施政方針(平成29年第2回米原市議会定例会)

更新日:2019年02月28日

平成29年度 米原市施政方針

平成29年米原市議会 第2回定例会の開催に当たりまして、市民の皆さまと議会の皆さまに、私の平成29年度における施政運営の基本的な考え方と重点取組事項について述べさせていただきます。

【選挙から現在までの振り返り】

2月の選挙から早いもので、3か月が過ぎました。この間、市民の皆さまとの約束である政策提案につきましては、議論を積み重ね、さまざまな角度から検証し、市民の希望、地域の願いに応えられるものとなっているか自問自答もしながら、引き続いて市政を担わせていただくにあたっての施策の構築を進めてまいりました。

公の仕事は、現場に立ち、地域を見て、市民の声を聴くことから始まります。私もできる限り、意見交換や対話の場に参加させていただき、高齢者、子育て世代の方々など、年代を問わず、多くの市民の皆さまと語り合うことを心がけてまいりました。今回お約束させていただいた政策提案は、そうした皆さまとの対話の中から紡(つむ)ぎ出させていただいたものです。

さて、先月、総務省がまとめた人口推計によりますと、子どもの数は36年連続の減少、総人口に占める割合も43年連続の低下となったとのことで、少子化が止まらない状況がうかがえます。

こうした中、国では、少子高齢化の流れに歯止めをかけるため、誰もが生きがいを感じられる「一億総活躍社会」の実現を目指した取組を進められているところであり、子育て支援や社会保障基盤の強化を着実に進めていただくとともに、経済再生による地方への効果の表れも期待したいところでございます。

【自信を持って次世代に引き継げるまちに】

しかしながら、市民の暮らしを守り、市民を支えるのは、やはり基礎的自治体です。

本年は、地方自治法が施行されて70年という節目の年に当たります。

民主主義の学校であると言われる地方自治。私は、改めて、市民、議員各位との信頼関係に拠(よ)って立ち、人と人とのつながりから生まれる力を信じ、そのリーダーとして、未来への責任ある舵取りを行ってまいりたいと考えています。

これまで取り組んでまいりました、地域に元気やにぎわいがあふれ、あらゆる世代の人々が、将来に夢と希望を持つことができるまちづくりについては、議会や市民の皆さまのお力添えによりまして、いくつかの成果を生み出すことができました。

しかしながら、人口減少や高齢化問題をはじめとする社会環境の大きな変化・変貌(へんぼう)を背景とした、若者や子育て世代・共働き世帯への支援や、社会的に弱い立場にある方々を支える取組など、課題は山積しており、これまで以上に、市民一人ひとりに寄り添い、皆さまとともに考える姿勢で取り組み、市民の暮らしの安心、暮らしの充実につながる施策を進めていかなければならないと強く感じております。

未来への架橋(かけはし)となる、市民の希望、地域の願いを込めたこの政策提案を、速やかに、そして確実に実現し、米原市が子や孫に自信を持って引き継ぐことができるまちとなっていくよう、全力で取り組んでまいります。

それでは、本日提案しました諸案件のご審議をお願いするに当たりまして、平成29年度の施政方針を申し上げます。

【最重点施策とする取組】

私と市民の皆さまとの4つの約束の実現に向け、私が掲げた政策提案とこれまでの議論を踏まえた取組の内、本定例会では、早期の着手または事業成果の目標を明確にしたいと考える取組について、必要とする経費をお願いするものでございますが、まずは、今年度最重点施策とする3つの取組についてご説明申し上げます。

まず、1つ目は、統合庁舎の整備推進についてです。

本市の将来を見据えた新しいまちの核をつくることは、米原市を次世代に自信と誇りを持って引き継ぐための重要な課題です。

5年後には北陸新幹線が敦賀まで、10年後には名古屋までリニア中央新幹線がやってきます。この両市まで30分の時間距離にある米原駅、そして米原市の重要性は益々高まることが見込まれます。

