令和6年度 年度初め式市長訓示(要旨)

更新日:2024年04月12日

皆さんおはようございます。令和6年度の年度初め式を迎えることとなりました。
昨年はアフターコロナ、市内の多くのイベント、そして行事が再開する動きがありました。しかし拝見していて賑わいが意外と少ないと感じました。特に人の繋がりが変わったという実感さえ持ちました。
その背景は何かと考えたときに、直接的に面と向き合うとか、そこに議論や論争があまりなく、新たな手立てや提案について何となく消極的、厳しい言い方をしますと、事なかれ主義とまでは言いませんが、問題や課題意識が薄くなっていると感じました。困難課題を前にして、早々と諦めてしまうというか、結論ありきが存在しているとすれば、これは時代や社会を改革していく、あるいは前進させていく、さらには成長させていくということへの行動が減っています。結論ありきが存在しているということについて、私は大きな憂いを持ちました。冒頭からいきなりでしたけれども深刻な話をさせてもらいました。
昨年度、米原市は、非核平和都市宣言をしたまちとして、戦争の悲惨さ、そして平和の尊さ、このことを後世にぜひ引き継ぎたいということで、平和の礎を建立することができました。本年は、この恒久平和と核兵器廃絶を祈念する平和運動と平和教育の拠点ゾーンである「平和の礎」の前で、市民平和祈念式典を催すことができるようになりました。
また、交通結節点、県内唯一の新幹線停車駅であります米原市として、米原駅東口周辺まちづくり事業では、進出あるいは参加希望の民間事業者の意見を踏まえて、事業者募集を行い、本年6月には、進出事業者の選定と契約時期を迎えます。米原駅を核とした新しいまちづくり、新しい中心市街地整備が一歩ずつ、進むことになりました。
本年1月の能登半島地震では、改めて、何が起こるかわからない、この不確実性の真っ只中にいるということと、自然災害の恐ろしさを痛感いたしました。米原市では被災地への職員派遣、被災地の復興への第一歩となる罹災証明の住家被害調査、さらには下水道被害調査など各部局から職員が参加をしてくれました。
また、3月20日には健康づくり課から保健師が現地の被災地避難所で被災者支援に尽力をいただいたことも聞き及んでいます。被災地支援にご尽力いただいた職員の皆さん、そしてそれぞれの持ち場の皆さんに改めて敬意を表し、感謝申し上げます。大変ご苦労さまでした。
この能登半島地震は米原市の実情と大きく重なります。高齢化が進んだ中山間地域が点在しているということです。被害対応、災害対応について、大きな課題がいくつか突きつけられました。一つは、道路が寸断されるということ、一つは集落が孤立化するということ、さらには避難所に物資がスムーズに届けることができない。もっと大きな問題は、生活インフラである下水や上水が中断され、避難生活を送る被災市民に大きなストレスとなっていることです。避難所は体育館で、固い床でいいのかということは、もう当たり前の議論になっています。議論をしたのであれば、どんな避難所を用意しているのか、用意できるのか。このことが問われていると思っています。
これらは決してよそ事ではありません。本年度、医療、福祉の専門職と連携し、実効性のある個別避難計画、とりわけハンティのある方、医療ケアが必要な方々に、どんな支援、どんな避難所生活を提供できるのか。私達に何ができるのかをまとめ、計画策定に取り組んでいただきたいと思います。
また、原子力災害につきましては、昨年、県内でいうUPZ圏外で初めて自治体として、安定ヨウ素剤の全戸配布に向けた体制整備が整いました。市民を、放射線被爆から守り、被爆させないという目的を持った原子力防災広域避難計画づくりを本年は進めていただきたいと思っています。
そして、昨年、私達は伊吹山ショックを受けました。むき出しになった地球温暖化の実情にどう向き合うか。結果があの惨憺たる伊吹山の実情です。この伊吹山再生に向けましては、再生プロジェクトを発足し、シカの捕獲強化、そして、南側斜面の崩壊の防止、さらには、植生保全ということに果敢に挑戦をいただいています。
県内最高峰の伊吹山は広いすそ野が広がっていました。クラウドファンディングでは、伊吹山ファンの多くの方々が安全な登山道の早期の復旧と確保、そして植生回復に多額の寄付と温かい応援メッセージを私達に寄せていただきました。
