平成28年3月市長訓示(要旨)

更新日:2018年01月23日

3月1日(火曜日)

 皆さん、おはようございます。本日はあいさつ運動ということで、寒い中、ご苦労様でした。

 今朝は、春の雪が降りました。今年は暖冬ということで、この雪景色も少し懐かしく感じるほどです。私たちは、一旦寒さの中で縮むことがあります。しかし、冬来たりなば春遠からじという言葉があるように、必ず春がやって来て、大きく花が開くとの思いに立ち、寒い中に力を蓄えて、成長してきたのではないかと思います。そうした意味では、皆さんに冬は冬らしく、春は春らしくというところを今一度、自らの生き方、あるいは日常生活の中で思い起こしてほしいと思います。私にとっては、大変勇気付けられた3月1日の朝でした。

 2月は慌ただしく過ぎてしまったという感じですが、先月で印象的だったのは、NPO法人が主催ではありますが、職員有志グループの皆さんがご尽力された発達障がい啓発セミナー「みんなの学校」映画上映会の成功でした。私は、残念ながら途中からの映画鑑賞となりましたが、それでも大変感動いたしました。映画を観て思ったことについて話しますが、私自身の暮らしと重なる部分について話すことになりますことをご了承ください。

 お釈迦様のお弟子の中に、周利槃特(しゅりはんどく)という人がいます。この人は物覚えが悪く、ある時、もう弟子は続けられないということで、一旦、仏教教団の外へ出ます。その時、周利槃特はお釈迦様に言いました。「お釈迦様、私は愚かです。何もできません。だから私はこの教団を離れようと思います。」

 それに対してお釈迦様はこう言いました。「あなたはすごい。自分が愚かであることをこんなにはっきりと言える。愚かであることを知る人は少ないが、自分が賢いと思っている愚か者はたくさんいる。あなたこそ、ぜひ悟りを開いてほしい。」そして、お釈迦様は、ひとつの言葉で修行する一句一行(いっくいちぎょう)の行として、ほうきを渡し、掃除することを周利槃特に勧めます。20年間だったそうです。ちりを払おう、垢を落とそうと周利槃特は修業を続け、悟りを開きました。

 彼が開いた悟りは次のようなものでした。ちりを払っても、垢を落としても、また積もるし、迫ってくる。人間というものは、心の中にけがれや汚れをどんどん蓄えていき、眼がくもり、なかなか真実を見抜くことができない。我欲、つまり自らあれが欲しい、これが欲しいと欲を持つこと、そしてこだわりや偏見を持つことが、けがれや汚れを自らの中に溜めていく。このようなけがれや汚れ、ちりや垢を払うにはお釈迦様のおっしゃる仏法の修業を積んで悟りの知恵を持たなければいけない。

 阿弥陀経(あみだきょう)というお経には、周利槃特という名前が出てきますが、この周利槃特は、最終的に釈迦十大弟子という優れた尊者となります。そして実は、この周利槃特は、発達障がいであったと言われています。

 自らの生き方や能力について、私たちは、自分たちの常識で一面的に捉えてしまいがちですが、私は発達障がいとされる人たちから、多様な生き方や学び方、暮らし方があるということを私たちが学ぶべき時代にようやくなってきていると思います。

 共生や共存と言っていますが、感情の伝え方が違ったり、意見が違っていることを個性や特色として多様に認め、共に生きていくという社会条件を私たちはつくっていかなければならない。もっと具体的に言うと、マイペースでいいんだと、良いことは褒めて、できないことはゆっくりでいいんだよと言えるような学校や職場が必要だと思いますし、その中でこそ、本当の人間らしさが私たち自身にも育まれると思います。

 「みんなの学校」の中で、子どもと先生がぶつかり合う、子ども同士でぶつかり合う光景を見て、周利槃特の話を思いましたので、お話をさせていただきました。

 また、先月は、なでしこネットの皆さん、そしてシルバー人材センターの皆さんと話す機会がありました。なでしこネットの皆さんとの話の中では、女性の活躍と言われるが、まだまだ自分たちから手を挙げることまではしにくいので、ぜひ自分たちの能力が発揮できる舞台やチャンスを作ってほしいという声がありました。

 シルバー人材センターの皆さんとのやり取りの中では、年金だけでなく、毎月3万から5万円程度の収入があるような生活を送りたいという思いでシルバー人材センターに集まって来る人がかなりいる状況、ある意味、65歳、70歳になっても働かざるを得ない人が多いという話をお聞きしました。

 このような話も含めて、やはり私たちは働き方改革の時代に入っていると改めて思います。皆さんの働き方の実態として、7日間連続で仕事に出なければならないことや、職場の机の前にいることがほとんどできなくなっていることがあろうかと思います。しかし、こうした中であるからこそ、ぜひ、市民や地域の中に課題解決の方策や知恵があるというスタンスをつくってほしいと思います。

 厳しい言い方をしますと、私は、市役所の中だけでは解決力はないと思っています。市民と一緒に知恵を出し合い、動くことの中にしか課題解決の方策は見出すことはできないと考えています。だからこそ、職員の皆さんには、現場に出かけ、その中に声を聞くという姿勢を持ち続けて、頑張ってほしいと思います。

 この朝礼に向かう前、第2子以降の保育料無料化について議会とさまざまな議論をしたことから、ちょうど1年ですねと副市長と話をしていました。この4月からは滋賀県や長浜市でも実施されるように、時代の流れとして、子育て世代の経済的負担軽減は各地で行われています。私たちが少し先だったからどうこう言うことではありません。しかし、米原市役所は子育て世代の人たちの声や願いを聞いて、ぜひ取り組むべきだと政策提案し、議会の理解を得ました。

 市民の思いや希望を一緒になって実現していく職員力、市役所力を付けていくことで、これからも米原市役所の中から、こうした政策提案が生まれていくと信じています。

 米原市議会第1回定例会は、今日の代表質問、そして一般質問、予算特別委員会と議論が続きます。いつも申し上げおりますが、議会の理解があってこそ施策は実現できます。皆さん、準備に抜かりはないと思いますが、議会の理解を求めることにしっかりと向き合ってください。

 いろいろ申し上げましたが、いよいよ平成27年度最終月の3月です。総まとめと28年度に向かってしっかりと準備を整えるという緊張感を持って、今月も頑張っていただきたいと思います。

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