平成26年8月市長訓示(要旨)

更新日:2018年01月23日

8月4日(月曜日)

 皆さん、おはようございます。いよいよ8月になりました。先月は、第1四半期が経過し、本格的に米原市政の取組を進める上での各分野における再点検と来年度に向けた仕事のあり方や手法についての議論をしていただいたのではないかと思っております。

 8月は慰霊の月です。8月6日広島、8月9日長崎、そして8月15日。これは、私たち日本人にとって単なる記憶や記録ではありません。現実として今に引き継いでいる課題であります。私は何も偏りを持って言うわけではありませんが、あの3月11日福島第1原発事故も含めて、大きな課題が私たち戦後を生きる者に突きつけられていると思っています。私たちは、来る8月9日に平和祈念式典という形で市民の皆さんと一緒に、もう一度平和の問題、憲法の問題について、しっかりと確認していきたいと思っています。8月という日本中が戦後史を、そして未来を見つめる月を迎えるに当たり、職員の皆さんも、目の前にある仕事を何とかこなすという公務員ではなく、憲法の問題、平和の問題、これらについて、今一度自らの考えを見つめ直し、少なくとも議論をし、あるいは自らの考えを述べる機会も作ってほしいと思います。

 7月のことに戻りますが、台風8号は過去最大級と言われ、沖縄で特別警報が発令されるなど、私たちも緊張感を持って構えることとなりました。結果的に滋賀県内では大きな災害はございませんでしたが、長野県南木曽町(なぎそまち)では、土石流で中学生1人がお亡くなりになりました。台風が徐々に近付いているという状況ではありましたが、台風が通過したとか、台風がそこを襲ったということではなく、台風が未だ到達していない段階で、思いもよらぬ規模、場所で大きな土砂災害が起きました。私はこの災害には、大きな教訓があると思っています。警報や特別警報の発令を、自分たちが暮らす所とは違う所の出来事とは一切考えず、市民や、あるいは私たち自らの命に関わる事態が起きていると捉える必要があるということです。災害が、従来の想定範囲を超えた規模、時期に起きているということを、我々は大きな教訓としていかなければなりません。

 7月末には、滋賀県市長研修で岡山県瀬戸内市と香川県高松市へ寄せていただきました。瀬戸内市は、私たちのまちとあまり変わらない人口4万人に満たないほどの合併新市です。私も大変驚いたのですが、瀬戸内海に面した約500ヘクタール、ディズニーランド10個分という広大な面積の錦海塩田跡地を活用して、日本一のメガソーラー発電所を作る計画について、瀬戸内市長から熱のこもった説明を受け、今後のまちづくりへの意欲的なお話を伺いました。また、高松市では、これは多分、皆さん御存知だと思いますが、高松市丸亀町商店街のお話を伺いました。カリスマ理事長がいらっしゃって、日本中で注目される意欲的な商店街事業を展開されています。瀬戸内市、高松市の両者に共通することは、かなり熱を入れて物事に当たろうとしている人、グループ、集団が存在しているということです。
 高松市では、高松丸亀町商店街振興組合の古川理事長に御案内していただき、商店街を歩きました。商店街の上層部には分譲マンションが整備されており、入居者のほとんどが高齢者の方だそうです。そして、商店街の一角には立派な診療所がありました。そこに暮らす人たちにしてみれば、診療所の中に商店もあるという感覚に近いのかもしれません。近くでマンションを建てたら、すぐに完売してしまうとのことでした。私は、これもまちづくりを進める上での1つのヒントかなと思いました。住み続けたいと思えるまちというのは、安心して暮らせ、そして、そこにやりがいや生きがいがあり、充足感や満足感が感じられるまちだと思います。このことにしっかりと応えられる地域づくりを、高松市は行政ではなく、そこの商店街の人たちが必死になって取り組んでいらっしゃいます。時間もかけられたと思いますし、歴史もあるわけでありますが、成功していらっしゃる。そのような意味で、私自身も含めて私たちは、本当に地域づくり、未来について熱くなることができているのでしょうか?今以上にまちづくりに思い入れをした上で、しっかりとした制度設計を持つことが大事であるということを改めて感じました。

 いよいよ8月ということで、2点申し上げたいと思います。1つは、従来から申し上げているように、地域の里おこしイベントということで、伊吹の天窓が今週行われます。米原市が行ってきた水源の里づくりという地域おこしの中で生まれてきたイベントですが、行政よりも民間、しかも若い人たちがさまざまな活動をし、情報発信をしていただいているというイベントであります。
 そしてもう1つは、8月末に開催されます夢高原かっとび伊吹です。これも旧伊吹町時代から積み上げられてきた地域イベントから米原市のイベントに立派に成長していると私は思っています。この両方のイベントを通して感じるのが、伊吹山や奥伊吹に対して、私たちはどれだけ正面に据えて関わりを持ってきたのだろうということです。むしろ行政ではなくて、民間や地域の人たちがこのことに熱くなり、熱心になって取り組まれ、今日の形を作ってこられたと思うのです。アベノミクスの中で「稼ぐ」という言葉が使われています。私はこれも1つのヒントであろうと思っています。イベントとなると市外から多くの人に来ていただきますが、一時的でも交流人口が増えることに対して、私たちは、もう一歩踏み出して、まちをどのように売り出すか、アピールしていくかということについて明確に戦略を持つ必要があります。外から来る人へのおもてなしも大事です。しかし、「稼ぐ」という視点で見たとき、アピールできるようなまちづくり、あるいは地域の未来図が描けているかどうか?このイベントには皆さんがそれぞれの形で参加をしていただけると思いますが、参加していただく中で、このことを来年度に向けてどう深化させていくかといったことにも思いを巡らせていただきたいと思います。

 先ほど8月9日の平和祈念式典のことを申し上げましたが、1点だけ付け加えておきたいと思います。私たちは、「現在」が今生きている時代です。同時に、私たちが「現在」にいるということは大変な「過去」があっての「現在」です。私たちの次には、「将来」、「未来」があります。しかし、「未来」という立場に立った時に、この「現在」は「過去」になります。今、私たちは将来、未来に何ができるのでしょうか?このことを抜きにして、私は「現在」を安穏と過ごすべきではないと思います。今、平和の問題が大変危うい時期に入っています。市議会では、集団的自衛権の行使容認に反対する意見書の採択がありました。しかし、一方で、日本全体で見ると議論はまだまだ不十分です。集団的自衛権の問題を唱えると、これは政治的な課題であると、この問題を横に置こうとする人たちがいますが、横に置くべきではないと私は考えます。私たちが暮らす日本は、国際紛争を解決する手段として武力行使あるいは戦争を放棄するという日本国憲法第9条の下、平和国家としてこの69年歩み続けてきました。このことを簡単に覆す、あるいは方向転換することについて、私は大きな恐れを感じています。憲法の問題、そして集団的自衛権の行使の問題について議論できるように皆さん方もしっかりとした考えを持ってほしいと思います。

 今年も厳しい暑さが続くと思います。8月は、さまざまなイベントがありますが、休暇を取得しながら家族と共に過ごし、リフレッシュしてもらうことと併せて、まちの未来展望が描ける市職員として、今一歩進化をしてほしいと思います。皆さん方には特別休暇が与えられています。休暇中の交通事故に注意することや飲酒運転をしないことは当然のことながら、公の立場として、私たちは休暇をいただいているくらいの思いが必要ではないかと思います。この8月、地域の皆さんと共に米原市の未来展望を作る、そういう充実した熱い8月にしていただきたいと思います。このことを申し上げて本日の訓示とさせていただきます。よろしくお願いします。

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