私達は決めました。多くの人を魅了する美しい伊吹山を何としても取り戻したい。次の世代を担う子どもたちに緑の山並みを必ず残すという決意です。
今年度はまち保全課内に伊吹山植生復元プロジェクト推進室を設けました。滋賀県とも連携をし、共に力を尽くしていきたいと思います。
米原市は、脱炭素先行地域に選定されています。気候非常事態宣言を行っています。市民の皆さんに環境への関わり方を見直し、ライフスタイルを変えていただくモデルを示すタイミングになりました。職員の皆さんが率先して、具体的な行動を起こし、脱炭素地域づくりへの推進をぜひお願いをしたいと思います。
世界に目を向けますと、ウクライナ、ロシアの武力衝突、イスラエルとパレスチナの惨状、国連の平和の機能が、全く機能不全に陥っているという中で、多くの子どもたちや女性、高齢者が犠牲となり、惨憺たる人道的被害をもたらしています。
国際的な社会不安と同時に、日本国内でも物価高騰が続いています。市民の生活、そして中小企業への影響は、深刻な事態になっています。今年は多くの国々で選挙が行われると聞いています。アメリカ大統領が誰になるかも気になりますが、私は国内において、解散総選挙が行われるのではないか、これは一つの政局変化に繋がるのではないかとも思っています。
職員の皆さんには公務をしながらではありますが、今やるべきこと、そして市民や地域が必要としていることは何か、こういった政治の課題についても、ぜひ敏感になってほしいと思っています。
この3月議会で表明しました、令和6年度の施政方針の重点項目の柱は、「人口減少に立ち向かう」です。そのための政策の一つは、「少子化を止める」です。現実は若者の6割が、今の社会で子どもを産み育てやすいとは評価をしていません。少子化に関する調査においては、子育てや教育にお金がかかりすぎる。若者が未来に希望が持てないとして、少子化の原因が報じられています。
人口減少に立ち向かう政策に、「地域の暮らしの満足度を高める」を掲げました。誰もが夢や希望を持つことができる、地域で、市民の暮らしの足元で、満足度が高まる政策展開が必要です。
米原市の未来を市民の皆さんと共に創る「住みよさ実感 米原市」、この事が言葉だけではなく、事実上実感として、成立することに邁進してほしいと思います。
厳しい社会情勢の中で、今年度入庁をいただきました、新人の皆さん、ようこそ米原市職員の働く仲間になっていただきました。心から歓迎をいたします。いろいろな思いで、希望を持っての入庁だと思います。ぜひ、その思いをまちづくりの拠点であるこの米原市役所で実現して欲しいと思います。時代の流れに敏感である若い世代の皆さんには新鮮なアイデアがあると思います。
しかし、私が今言えることは、経験、体験だけでは、前に進めないということです。なぜか、それは誰もが経験、体験をしていない事案、事象が次々と押し寄せているからです。新人だとか、未経験ということは、理由にはなりません。ぜひ、その場で感じた発想やアイデアで、果敢にチャレンジしてください。
市役所は文字通り、市民の役に立つ所でなければなりません。職員一人一人が市役所を代表しているという自覚を持ち、市民の目線を大事にしてください。
今年度は、行政のデジタル化を一層進めます。文章管理、電子決裁システムを含む内部情報システムの再構築に入ります。働き方が大きく変わる節目になります。自らの仕事のやり方を見直し、効率化、行財政改革にも積極的に取り組んでください。
新体制となった新たなメンバーで仕事が始まりました。仕事はチームで行うものです。チームで乗り越える組織力をぜひ高めてください。仕事は、一人ではできません。一人で問題を抱えるなどはあり得ません。どうか、お互いが信頼できる関係をつくり、議論し合える風通しの良い職場づくり、上司、同僚、部下、それぞれの役割を発揮してほしいと思います。
4月下旬には、各部局別の重点目標ヒアリングを行います。ぜひ忌憚のない意見、お互いに活発にぶつけ合いたいと思っています。引き続きよろしくお願いをします。

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