このような中、ちょうど1年前、昨年の市議会第2回定例会において、統合庁舎の位置を米原駅東口とする重要な決定をしていただきました。米原駅東口周辺に広がる区画整理地は、米原市の新たな都市拠点として、最も適した、発展の可能性がある場所です。その立地条件を最大限に活用する統合庁舎の整備を進めてまいります。

今月中には、庁舎等整備基本計画の策定を終え、基本設計へと進めてまいります。庁舎整備の主な財源としたい合併特例債の期限である平成32年度内での完成を目指すとともに、山東・伊吹地域を統括する機能を山東庁舎に整えてまいります。

この統合庁舎整備をきっかけとして、米原駅周辺の土地利活用を促進し、子どもたちやその次の世代にも愛され、親しまれる、米原市の新たなにぎわいの創出につなげてまいります。

2つ目の取組は、利便性の高い地域公共交通ネットワークの構築です。

現在、地域公共交通の見直しを進めており、本年10月から新しいシステムによる運行を目指します。

具体的には、運行エリア、運行方式が違っていた市内の乗合タクシーの統一化を図ります。また、高齢者の方々などが市外の病院や買い物などに行く際、乗合タクシーで直接乗り入れができるようにするとともに、高校生の通学や妊婦さんなどの健診時に利用していただけるよう、利便性の向上を図ってまいります。

高齢者の交通事故が大きな社会問題となっている昨今、今回の見直しは、免許返納高齢者の移動手段確保や総合的な交通安全対策にもつながると考えており、市民の暮らしの安心と利便性を確保し、地域と地域を新しい公共交通ネットワークで結び、安心かつ快適なまちにしてまいります。

なお、新たな地域公共交通の構築に合わせ、既存の赤字代替バス路線の運行路線の一部廃止等を行い、最も経済的な公共交通の見直しを図ってまいります。

利便性を高めた新しい公共交通を市民の皆さまに利用していただけるよう、制度の詳細について、議会はもとより、市民の皆さまにしっかりと情報提供させていただき、ご理解を得てまいりたいと考えています。

そして、3つ目が、給付型奨学金制度の創設です。

これまで、子育て支援として、保育料、医療費など経済的負担の軽減に取り組んでまいりましたが、暮らしの現場、とりわけ若い人たちの生活実態に寄り添うものには成り切っていません。

現在、大学などへ進学する若者は7割を超えています。その内、進学した若者たちのおよそ半数が貸与型奨学金を利用して学んでいる現状があります。

また、一方で、残念なことに、家庭の経済事情や卒業後の返済などを考えて、進学をあきらめてしまっている若者も少なくありません。

国でも教育の無償化が議論される時代です。

本市においても、若者の希望の実現を応援していくことを、私たちの世代が決断すべき時ではないでしょうか。

また、もう一つ、克服しなければならない課題としてあるのが、福祉現場の人材確保です。子育て、介護、社会福祉の厳しい職場環境で働く人材が不足しています。

学びの希望の実現、福祉現場の人材確保、そして、若者のU()ターンを促進し人口減少に立ち向かっていくため、新たに市独自の奨学金制度を創設したいと考えています。

制度構築に当たっては、これから議論を深めてまいりたいと考えておりますが、大学などへ進学する際、卒業後、一定期間米原市内に住所を有することなどを条件とした給付型奨学金にしたいと考えています。

また、その奨学金を活用して卒業した若者が福祉現場へ就職した場合には、更に支援金を支給し、障がい者福祉現場の人材確保につなぎ、若者を応援するまちを皆さまとともに創ってまいりたいと思います。

【4つの約束の実現に向けて】

次に、市民の皆さまとの約束の実現に向けて、この平成29年度に進めます主な取組について申し上げます。

子ども、女性、若者、高齢者、障がい者にやさしいまちに!

