平成26年9月市長訓示(要旨)

更新日:2018年01月23日

9月1日(月曜日)

 皆さん、おはようございます。いよいよ9月になりました。厳しい残暑がしばらく続くと思いますが、夏の終わりはいつも寂しさを感じます。しかし、一日(ついたち)を切り替えにして、新しいステージに駆け上がる、そのような思いで、ぜひ9月を迎えてほしいと思います。

 8月は、本当にさまざまなことがありました。9、10日の台風11号接近を皮切りに、3週連続で災害警戒にあたっていただきました。幹部職員をはじめ、防災・土木関係の職員など職員の皆さんには厳しい勤務形態を強いることとなりましたが、おかげで、人的災害は勿論、大きな被害は米原市にはございませんでした。しかしながら、20日には広島市で想像を絶する土砂災害が発生してしまいました。死者は70人を超え、今も行方不明の方がいらっしゃる状況です。何度も申し上げますが、今の異常気象は、私たちの災害に対する意識を大きく変えています。本当に想像できない時期に、想像できない時間帯に、しかもまさかこの場所で、想像を超える規模で被害が発生しています。むしろ異常さが常態化しているとさえ言えます。極端な言い方ですが、私は、日本が亜熱帯になったのではないかと思います。デング熱感染が国内で確認されるなど本当に大きく環境が変わっているということに、ぜひ危機感を持ってください。 

 8月中、私はできる限り、地域の夏祭り・イベントへ出掛けるようにしました。そこで改めて思いましたのが、地域に対する思い入れがある人たちのいる地域は、伝統的行事をしっかりと続けられていらっしゃるということです。おそらく、開催に至るまでには、さまざまな議論がされていることと思いますが、結果として盆踊りや祭りといった形を継続されています。今年は、久しぶりに清滝の大松明(おおたいまつ)を見に行きましたが、やはりすごいエネルギーでした。おそらく清滝の中でも、あの祭りに参加する壮年層の数は確実に減っているはずです。裏側では「もうできない」や「自分たちだけでは」といったさまざまな思いや議論がおそらくあると思います。しかし、何か形にしていくということは、やはり地域に力がある、熱意がある人たちがいるということだと思います。そして、この地域や人を誰が支えるのかということでは、やはり私たち行政だとも思います。「地域のことは地域でやりなさいよ」と言うことは簡単ですが、本当にその姿勢でいいのでしょうか。地域担当職員制度については、職員の中でも議論があることは私も十分承知しています。しかし、本当に私たちは、市役所の中で決められたこと、あるいは出てきた問題を解決しているだけでいいのでしょうか。地域では、本当にさまざまな議論がされて、熱意を持ちながらも苦労をされている事実があります。このことに私たちはもう一度向き合い、行政と地域、納税者と公の仕事、既存の関係を超えて取り組んでいく必要があるのではないかと思います。
 そのような中、地域お茶の間創造事業が8月末に池下と一色で始まりました。これもおそらく私たちには見えない、あるいは聞こえていない議論がいっぱいあって現在の形になっていると思います。必ずしもこの方法がよいと思っている人ばかりではないとも思います。しかし、それでも何かを始めなければならないという危機感、もっと言えば、必死な思いが地域にあるということが形となって現れていると思います。もう一度言いますが、地域にどう向き合うのか、本気になって私たちは地域を支えようとしているのか、このことが私たちに問われています。

 先月は、全国市長会が開催された「第1回少子化対策・子育て支援に関する研究会」に傍聴参加してまいりましたが、その中で、秋田市長がおっしゃっていた意見に大変共感いたしました。「国の制度として、子育て家庭に支給する児童手当がある。悪いとまでは言わないが、その予算や執行の仕方を我々基礎的自治体に任せてもらえるのであれば、保育料の無料化、学校給食の無料化、妊産婦の問題、あるいは学童の問題も含めてさまざまな制度、本当に必要な公的無料制度、あるいは効果がある施策ができる。我々市町が主体になることによって、少子化対策の本当の成果は作れるのではないか」ということを明確におっしゃいました。また、私の解釈になりますが、他の市長の中からも、日本で議論しているが、ヨーロッパに目を向ければ、もっと成功事例があるのではないかという意見が出ていました。全部真似することがよいとは思いませんが、真面目に検証する姿勢を持つことが大切です。フランスでは、高等学校までの学費は完全無料です。私が子育て世帯の皆さんと話をしても、結局はお金の話になります。「子どもは産みたい、子育ても頑張りたいけれど、学費や教育費が何千万円とかかります。今の私たち夫婦の稼ぎでは、とても3人目は無理です」というのが正直な意見です。学費や教育費にお金がかかるから子どもを産まないという考え方は、先進国と言われるところにはないという常識が日本にはまだ育っていません。この状態の中で、私たちが必死になって少子化対策や子育て支援と言っていても、やはり限界があるということも事実です。
 また、税制の問題も大きく外国は違うようで、正確なことは申し上げられませんが、子どもを3人養育している家庭については、あるいはその所帯主については、子育てをしたということで将来の年金に加算がされる制度があるなど格差をつけているそうです。当然、議論があるとは思いますが、子どもを育てるということがマイナスにならないということを明確にすることで、合計特殊出生率を上げてきている例があります。フランスの例は、10年や20年のスパンで答えは出ないということをはっきり宣言し、50年かけてでもやろうということで成功してきているということです。日本も間違いなくその方向に行かなければならないと私は思います。
 今回の経験も含めて、全国からさまざまな人たちが集まる舞台では、普段私たちがなかなか周りで議論できないことを議論していらっしゃいます。皆さんの周りでも、それぞれの職場の課題、行政のテーマについて、全国的なレベルでの研修会や会議が開催されると思いますが、積極的に出掛けてほしいと私は思います。そして、新しい情報、それに伴う判断を米原市行政の中に取り入れてほしいと思います。

