平成28年米原市平和祈念式典式辞

更新日:2017年11月30日

 71年前の今日、8月6日の午前8時15分、一発の原子爆弾により広島のまちは、一瞬にして、廃墟と化し、10数万人の尊い命が奪われました。
 その3日後の8月9日、長崎のまちにも、凄まじい熱線と爆風、そして放射線が降り注ぎ、7万4千人もの尊い命が奪われ、70年以上たった今も、人々の中で、癒(い)えることのない深い傷として残っています。
 そして、71年目の8月15日を迎えようとしています。

 本日ここに、戦没者の御遺族をはじめ市民の皆さまならびに御臨席賜りました御来賓の方々をお迎えし、平成28年 米原市平和祈念式典を挙行するに当たり、全ての戦争犠牲者に、謹んで哀悼(あいとう)の誠を捧げます。
 先の大戦では、遠い異国の地での熾烈(しれつ)な戦いの中で祖国を思い、家族の幸せを念じつつも戦場に倒れ、海に没し、また、飢えや病(やまい)に苦しみながら帰らぬ人となった方々、さらに、激しい空襲によりかけがえのない命が無残に失われました。
 その、最愛の肉親を亡くされ、今日に至るまで、決して癒(いや)されることのない深い悲しみに耐え、長い苦難の道を歩んでこられました御遺族の方々の御苦労に対し心から敬意を表します。
 戦後70年以上が経過し、戦争を知らない世代が多数を占め、先の大戦の悲惨さは消え去り、私たちの生活は、平和であることが当たり前の日常であるかのようになっています。
 しかし、今日の平和と繁栄は、戦場に散華(さんげ)された、尊い犠牲の上に築かれたものであることを決して忘れてはいけません。

 今年5月、現職のアメリカ大統領として初めて、オバマ大統領が広島を訪問するという歴史的な出来事が起こりました。そして、核を保有する国々は、恐怖の論理(ろんり)から逃れ、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならないと演説されました。米原市としても、一日でも早く核兵器のない世界の実現を望んでいるところであり、絶対悪である核兵器の悲惨さ、戦争の恐ろしさを風化させることなく、次代に伝え、平和の尊さを訴えていかなければなりません。
 しかしながら、そのアメリカをはじめ、「核の抑止力」への依存により今なお、多くの核兵器が保有されていることも事実であり、核兵器以外にも、全世界で繰り広げられている武力紛争や無差別テロ、人権抑圧など、平和を脅かす要因は後を絶ちません。

 日本国内では、5年前の2011年3月11日、あの東日本大震災により、福島第一原子力発電所で炉心溶融(ろしんようゆう)、放射性物質の放出という深刻な原子力災害が発生し、未だ故郷に帰れず、県内外に避難されている方は11万人と、終息の目途はたっていません。
 この福島での放射能汚染は、原子力、核エネルギーへの意識や認識を大きく変え、核は、人類と共存できないということを再認識することとなりました。
 日本政府は、国民の暮らしと安全を守るため、一刻も早いエネルギー政策の転換を行っていく必要があります。そのために、私たち地方自治体も努力をしなければなりません。
 また、政府は、昨年、平和安全法案を議論が尽くされていない中、強行採決し、今後、憲法改正の論議もされようとしています。
 今、必要なのは、戦争ができる国になることではなく、憲法9条を守って、戦争をしないという立場に立って世界諸国との信頼を築き、平和外交を進めることです。

 今年も市民の皆さんから平和へのメッセージやこのあと、中学生の作文発表もあります。その作文をいくつか読ませていただきました。
 沖縄への修学旅行での作文では、男性も女性も、大人も子供も、関係なく殺され、道に倒れ、亡くなっている写真を見て、悲惨な情景を思い浮かべ、その当時の人々はどんな思いで生きていたのか。
 また、オバマ大統領の広島訪問についての作文では、改めて、原爆が日本にとって、そして、アメリカにとって、どのような意味があったのかを考えるものもありました。その他にも、各国の核保有問題、貧困と格差、暴力、テロの問題など、それぞれに、さまざまな思いが書かれていました。
 メッセージや作文の中で、共通していることは、戦争の悲惨さを伝えていくこと。核をなくすこと。そして、平和を守っていかなければならないということです。

 私たち米原市民は、戦争の惨禍(さんか)を後世への教訓として語り継ぎ、風化させることがあってはならないと、決意を新たにするとともに、今、市民一人ひとりが平和のために行動を起こすこと、平和の道を歩み続けること、平和の尊さ、戦争の悲惨さを次代に引き継ぎ、戦争の歴史を繰り返さないことを御霊(みたま)の前にお誓いいたします。
 非核、平和、不戦の誓いとともに希望に満ちた平和な米原市、希望都市まいばらを築くことをあらためて決意し、本日御参列いただきました戦没者御遺族、皆さま方のますますの御健勝と御多幸をお祈りいたしまして、式辞とさせていただきます。

 平成28年8月6日

 米原市長 平尾道雄

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