平成28年仕事始め式市長訓示(要旨)

更新日:2018年01月23日

1月4日(月曜日)

 皆さん、あけましておめでとうございます。平成28年の輝かしい新春をご家族お揃いでお迎えいただいたことと思います。今年は、この4日が月曜日ということで、少し慌ただしい仕事始めではないかと思いますが、年末から年始にかけて、地域やご家族の皆さんとあらためて向き合っていただい時間は、大変有意義なものであったと思います。

 私はと言いますと、来客や家事などで時間を割かれ、本を読んだり、テレビを見たりする時間がもっとほしかったというのが正直なところです。それでも数時間だけ書棚にある本を引っ張り出すことができ、明治時代にイザベラ・バードというイギリスの女性が日本を訪れた際の旅行記を読んでみました。その本の中には、日本人が子どもたちを抱いている挿絵がいくつもでてくるのですが、ほとんど裸の子どもをふんどし一丁のおじさんが抱いていたり、乳房をむき出しにした女性が腰巻ひとつで、どこの子ということなく、にこやかに抱いてあやしている姿を見て、彼女が感動する話が書かれています。また、彼女は東北を旅行しているのですが、当時アジアの小国であった日本の農村の道にごみがなく、垣根がきれいに整えられた街並みを驚きを持って見ています。そして、特に彼女が感動しているのが、日本人の笑顔です。日本人はなぜこんなに和やかに人と接するのだろうということを書いています。明治時代から、大正、昭和、8月15日の太平洋戦争の終戦を経て、日本に西洋文化、アメリカ文化が入ってきたわけで、文化自体は尊敬を表したいと思います。しかし、日本人が持っていた文化や暮らし方、人との接し方の中で大事なものをもう一度整えなければならないのではないかと、この本を読み返してみて思いました。時あたかも私たちは、この平成28年を「地方創生元年」と言い始めました。欧米モデルと言いますか、大都会中心、東京中心を見直す時期にきているし、大地があり、森があり、川が流れ、水源がある田舎こそ、ローカルな地方こそ素晴らしいんだという価値観を今一度取り戻す必要があると思います。

 その後、新聞を読んでいましたら、「消費地生産主義」という言葉が出ていました。海外へ進出して行った日本企業が、また回帰し始めている状況のようです。少し前まで日本は、白物家電や車を海外にどんどん売っていましたが、海外の人たち、とりわけアジアでは、「消費地生産主義」ということで、自分たちの生活必需品などは、自分たちの周りで、消費地である自国で生産して消費しようという動きとなっています。この「消費地生産主義」が当たり前になり、海外進出しても難しい時代を迎えています。であるのなら、日本が目指すべきは、食、農業、エネルギー、この3つを自分たちの地域で賄うこと、地域に取り戻すことだと私は思います。私たちが言う「米原創生」は、農業や林業や和食、暮らしの在り方といったような、自然との折り合いを上手につけていた先人たちの暮らし方を米原では実践できるんだということではないかと思います。全てを一度にということは難しいですが、職員一人ひとりが「米原創生」ということを自らの生き方や仕事の中で、今一度噛み砕いて、自分は何ができるのかにこだわってほしいと思います。この平成28年を起点とした地方創生を振り返ったときに、どんな頑張りを持とうとしたのか、この年頭に皆さんの胸に種を植え、花を咲かせていただきたいという思いです。

 少し12月のことを振り返ります。庁舎問題については、大変厳しい状況となっていますが、米原駅東口市有地への庁舎建設という基本は揺らぐものではありませんし、私は、このことを通して米原市の未来展望をしっかり切り開いていけるという自信も誇りも持っています。時間を必要とするのであれば、じっくりと時間をかけ、議会のご理解を得られる懸命の努力をしてまいりたいと思っています。米原市議会平成28年第1回定例会は、市民と一緒にまちをつくっていくための、そして未来を創っていくための平成28年度予算を承認していただくことと同時に、庁舎問題についての方向性を議会と一緒になってつくり上げるという極めて重要な議会になりますので、今日以降、第1回定例会に向けた懸命の努力をお願いします。

 米原駅東口関係では、12月10日に米原駅東口周辺まちづくり構想のキックオフミーティングを行うことができました。業界あるいは企業名などを現時点で詳しく申し上げることはできませんが、メジャーな企業などに参加してもらうことができました。単に「地方創生だから」「新幹線停車駅だから」ということではなく、各種業界が「東京では限界があり、地方での可能性は何か」を探る中で、あの隈研吾先生の提案を含めて非常に大きなインパクトとともに「米原が動き出すぞ」ということについて、大きな関心を持っていただいています。米原駅東口だけに拘るつもりはありませんが、米原市が日本の中で、滋賀県の中で、琵琶湖東北部の中でどのような未来展望をどこで創ろうとし始めているのかということを知っていただく上で、このキックオフミーティングは意義があったと思います。この米原駅東口周辺まちづくりについても、関係職員の皆さんと一緒になって努力し、今年度末には一定の方向性が見えるようにしていきたいと思います。米原市の未来展望を市民と共有する上で大きな足掛かりになると思いますので、職員の皆さんからの積極的な提案もよろしくお願いします。

 いろいろと申し上げましたが、地域に寄り添うことを基本に、子育て環境の充実、女性が活躍する米原、暮らしやすい米原を創ることを目指して、平成28年度予算編成をしっかりとやり切り、議会の承認を得て、新たな出発をしてまいりたいと思います。その準備期間である平成27年度最終の四半期に懸命のご尽力をいただくと同時に、地方創生元年である平成28年の年頭に、一人ひとりがこういうまちを創ろう、自分はこんな働き方をしようといった灯を立ててほしいと思います。

 私たちは、人のために生き、人のために働いています。これが公の立場であり、これ以外の立場はありません。まずは公です。世のため、人のためです。このことを肝に銘じながら、活発に議論し、共に汗をかくことで、躍動感に満ちた平成28年にしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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