令和8年度 10月1日市長訓示
更新日:2026年10月01日
先週は、11年ぶりとなる大型連休となったシルバーウィークでした。皆さん、しっかりと休養は取れたでしょうか。御家族や友人と旅に出た方、あるいは静かに読書など、それぞれにリフレッシュされたことと思います。このリフレッシュしたエネルギーを、年度後半の業務に注ぎ込んでいただきたいと思います。
10月に入り、市内各地で、歴史と伝統、そして市民の情熱が結集したイベントが数多く開催されます。
まず今月4日には、「ジョイスポパーク」、「朝日豊年太鼓踊り」が行われます。さらに10月10日から12日にかけては、「米原曳山まつり」が開催されます。また、現在放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』を契機とした観光・文化事業も実施されます。秀吉公との「三献の茶」の舞台となった聖地である大原観音寺での「三成鷹狩り祭り」や、ゆかりの地を彩る「花展」など、歴史を軸にしたまちの魅力発信が続きます。しっかりと米原をPRしていただきつつ、地域行事やイベントへ積極的に参加し、市民や地域との関わりを深め、「知見」を広げていただきたいと思います。
さて、今年の夏は、日本列島が自然の猛威にさらされた過酷な夏となりました。7月には熊本県でマグニチュード7.1の巨大地震が発生し、多くの人々が日常を奪われました。8月には千葉県や北陸地方で記録的な豪雨が降り注ぎ、9月には再び千葉県、神奈川県で台風と秋雨前線による線状降水帯が発生しました。短時間での記録的な降雨は、建物の浸水、土砂災害、大規模停電、そして公共交通機関の長期運休など、市民生活の根幹を揺るがす甚大な被害をもたらしました。
特に、台風25号で甚大な被害を受けた関東地方では、現在も台風26号による雨の影響が心配される状況が続いています。幸い、本市において被害の発生はなかったと聞いておりますが、これは決して「本市の運が良かった」で済ませていいことではありません。防災対策に「ここまでやれば安心」という終わりはなく、さまざまな事態を想定する必要があります。
特に近年、私たちが強く意識しなければならないのが「複合災害」のリスクです。令和6年元日に発生した能登半島地震の被災地では、復興の途上にあった数か月後、追い打ちをかけるように線状降水帯による大雨が発生し、多くの尊い命が失われました。地震で地盤が緩んでいるところに豪雨が襲う。あるいは、7月の熊本のように、震災後の避難生活が酷暑と重なり、熱中症という健康リスクが命を脅かす。過去を遡れば、東日本大震災における原発事故、コロナ禍での避難所運営といった感染症との複合など、災害は「単発」ではなく「重層的」に私たちを襲います。想定を超える事態が「当たり前」に起こる今日において、重要なのは、私たち行政が多様なシミュレーションを行うこと、そして何より、市民お一人お一人の防災意識を「自分事」として高めていただくことです。今月には総合防災訓練、来月には、今年度2回目の避難所開設訓練が予定されています。市民の皆さんが命と暮らしを守る意識を高めることができる実効性のある場としていただきたいと思います。市民の命と暮らしを守り抜く。その強い意志を持って、備えを万全にしていきましょう。
本日から下半期がスタートします。令和9年度予算編成がこれから本格化します。人口減少の加速、社会保障費の増大、そして先ほど述べた自然災害の激甚化。厳しさを増す社会情勢の中において、これまでの延長線上にある施策だけでは、これらの課題を乗り越えていくことはできません。
現在、令和9年度から11年間にわたる本市の針路を示す「第3次総合計画」の策定が大詰めを迎えています。
昨年の国勢調査の確定値によれば、本市の人口は3万5,471人。5年前と比較して1,754人、およそ4.7パーセントの減少となり、この減少率は県内市町の中で、ワースト5位と、厳しい結果になりました。
今年度の施政方針でも申し上げましたが、急激な人口減少に対しては、子育て支援や移住定住、都市基盤整備といった施策を継続しつつも、長期的には「減少は避けられない」という現実を正面から受け止めなければなりません。人口が減り、社会資源が縮小していく中でも、市民の生活の質を充実させ、幸福感を高めていく。これが「縮充」の考え方です。この「縮充」を計画の柱に据えた将来像が、「あなたが笑い わたしも笑う 幸せが生まれるまち」です。
まちづくりは、行政が担うだけのものでなく、市民一人ひとりが主役となり、自らの手で未来を創る。その「協働」の精神こそが、米原市自治基本条例に掲げる「世代を超えて住み続けられる魅力あるまちづくり」の源です。
予算編成作業にあたって、職員の皆さんに特にお願いしたいことがあります。それは、「縮充」をマイナスイメージで捉え、消極的な「予算カット」や「事業廃止」を目的とした計画に走らないでほしいということです。「今までこうだった、こういうやり方だったから」という前例踏襲を見直し、どうすれば市民の心、暮らしに充実感を届けられるか。限られた資源の中で、無駄を省く高いコスト意識と同時に、新しい時代のニーズに合わせた「未来への投資」という視点を持っていただくようお願いします。
総合計画では、6つの分野に分類した目標を掲げています。
「こども・教育・人権」の分野、「福祉・防災」の分野、「自然・環境」の分野、「産業・経済」の分野、「暮らしの土台」の分野、そして、「協働・地域経営」の分野です。
こうした目標に向けた施策を展開し、将来像を実現するためには、皆さんが担当する業務を、課や部を超えて、連携しなければ課題解決できないものが多くあります。
引き続き、横の連携を密にし、積極的なコミュニケーションを大切にして、「住み続けたくなるまち米原」の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
さて、本日の訓示に先立ち、新たに市役所に迎えた3人の皆さんに辞令を交付いたしました。8月にも1人、新しい仲間が加わっています。いつも元気な挨拶で、市役所に新しい風を吹きこんでいただいていると感じております。
人口減少やDXの進展など、社会が激しく変化する中で、私たちには「柔軟な対応力」が求められています。新しく加わった皆さんの強みの一つは、既存の慣習に染まっていない「視点」です。これまでの経験や新しいアイデアを、遠慮せずどんどん発言してください。皆さんの声が組織の活性化につながります。
先日、参加した長浜青年会議所のイベントで、シンガポールで活躍されているコンサルタントの方が、「新たなことに取り組む際は、失敗から始まることが多い。しかし、この失敗を『challenge of success(成功への挑戦・過程)』と捉えることが大事だ」話されていました。失敗は成功のもととも言いますが、改めて、失敗から学び、改善し、次へと進む。その積み重ねの先に、市民の幸せを実現する施策が生まれると感じました。失敗を恐れて立ち止まるのではなく、「成功への挑戦」という前向きな気持ちで、日々の業務に挑んでください。先輩職員の皆さんも、新しい仲間が挑戦しやすい環境づくりを全力でサポートしていただきたいと思います。
下半期も、市民の声に寄り添い、まちの未来を創っていくという、気概を持って頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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