・企業の皆さんと共に本市が提案した「びわ湖の素・米原 日本遺産と水源の旅」が最優秀賞を受賞しました。
市内の水の恵みのポイントを日本遺産とともにサイクリングで巡るこの企画は、「水源の里まいばら」の魅力を広く知っていただけるきっかけとなるとともに、サイクルツーリズムによる交流人口の増加にもつながるものと考えており、企画に磨きをかけ、活用を図ってまいります。
昨年7月から約3か月にわたり、石田三成公を主人公にした映画「関ヶ原」の公開に合わせた企画展を開催しました、三成公ゆかりの地・観音寺周辺の観光拠点化につきましては、地元の皆さんとともに、参道など周辺環境の整備や観光客の満足度を向上させるための受入体制整備を進めます。また、大河ドラマ化実現に向けた要望活動を彦根市、長浜市と連携して行うほか、広域観光の推進について、県や近隣市町との連携を図りながら、PRや戦略的な事業展開を行ってまいります。
また、本市を代表する地域資源である伊吹山につきましては、伊吹山麓道路整備を計画的に進めるほか、伊吹山の貴重な自然環境や歴史文化と調和した観光振興に地元自治会などと協力して取り組むことで、伊吹山活性化と地域の発展を目指してまいります。
次に、農業分野です。農業委員や農地利用最適化推進委員と連携しながら、引き続き、遊休農地の解消や人・農地プランの作成支援を進めてまいります。
また、農業経営の安定や農地の利用集積、地域素材を生かしたブランド化にも取り組んでまいります。
担い手支援につきましては、これまでから進めてきたところですが、平成30年度からは新たに、中小規模農業者への機械購入等補助制度と定年帰農者等を担い手へと誘導するための支援制度を創設します。
獣害対策につきましては、集落ぐるみの獣害柵の設置や捕獲などが功を奏し、農作物被害は減少傾向になりました。しかし、標高の高い区域や国有林、奥山におけるシカなどの食害は深刻化していることから、引き続き、集落ぐるみの取組の実施を推進するとともに、捕獲体制の充実、標高の高い区域のシカの捕獲に努めます。
中山間地域の雇用の創出や里山復活の可能性を秘めた自伐型林業。本市では昨年、3人の自伐型林業みらいつくり隊員を迎えています。隊員の活動支援を通して、里山経営のモデルづくりと隊員の定住につなげてまいりたいと考えています。
また、女性や若者などの起業や創業への支援を継続するとともに、新たに、市内企業へのインターンシップ受入事業を実施し、若者のUIJターンの促進を図ります。
5.心地よく暮らせるにぎわいと交流を支えるまちづくり(都市基盤)
次に、5点目「心地よく暮らせるにぎわいと交流を支えるまちづくり」についてです。
米原創生の鍵を握るとも言える米原駅東口まちづくり事業につきましては、みずほコンソーシアムおよび滋賀県との公民連携協議を進展させ、事業の早期実現を目指してまいります。
また、統合庁舎の整備につきましては、本年6月に基本設計を終え、実施設計に着手し、2020年度の完了を目指してまいります。
関西圏・中部圏・北陸圏の結節点である米原駅のポテンシャルを最大限に生かし、米原駅周辺の都市機能の強化に直結する米原駅東口まちづくり事業と統合庁舎の整備を上手く連動させ、推進していくことで、滋賀の玄関口にふさわしい、駅を核としたまちづくりを進めます。
滋賀県随一の交通社会資本を有する本市の強みを最大限に活用し、鉄道駅の利便性と歴史や文化などの地域特性を生かしたまちづくりとして、現在、醒ヶ井駅、近江長岡駅、柏原駅のJR東海道本線3駅周辺地域の活性化に取り組んでいるところです。平成30年度につきましても、醒ヶ井駅前広場・駐車場整備工事や近江長岡駅の交通拠点施設建築工事などを着実に進めてまいります。
また、民間での開発が進む坂田駅周辺につきましても、坂田駅周辺まちづくり委員会とも連携を図りながら、都市機能・産業機能の強化・充実を目指してまいります。
また、駅と地域、地域と地域を結ぶ、利便性の高い公共交通ネットワークを構築するため、昨年、乗り合いタクシーの運行の見直しを柱とした市内公共交通の見直しを行いました。市内全域、市外への乗り入れが可能となったことから、以前より利用者も増え、利用者から評価する声もいただいております。引き続き、公共交通に対する市民の皆さまの満足度向上に努めてまいります。
安全で円滑な移動を支える道路に関しましては、道路網整備計画に基づき、都市計画道路の顔戸長沢線や市道板戸市場線、市道市場間田線など幹線道路網の整備を着実に進めてまいります。
さらに、人口減少やライフスタイルなど社会情勢が変化する中、本市の将来を見据えた快適な住環境を形成していくため、都市計画マスタープランに基づく計画的な都市づくりを進め、無秩序な開発を抑制しながら、地域の実情に応じた土地利用の誘導を図ります。
次に、全国的な課題となっている空家問題についてです。
人口減少に伴い、市内でも空家は急増しており、このままでは地域コミュニティや市民の皆さんの安心安全な生活環境に深刻な影響を及ぼすことが予想されます。その対策として、本市では平成27年度に「空家等の発生予防、管理および活用の推進に関する条例」を施行、また、「空家等対策計画」を策定し、「空家にしない、させない、ほっとかない」を基本理念とした取組を進めているところです。
新たに、市内全域を対象とした空家改修支援制度として、移住定住促進と地域経済活性化の目的も併せ持つ、「びわ湖の素・米原 住宅リフォーム補助金」を創設いたします。
