平成25年度米原市平和祈念式典式辞

更新日:2017年11月30日

 本日ここに、戦没者御遺族の皆さまをはじめ、市民の皆さまならびに、御臨席賜りました御来賓の方々とともに、平成25年度米原市平和祈念式典を執り行うにあたり、先の大戦で亡くなられたすべての御霊(みたま)に対し、米原市民を代表し、慎んで哀悼の誠を捧げます。

 多くの尊い命が失われた大戦から68年の歳月が流れました。北方の大陸、南方の海、マレーやビルマ、フィリピンやニューギニア、熾烈(しれつ)な戦いの中で祖国を思い、家族を案じつつも戦場に倒れ、海に没し、沖縄では唯一の地上戦、本土でも激しい空襲により無辜(むこ)の命が無惨に失われました。その尊くも痛ましい犠牲に対し、深く哀悼の意を表すとともに、心から御冥福をお祈り申し上げます。

 今日の我が国の平和と繁栄は、祖国の安寧(あんねい)と残された家族の幸福を願いつつ、戦場に散華(さんげ)された、尊い犠牲の上に築かれたものであることを決して忘れてはなりません。

 しかし、世界に目を転じますと、今なお各地で紛争や内乱など、多くの尊い命が奪われる惨事が続いています。さらに「核の抑止力」への依存により、未だ、多くの核兵器が保有されていることも事実であり、平和を脅かす要因は根深く残されたままとなっています。

 一方、国内では、東日本大震災による福島第一原子力発電所の悲惨な事故が発生しました。今なお、多くの方が故郷を離れ、避難生活を余儀なくされ、終息は遠い先の実現となっています。

 このことは、私たちにとって、身近に核の脅威、見えない放射線の現実を実感させられました。私たち日本人が経験した、広島、長崎、そして福島での被爆、放射能汚染の体験は、原子力、核への意識や認識を大きく変えました。

 私たち自治体にとっても、核の問題は、命を守り次の時代に命をつないでいく責務を担うものとして極めて重大かつ深刻な問題であります。

 米原市民は、核兵器の廃絶と戦争のない平和な社会を築く大切さを世界に訴えるため、平成17年に制定した「非核・平和都市宣言」に正面から向き合い、私たちの子や孫の世代に対して、どのように責任を果たし、何を成さなければならないか、今、一度見つめ直していかなければなりません。

 同時に、戦争を知らない世代に対して、戦争の悲惨さを決して風化させることなく、平和の尊さへの想いを次代を担う子どもたちに伝えていくことは、私たちに課せられた使命であります。

 米原市は「平和市長会議」に加盟しています。私は、先般、広島で開催された戦争のない世界と核兵器の廃絶を訴えるための「平和市長会議」の総会に出席してまいりました。

 会長の広島市長は、この6日、平和宣言の中で「原爆は、非人道兵器の極みであり絶対悪である。」と断言し、世界の為政者(いせいしゃ)に「いつまで、疑心暗鬼(ぎしんあんき)に陥(おちい)っているのですか。威嚇(いかく)によって国の安全を守り続けることができると思っているのですか。」と問いかけ、「過去にとらわれず人類の未来を見据えて、信頼と対話に基づく安全保障体制への転換を決断すべきではないですか。」と訴えました。そして、日本政府に対し、国民の暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策を早期に構築し、実行することを強く求めました。

 今、世界は、希望に向かっています。私たちは、先の大戦による惨禍(さんか)をはじめ、大震災や原子力発電所の事故、そして、いじめや暴力などから、命の重さ、尊厳さを学び、見つめ直すとともに、すべての人が心と心で結ばれ、命を軽んじない、人間が大事にされる、人権が尊ばれる、この希望の実現に向けて、たゆまぬ努力を続けなければなりません。

 私は、将来に夢と希望を持つことができるまち「希望都市まいばら」実現の歩みこそが、すべての市民の安心と豊かさをもたらし、人生のやりがいや生きがいとなって、市民生活を支え、命を引き継ぐ、命を守る世界の恒久平和を確かなものにしていくと信じ、全力を尽くしてまいります。

 結びに、米原市民を代表させていただき、先の大戦で悲しみに耐え懸命に生きてこられた御遺族様の思い、戦争の悲惨さ、核兵器の廃絶、平和の大切さを着実に次の世代に引き継いでいくことを、今日の平和と繁栄を築くために犠牲になられた多くの御霊(みたま)の前にてお誓いいたしますとともに、本日御参列いただきました来賓の方々、戦没者御遺族の皆さま方の益々の御健勝と御多幸を心から念じまして式辞といたします。

平成25年8月10日
米原市長 平尾道雄

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