平成28年5月市長訓示(要旨)

更新日:2018年01月23日

5月2日(月曜日)

 皆さん、おはようございます。新年度となり、4月はあっという間の1か月ではなかったかと思います。

 平成28年熊本地震の発生から半月あまりが経過しました。今回の地震における支援物資の搬送や職員の派遣につきましては、担当課および関係職員の皆さんには短期間の中で努力いただきありがとうございます。今日現在も、私たちを代表して建設課の吉田圭一君が現地での作業に当たってくれています。

 大自然は、私たち人間にとって全て想定外だということを今一度噛みしめたいと思います。私自身も含めて、何か人間が全てをコントロールできるかのように思いがちですが、大自然を前にしたら、人間の力は本当に無力です。謙虚にこうした思いに立ちながら、いつどこで発生してもおかしくない活断層による地震に対して、危機感を持って備えていかなければならないと改めて感じています。

 先月は、部局別重点目標ヒアリングを実施し、皆さんから本年度に懸ける意気込みや目標達成に向けての取組について明らかにしていただきました。これからの努力を大いに期待しています。

 その場で申し上げた部署もありますが、自分のセクションの仕事は当然として、私たちは公の立場で仕事をしているということを今一度認識してほしいと思います。言い換えると、常に全体を見渡すこと、少し離れたところから俯瞰的に見るということです。私たちがやっていることがどんな評価を受けるのかということを客観的に見た上で、何が不足しているのか、どう深めていけばよいかを議論できる職員、あるいは部署に成長してほしいと思います。

 米原市は小さなまちですが、未来展望をしっかりと描き、地方創生に取り組んでいると自信を持っています。しかし、これを着実に進めていくことができるかどうかは、職員一人ひとりが公の立場で未来にどう貢献しようとするかに懸かっています。想像力を働かせて仕事に取り組んでください。

 4月23日、文化産業交流会館で司馬遼太郎さんの没後20年記念シンポジウムが開催されました。私も開催地市長、そして実行委員会副会長として参加しました。皆さんの中にも司馬先生が書かれた「街道をゆく」あるいは「近江散歩」を読まれたり、ご存知の方も多いと思いますが、「街道をゆく」は湖西から始まっています。そして、それには次のような文章があります。『「近江」というこのあわあわした国名を口ずさむだけでもう、私には詩がはじまっているほど、この国が好きである。』司馬先生が、この国、近江が好きであると明確に書かれているところから、この「街道をゆく」は始まっています。また、「近江散歩」の中では、『私はどうにも近江が好きである。下り列車が関ケ原盆地をすぎ、近江の野がひらけてくると胸の中でシャボン玉が舞いあがっていくようにうれしくなってしまう』と書かれています。東海道本線に乗り、関ケ原を越えて柏原に入り、柏原を過ぎてちょうど右側に伊吹山が見えますが、おそらく司馬先生は、その風景をおっしゃっているのではないかと私は思います。シャボン玉が舞い上がっていくようにうれしくなってしまうとういう率直な感情を私たちの身近な風景に抱かれていたことにここで暮らしている私たちはこうした思いにどれだけ立っているのかということを改めて思いました。さらに司馬先生は、近江の魅力について、歴史や風土、民家のたたずまい、近江人の物腰の柔らかさや言葉遣いの丁寧さを挙げ、それが近江門徒という浄土真宗による精神的土壌からきていると書かれています。宗教的な面がありますので、詳しくは申し上げませんが、近江も真宗王国と呼ばれるところです。物腰の柔らかさや言葉遣いを以て、近江が好きであると司馬先生がおっしゃっているとしたら、今一度私たち米原市民の持っている言葉遣いや歴史に対する評価というものを問い直してはどうかと私個人では考えています。

 皆さんは、「おかげさま」という言葉を使ったり、聞かれたりしていると思います。「お蔭様」は、「お」という接頭語、次に「蔭」という言葉があって、その下に「様」が付きます。物でなく、形あるものでなく、触れるものでなく、持ち上げることもできない「蔭」に、「お」と「様」という2つもの尊敬語を付けて、「お蔭様」という言葉を私たちは使っています。また、私たちは何々を「する」や何々を「やりました」という言い方でなく、何々を「させていただいた」といった言い方を使っていると思います。合理的なやり取りや契約関係でしか人間関係を見ない現代において、こうした言い方も少なくなってきているのかも分かりませんが、「おかげさま」や「何々をさせていただきました」といった言葉を使い、柔らかい物腰で周りに対して畏敬の念を持って人生を歩むことこそが、新しい評価を生むのではないかと私は思っています。そして、そうした意味では、近江は先鞭をつけている土地なのではないのでしょうか。地方創生は、自分たちの地域の歴史や文化、もっと言うと思想や哲学も含めて自信を持つことです。公務員として皆さんもそのことをしっかりと話せるように思いを馳せてください。

 今お話ししたこととも関係してきますが、今月14日からはMEET三成展が観音寺にて開催されます。これに先立ち、4月29日にはプレオープンしました。このイベントは彦根・長浜・米原の3市連携で行っていますが、こうした機会を生かし、彦根市や長浜市が持つ市役所の雰囲気や職員の雰囲気を含め、ぜひ2市から学んでほしいと思います。彦根市・長浜市の職員には、風格を備え広い視野で物事を考える職員が相当数居て、厚みを持って行政に当たっていらっしゃると私は感じています。こうした職員は、米原市にはまだまだ多くありません。今回はイベントではありますが、彦根市や長浜市が蓄積してきたものをつぶさに見て感じ取る機会があるわけですから、ぜひそれを生かしてほしいと思います。また、米原市だからこそ持つ個性や特長、優位性もあります。先ほども言いましたが、私たちがプライドをしっかりと持つことが大切です。2市に一歩下がってついていくのではなく、お互いに競い合いながら、この湖東湖北を日本の中心地にしていくんだというぐらいの気概で3市連携に取り組んでほしいと思います。こうした3市連携のイベントは、米原市にとって絶好のチャンスです。観光や経済の面だけではなく、人をどう大事にしてきたかといったことや、これまで培われてきた彦根や長浜の歴史を受け止めながら、私たちの存在も示していきたいと思っています。この流れの中で米原市が大きく成長するようにしてほしい。担当セクションだけの話ではなく、米原市役所全体で3市の中でどう自分たちの位置を、存在をつくっていくかに懸かっています。

 27日には、米原市議会第2回定例会が開会します。庁舎問題については、最後のチャンスであり、この6月には決着をつけたいと思いますし、決着をつけてもらえると期待をしています。いつものことですが、説明責任を果たすこと、執行部としての方針を堂々と述べ、議会と議論を尽くすことの第一線に全職員が立つことをお願いします。

 最後に、過ごしやすい気候になりましたが、健康を管理し、時間の使い方も考えて、よりよい環境の職場づくりにもしっかりと取り組んでください。今月も共にがんばりましょう。

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