 昨日のことになりますが、「夢高原かっとび伊吹2014」が開催され、大成功だったと思います。市民、職員の皆さんには、大変な努力をいただいたと思います。行く先々で青いポロシャツを着たボランティアスタッフをたくさん拝見することができました。おかげで事故もありませんでした。
 また、1,324人にエントリーいただき、当日も千人近くの方が走られたということで、メディアがさまざまな報道をしてくれています。ただ、この素晴らしいイベントが滋賀県内でしか広がっていないとしたら、少し残念に思います。これだけの大会ですから、出場ランナーにも、準備するスタッフにもさまざまなドラマがあったと思います。在京のメディアから情報が発信されるのも1つでしょうし、インターネットによりもっと広く知ってもらうことも1つでしょう。メディアを通じた情報提供の仕方にもっと工夫があってもよかったと思います。そうすることで、「かっとび伊吹」は一皮むけて、イベントとして新たなステージに立つのではないかと思います。この素晴らしいイベントをもっと広めるような工夫・発想を期待します。

 9月ということで、市議会定例会がございます。さまざまな議案を提出していますが、いずれも私たちが自信を持って提出しているものです。自信を持って承認を求めていきますので、真剣に議会に向き合い、一言一句に至るまで完璧な議会対応をやり遂げてほしいと思います。

 今月末から、部局別戦略計画ヒアリングを行います。市長の立場で言いますと、私が政策提案をして、市民と約束したことを皆さんにお願いしているような受け止め方をされてしまっている節があるように見受けます。しかし、そうではなく、この時代にどんな政策を地域や市民に届ける必要があるのかいうことを部局別に整理し、進めていくことが目的です。私が進捗状況を聞くことについて、特別なことのように捉えられている節があるように思えます。皆さんは職場において、地域を眺め、市民との対話の中で、今何が必要なのかということを感じ、方針・戦略を持って臨まれていると思います。そこで、私と意見が違うのであれば、堂々と意見のやり取りを申し出てください。そして議論の結果、この方針で行きましょうとなったことについては、徹頭徹尾(てっとうてつび)、最後までやり抜いてほしいと思います。簡単に、無理、できないといった判断を現場だけではしないでください。できない、あるいは問題があるということであれば、組織であるわけですから、組織の議論として私どもの方に上げてほしいし、私と議論をしてください。何度も申し上げておりますが、私は完璧な思いなど一片たりとも持っていません。しかし、「こういう要望が地域にあるだろう」、「地域に対してはこういう課題解決の方法が相応しいのではないか」といったことについては、政治家として提案させてもらっています。そのことについて、十分議論をする余裕を私は持っているつもりです。硬直した考え方を持っているのではなく、一緒に議論した上で、結果を作っていきたいという思いでいることを理解していただきたいと思います。

 今月は、議会対応、部局別戦略計画ヒアリングなど結果が求められる厳しい環境での職務になりますが、後ろ向きの思いに立つのではなく、「自分たちの仕事がやりがいや生きがいにもつながるんだ」、「チャンスの中で仕事をしているのだ」という前向きの思いに立って、仕事をしてほしいと思います。

 今月も異常気象が予想されますので、危機管理について万全の構えをしてください。また、今年度の仕事の結果を残しつつ、来年度に向けての準備も本格的に始めていただかなければならない時期に差し掛かってまいりました。上半期の最終月となる9月、お互いに緊張感を持って、この1か月間やり抜いていただきたいと思います。よろしくお願いします。

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