まず、1つ目の約束、「子ども、女性、若者、高齢者、障がい者にやさしいまちに!」についてです。

滋賀県一子育てしやすいまちづくりに向け、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援の取組として、総合的な相談支援をワンストップで行う「子育て世代包括支援センター事業」を実施します。

また、産後の母親の心身の安定と、育児不安を解消し、安心して子育てができる環境づくりとして、産後ケア事業を行ってまいります。

さらに、子育て支援機能整備補助金を設け、市内に小児科専門医を確保し、子育てしやすい環境づくりに取り組んでまいります。

次に、未来を担う子どもたちへの取組としましては、民間認定こども園、地域子育て支援センターの施設整備に対し支援を行います。

また、いぶき認定こども園に防犯カメラを設置するとともに、民間保育園についても防犯対策のための支援を行ってまいります。

私は、子どもたちを育む現場は、官民を問わず、同等にあるべきだと考えています。具体的には、民間保育園・こども園に勤める職員の処遇改善です。

賃金をはじめ、保育士などの労働環境の実態を把握、分析し、職員の処遇改善につなげるとともに、保育士が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる保育事業者に対する保育補助者の雇上げに必要な費用支援をはじめ、米原市内で働きたいと思える労働環境・職場環境づくりを官民連携で進めることで、保育士の人材確保に取り組んでまいります。

共働き世帯などの支援については、この4月から一部のこども園・保育所において、「体調不良児対応型病児保育事業」をスタートさせ、園児が急な発熱や体調不良となった際の保護者の迎えを待つ間、看護師による対応を行えるようにしたところです。

民間保育園における医療的ケアを必要とする園児の保育を支援していくなど、より一層、病児保育の充実に努めてまいります。

さらに、市内保育所等での延長保育の実施や放課後児童クラブの休日開設について検討を進め、共働き世帯などを支える体制の充実を図ってまいります。

次に、学校教育についてです。引き続き、35人学級編成を実施し、児童生徒の変化を見逃さない、一人ひとりに応じたきめ細かな米原教育を展開してまいります。

また、学校の垣根を越えた交流など、普段できない出会いや経験を児童・生徒にしてもらうことで、小規模校のデメリット克服に取り組んでまいります。

4月から外国青年を市職員として採用しました。市独自の英語教育に力を入れ、平成32年度からの新学習指導要領に対応できるよう準備を整えてまいります。

学習環境の整備についてですが、小学校では、児童自らが身近な風景などをタブレット、デジタルカメラ等で撮影し、教材とすることで、児童の学習への意欲、関心が高まることが期待されます。

小学校へタブレット型パソコン約300台を配備するとともに、各学校のネットワーク環境を整備することで、子どもたちが自ら学ぼうとする力を育んでまいります。

また、不就学・不登校・ひきこもりなどの情報を早期に把握し、早期対応につなげる体制を強化し、子どもや若者を支援してまいります。

次に、障がい福祉の推進です。自分らしく地域で自立した生活を送りたいという当然の願いが、残念ながら、なかなか叶えられていません。「手話は言語である」という認識の下、手話の理解、普及、環境整備を図るため、市の責務や市民の役割を明らかにする「手話言語条例」の制定を目指します。

条例案の策定に当たっては、市民が中心となって作っていくものとしたいと考えています。

手話を使ってコミュニケーションできる市民が増え、聴覚障がい者の皆さまにとっても暮らしやすいまちにしてまいります。

また、自身の健康を損ねたり、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が高い頻度で起こる強度行動障がいのある人には、適切で専門的な支援が必要ですが、多くの事業所で人的な面や、支援の方法など困難を抱えている状況です。

強度行動障がいのある人が通所する事業所を支援し、福祉の現場を支えてまいります。

高齢者や障がい者など社会的に弱い立場にある方々が安心して暮らすことができる、誰に対してもやさしいまちとなっていけるよう、JR東海道本線3駅の中でも最も利用の多い、山東・伊吹地域の拠点駅である近江長岡駅のバリアフリー化に取り組みます。

暮らしに安心・地域が元気なまちに!