また、倒壊、崩壊など市民の生命や財産を脅かすおそれのある危険な空家、「特定空家等」につきましては、除却補助制度の創設と略式代執行の実施も予定しており、引き続き、空家の発生予防、管理・活用を含めた総合的な空家対策を推進していくことで、地域に暮らす皆さんの安心と安全な生活環境の確保、良好な景観の保全に努めてまいります。
次に、移住・定住の促進についてです。やはり、米原市という名前を知ってもらうことは非常に大切です。知らない地域には関心も持たれませんし、関心のない地域には行ってみようとも思われません。ターゲットを絞った効果的なプロモーションが必要です。
水源の里まいばらの個性をしっかりと打ち出し、米原市に関係する人を増やすことで、本市への新しい人の流れの創出、移住・定住へとつなげてまいりたいと考えます。
その新しいアプローチの1つとしまして、首都圏において米原市の魅力をPRするイベントと本市を訪れ、体感してもらうツアーを計画しています。米原市が訪れてみたいまち、住んでみたいまちとして選択されるよう、戦略的なシティプロモーションに取り組みます。
6.まちづくりを進めるための基盤(都市経営)
最後に、6点目「まちづくりを進めるための基盤」についてです。
総合計画と連携して、本市のまち・ひと・しごと創生を推進する総合戦略は、目標年度まで残り2か年となります。次の世代への取組の努力と、生まれつつある成果と結果を示しながら、米原創生関連施策の着実な推進を図り、総合戦略の具現化に向けての動きを加速してまいります。
まち・ひと・しごと創生を効果的・効率的に推進していく上で、市民、各種団体、民間事業者等の参加、協力は大変重要です。
米原創生官民連携パートナーシップ事業、協働事業提案制度など、多様な主体と行政がともに支え合う、総働・共創のまちづくりを推進してまいります。
自治会の継続的なまちづくり活動を支援していくため、まちづくり委員会の組織化を推進しています。これまでの地域担当職員制度に加え、まちづくり委員会の組織化や、組織されたまちづくり委員会が行う地域課題の解決に向けた取組に対しての支援制度を新設し、人材の発掘や育成、世代や性別を超えたつながりから生まれる地域力により、地域住民が主体的に進めるまちづくり活動を支えてまいります。
また、市民の声を市政に届ける「市民委員会」につきましては、新たに都市型市民公園と原子力防災をテーマにした市民委員会を設置し、広く市政への市民参画を図ってまいります。
まちづくり活動を担う人材育成の面では、企画運営を市民主導型で行っているルッチまちづくり大学をきっかけとして、まちづくりへ関わる方が続々と生まれています。そうした方々の活動を支援し、学習成果をまちづくりに生かしてもらうことで、また新たな学び合い、つながりが生まれるといった好循環を生み出し、生涯にわたって活躍できる環境づくりを進めます。
こうした市民のまちづくりへの参画の前提となる情報の共有につきましては、今年度リニューアルした市の公式ウェブサイトをはじめ、各種SNSなどの媒体の特性を生かしながら、積極的かつ効果的な情報発信を行ってまいります。
本市を取り巻く社会経済環境が大きく変化し、公共サービスも多様化、高度化する中、行財政改革や公民連携の推進など、更なる効果的・効率的な行政運営が必要です。
行政が担うべき役割の重点化を図り、サービスの質的向上と新たな事業への財源を確保していくため、庁内プロジェクトチームによる事務事業の見直しを進めるほか、第3次行財政改革大綱に基づく各種取組の推進、公共施設の適正管理と最適化、業務の標準化や生産性の向上といった職員の働き方改革など、持続可能な行政経営を進めてまいります。併せまして、税の適正な賦課の実施と収納率の向上をはじめとする財源の確保を図り、中期財政計画に基づく健全な財政運営を堅持してまいります。
また、2020年度の統合庁舎完成後の行政組織を見据えつつ、地域課題に対応できる組織力を強化していくため、組織機構の見直しを図ってまいります。
【信頼回復に向けて】
以上、平成30年度における市政運営の基本的な考え方と当初予算に計上している主な取組事項について申し上げてまいりましたが、こうした取組を進めていく上で、何よりも大事なことは市民の皆さまからの信頼であります。市民の皆さまからの信頼なくして、行政の仕事は成り立ちません。
残念ながら、昨年、職員の不祥事が相次ぎ、市民の皆さまからの期待を大きく裏切り、信頼を失墜させることとなってしまいました。市民と行政が一緒になって取り組むまちづくりを進めている中でのこのような結果について、改めてお詫び申し上げる次第です。
職員不祥事再発防止対策委員会において、外部委員の意見をいただきながら、公務員倫理と契約事務手続に関する総点検を行い、この度、不祥事再発防止に向けた行動計画を策定いたし ました。
失われた信頼を一日も早く回復するため、服務規律の確保や法令順守を徹底してまいります。
市役所は市民の役に立つ所でなければならない。この原点を 忘れることなく、我々の仕事が市民の暮らしに寄り添いながら、 公正・公平な業務を行えているのか、職員一人一人が日々、自問自答しながら、一丸となって職務に当たってまいります。
【結びに】
これからも、人と地域を大切にすることをまちづくりの中心に置き、「住みよさ実感米原市」の実現に向けて、各施策に全力で取り組み、推進してまいりますので、市民の皆さまならびに議会の皆さまに、ともにつながり、ともに創るまちづくりの実践につきまして、御理解、御協力をお願い申し上げ、平成30年度の施政方針とさせていただきます。
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