次に、2つ目の約束、「暮らしに安心・地域が元気なまちに!」についてです。

超高齢社会を迎えている日本。平成28年版高齢社会白書によりますと、8年後の2025年には、65歳以上の高齢者人口は、3,657万人となり高齢化率は30%を超えると見込まれています。

私は、この高齢者の皆さまとともにどんな時代を創っていくのかが大事だと考えています。

ぜひ、これまで培ってきた能力や経験を生かし、地域社会で生き生きと活躍してもらいながら、年金以外の収入を得ることができる就労の場の創出に取り組みたいと考えています。

また、在宅生活を営むことが困難となった要介護高齢者が、安心して生活できるよう、第6期介護保険事業計画に基づき、地域社会のセーフティネットとして、地域密着型特別養護老人ホームの整備を支援してまいります。

次に、健康寿命の延伸についてです。生活習慣病の発症や重症化の予防につながる特定健診・特定

保健指導の受診率向上のため、引き続き、国民健康保険の被保険者を対象とした、特定健診受診料の減額と3年連続受診者の受診料を無料とする「健康づくりインセンティブ事業」を実施してまいります。また、健康指導とスポーツを連携させながら、健康意識の向上に努めてまいります。

農業振興につきましては、米の消費量が一貫して減少している中、農家の所得向上を図るためには、米以外の収益性の高い園芸作物の生産・販売を支援していく必要があります。

そこで、園芸用機械の購入支援を拡充し、野菜等の安定供給や生産振興に取り組みます。

また、伊吹在来そばや平核無柿(ひらたねなしかき)など地元産の農林水産物を生かした、米原ならではの特産品開発やブランド化を推進し、農作物の付加価値向上、生産農家の育成、新規農業者や地域農業の担い手育成につなげてまいります。

特に、地域農業の担い手づくりについて、定年退職者は大きな可能性を秘めていると考えており、この年齢層の方々を就農へと導く仕組みづくりをぜひ進めてまいりたいと考えています。

さて、本市の面積の63%は森林で、ほとんどの山林でスギやヒノキを伐採する時期を迎えていますが、生活様式の変化により森林所有者の森林への関心が低下しており、このままでは多くの森林が多面的機能を失い、山林崩壊が進んでいくことになります。

この状態を打破すべく、市では、自ら森林施業のできる人材の育成を目指して、森林塾の開催や、間伐材の地域での循環利用を目指した木の駅事業の支援を行い、広く森林整備の担い手を発掘、育成し、人材のすそ野を広げるための取組を進めてまいりました。

近年、森林資源の活用が社会的にも注目を浴びており、森林整備の新たな取組としまして、林業分野でのみらいつくり隊員を募集し、持続的な森林経営を目指す自伐型林業の米原モデルを構築してまいりたいと考えております。地域と連携して、若者による森林振興と移住定住を促進してまいります。

獣害に対しましては、集落ぐるみで取り組んでいただいており、感謝を申し上げますとともに、引き続き、取組への支援を行ってまいります。

次に、まちづくりの基盤となるインフラ整備、強靭化(きょうじんか)の取組についてです。

緊急輸送道路に指定されている市道藤川相撲庭(すまいにわ)線の藤子川大橋の修繕工事と耐震化工事を実施するための事業計画策定をはじめ、災害に強い道路網の充実を図るため、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、予防修繕を実施してまいります。

また、浸水被害から地域を守るため、長岡、醒井、宇賀野地先の雨水整備事業を推進するとともに、醒井地蔵川につきましては浚渫(しゅんせつ)工事などの検討も行ってまいります。

治水に関しましては、近く、滋賀県流域治水の推進に関する条例に基づく、初の「浸水警戒区域」として村居田地区が指定される予定です。

村居田地域内では想定浸水深の表示があちらこちらで見ることができます。地元の皆さまのこれまでのご努力に改めて敬意を表しますとともに、「初めて」ということで不安も抱かれるかと思いますので、引き続き、市としましても、しっかりと地元の皆さまと関わってまいります。

さらに、下水道施設の長寿命化と耐震化の推進や農業集落排水施設の公共下水道への接続、伊吹南部の水質硬度低減化などに取り組み、市民の皆さまの暮らしと生活を守ってまいります。

未来へ、たしかな歩みをはじめるまちに!

次に、3つ目の約束、「未来へ、たしかな歩みをはじめるまちに!」についてです。

昨年のリオ五輪のホッケー競技に本市から2人の女性選手が出場されました。彼女たちの活躍は、市内の子どもたちに大きな夢と希望を与えてくれました。

また、昨年、本市は、ホッケーの強豪国ニュージーランドのホストタウンに登録されました。また、生涯スポーツの祭典「ワールドマスターズゲームズ2021関西」のホッケー競技の開催地にも選ばれました。

1981年のびわこ国体でホッケー競技が旧伊吹町で開催されて以降、地域や学校、関係者の皆さまによって「ホッケーのまち」として築き、引き継がれてきましたが、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに続き、ワールドマスターズゲームズ2021関西、2024年には2巡目の滋賀国民体育大会が開催されるなど、日本、滋賀県、そして米原市のスポーツを取り巻く環境はここ数年で大きく変化してまいります。

そこで今年度、滋賀国民体育大会の開催に向け、伊吹第1グラウンドの改修工事を行うための設計に着手します。

また、昨年、米原市スポーツ応援大使に就任いただいた青山学院大学陸上競技部長距離監督である原晋(はらすすむ)氏による子どもたち向けのランニング教室を開催し、地域スポーツの活性化、スポーツレベルの向上を図ってまいります。

さらに、ニュージーランドとのホストタウン交流事業を推進することで、スポーツだけでなく、教育や文化面への効果を広めてまいります。

伊吹山から琵琶湖にいたる豊かな自然に囲まれた「びわ湖の素(もと) 米原」には、新幹線停車駅などの「駅」に代表される交通の利便性という強みがあります。

昨年、全国で5番目となるジャパンエコトラックルートとして、「びわ湖・伊吹山」が登録されましたが、これを活用し、地域や企業などを巻き込み、盛り上げていくことが重要になってまいります。

「駅を活用した新しい旅のカタチ」を提案するサイクリングツアーの実施やルートマップの作成など、市内に点在する魅力的な観光資源や、地域資源をサイクリングというツールを活用してつなげることで、本市の魅力を市内外に発信し、交流人口の増加を目指してまいります。

また、近江長岡駅を拠点として、その旅を支えていくことを視野に入れ、多様な主体を巻き込みながら、市内一体となった持続可能な取組として発展させてまいりたいと考えています。

昨年、石田三成公が大きくクローズアップされました。三成公ゆかりの地として、長浜市、彦根市とともに「MEET三成展」を開催しました。会場となりました、秀吉公と三成公の出会いの地・観音寺には、全国から多くの方に来訪いただきました。

8月には映画「関ケ原」も公開され、引き続き、三成公が脚光を浴びることが予想されます。

この機運を逃すことなく、地域の宝とも言える観音寺を歴史観光拠点として、それにふさわしい観光客の受入環境を地元の皆さまとともに整えてまいりたいと考えます。

また、平安時代前期に活躍した僧である霊仙三蔵は、中国の皇帝が優れた僧に与える「三蔵法師」の称号を日本で唯一与えられた人物であり、本市の出身と言われています。

米原市の偉人を多くの方に知っていただけるよう、特設サイトを構築し、その第一段として、霊仙三蔵の情報を発信してまいります。

本市を代表する地域資源である伊吹山につきましては、伊吹山ライブカメラを設置し、伊吹山の魅力をリアルタイムで発信していくとともに、地元の皆さまと協力しながら、インフォメーションセンターとケカチの泉整備を進めてまいります。

災害に強い市内広域的な道路ネットワークを形成していく上で、市内一体化道路の整備は欠かすことができません。

(仮称)長岡志賀谷線の交通量予測および費用対効果、社会便益性の検証に着手したいと考えています。

また、長年の懸案事項である長岡バイパスや国道365号 変則5差路の野一色東交差点の改良工事を滋賀県と連携を図りながら進めてまいります。

市民の声で、市民とともに築くまちに!

最後に、4つ目の約束、「市民の声で、市民とともに築くまちに!」についてです。

本年2月、市内の大野木長寿村まちづくり会社が「平成28年度ふるさとづくり大賞(総務大臣賞)を受賞されました。大野木長寿村まちづくり会社は、「地域の課題は地域で解決する」をコンセプトに、安心して暮らせる地域づくりを住民自らが作り出すことに成功されています。

人口が減少するということは、世帯数の減少へとつながり、主に世帯主を構成員とする自治会の存続が難しくなっているということに結び付いてまいります。比較的に地縁組織が強いと言われる米原市でも、今、自治会が担っている役割をこれからも同じように担っていくことが徐々に困難になっていくと考えられます。

市では、地域とともに創る協働のまちづくりを進めるために、「地域担当職員制度」を平成25年度から実施しており、これまで多くの自治会で活用していただいてきたところです。

今年度、その取組を更に発展させ、地域担当職員制度に「まちづくり委員会設立・運営支援メニュー(並走(へいそう)型)」を設けました。地域の標準装備としてまちづくり組織の設置を進めるとともに、地域と市役所の距離を一層近づけてまいります。

また、教育の分野にも広範な市民の意見が反映されるよう、本定例会の提出議案にありますとおり教育委員の定数を見直し、教育委員を増員したいと考えています。

全国的に、いじめ問題、児童虐待、自らの命を絶つ自死の問題といった命に関わる痛ましい事件が発生し、また、憎悪(ぞうお)に基づく差別的な言動であるヘイトスピーチやインターネットによる誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)の書き込みなど、新たな人権問題も発生するなど、私たちの身の回りで、人権の尊さを思うことが揺らいできているのではないかと危惧(きぐ)しています。

一人ひとりの人権が尊重される社会の実現に向け、米原市人権施策基本方針に基づく各種施策を総合的に展開し、人権尊重のまちづくりを推進してまいります。

次に環境分野です。市の目指すべき環境像を示す「米原市環境基本計画」が終期を迎えています。

社会情勢の変化を踏まえながら、環境まちづくりの基礎となる「第2次環境基本計画」の策定を着実に進めてまいります。

さらに、化石燃料や原発に頼らない21世紀型のエネルギーシステムを市内で構築するための検討を進めるとともに、地域資源を活用した再生可能

エネルギーによる発電を後押しすることで、小水力、バイオマスなど再生可能エネルギーの導入を加速してまいります。

また、本市のランドマークである伊吹山の大切な山頂草原群落を獣害から守るため、引き続き、植生防護柵の設置を進めてまいります。

防災面につきましては、現在整備を進めております、携帯電話通信網を利用した防災情報伝達システムの構築を今年度内に完了させ、市民の皆さまに迅速かつ確実に防災情報が伝達できる環境を整えます。

しかしながら、大規模災害が発生した場合、行政が十分に即応できない事態も予想されます。被害の防止または軽減を図るためには、一人ひとりがまずは自分の命を守る「自助」、地域で助け合う「共助」の取組が大変重要になってきます。

引き続き、消防・防災資機材の購入補助を行うとともに、地域防災リーダーの育成に努め、自主防災組織の機能強化を図ってまいります。

可搬式小型ポンプ積載車は、火災が発生した際、速やかに現場に出向き、消火活動に取り掛かることができます。消防力強化のため、配備が進んでいない地域の消防団へ積極的な配備を実施してまいります。

さらに、避難所の開設・運営などを、地域コミュニティ自らで行える体制づくりを進めるため、今年度の総合防災訓練では、避難住民自らによる避難所運営訓練を行うとともに、福祉避難所開設運営訓練、ペット避難訓練など、より実践的な訓練を実施し、地域防災力の強化に努めてまいります。

【総合計画における4つの約束の位置付け】

以上、今定例会に提案させていただいております各議案等の内容を踏まえ、今年度の取組について申し上げました。

具体的な施策展開やスケジュールにつきましては、本年秋に策定する第2次米原市総合計画アクションプラン第2期版に盛り込み、着実な事業の実施を目指してまいります。

【総合計画・総合戦略の推進】

平成29年度は、第2次米原市総合計画の初年度となります。

10年後の理想とするまちの将来像である「ともにつながり ともに創る 住みよさ実感 米原市」の実現に向けて、多様な主体と協働し、人、地域、時代を「つなぐ」観点を大切にした持続可能なまちづくりを展開するための着実な一歩を踏み出せるよう、基本目標に掲げる政策を推進してまいります。

また、限られた財源の中、今後、基礎的自治体はセーフティネットの構築と維持に集中していくことは避けられないと考えており、多様化する市民ニーズに対応し、効率的で質の高いサービスを実現していくためには、「公共」の範囲を拡大しながら、拡大した「公共」の領域を市民や事業者などにも担っていただくことが必要となってまいります。

市民等との強固なパートナーシップを築き、市民協働や民間委託など、多様な主体が力を合わせて公共サービスを担う取組を広め、地域課題の解決に連携して取り組むまちづくりを進めてまいります。

また、人口減少に立ち向かうために策定した総合戦略は、今年度を含め、目標年度まで残り3か年となります。基本目標に掲げる施策を総合的に推進し、「ひと」を呼び込む動きを加速させてまいります。

【行財政改革の推進】

そして、行財政改革の推進についてです。

人口減少、少子高齢化に伴い、税収は減少し、社会保障費の増大も確実視されています。また、普通交付税の合併特例措置が平成32年度に終了するなど、厳しい財政運営を迫られることが予測される中、将来に責任が持てる行財政運営のため、改めて事業の廃止・見直しを行い、財源を確保し、健全な財政運営に努めてまいります。

併せて、長時間労働を是とする働き方を大きく転換させ、全ての職員が健康で、生活者としての視点を持ち、私生活も充実させながら、やりがいを持って働くことで成長し、さらにその能力を最大限発揮することで、市民サービスの向上につなげていけるよう、限られた時間で成果を上げる生産性の高い働き方を目指す、「働き方改革」を推進してまいります。

【結び】

以上、平成29年度の施政方針を申し上げました。

今、成長に代わる新しい価値観として、暮らしの豊かさが広く認識されつつある中、一人ひとりが生き生きと過ごすことができる社会、つながり、助け合い、支え合いながら、安心して暮らすことができる地域社会の創造が求められています。

こうした中、米原市では、平成25年度から始めた「地域お茶の間創造事業」の広がりといった、地域の支え合いの再構築や米原創生の各種取組など、着実な歩みを進めることができる条件が整いつつあります。この明るい未来展望を確実なものとするために、まちの主役である市民の皆さまと、より一層、力を合わせたまちづくりに取り組んでまいります。

本市は、10月に開催される「全国水源の里シンポジウム」の会場となります。

人と自然が共生して命の水を育む「水源の里 米原市」は、長年にわたり美しい自然や伝統文化を大切に引き継ぎ、上流と下流が支え合い、水源の里を守り、人に寄り添うことで、持続する地域づくりを進めてきました。

これはまさに、「人」、「地域」、「時代」をつなぐまちづくりです。

私は、こうした先人の実践によって守られてきた米原市だからこそ、市民の皆さまとともに、困難を乗り越え、未来を切り拓いていくことができると確信しています。

次の世代に自信を持って引き継いでいくことができるまちの実現に向け、私が先頭に立ち、職員も一丸となって、各施策に精一杯取り組んでまいりますので、引き続き、議会をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

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