平成25年仕事納め式市長訓示(要旨)

更新日:2018年01月23日

12月27日(金曜日)

 いよいよ仕事納めになりました。私が市長に就任して以来、トップが変わって戸惑いもあったかと思いますが、その分、緊張感を持って職務に精励してもらえたのではないかと思っています。時には、私と皆さんの想いがぶつかる場面もあったかと思いますが、それにより互いに成長でき、その中で実現できた私の政策提案がいくつかありました。

 一つは、高齢者の皆さんの居場所づくりです。今や高齢のご夫婦、または一人暮らし高齢者世帯が地域で顕著になっているのが実情です。そんな中、介護保険制度でも3年後に要支援者に対する生活支援サービス部分が一般の総合事業に移行されるなど、保険制度や行政の力だけでは介護や高齢者の問題を支えられない状況が迫っています。それゆえ私は、就任当初から地域における高齢者の居場所づくりを政策提案に掲げてきましたが、皆さんには「地域お茶の間創造事業」として、先駆的な事業を創設してもらい、高評価を得ることができました。

 次に少子化の問題です。私は国難と言っていいほど深刻で切迫した事態だと捉えています。年々減少する子育て世代に対しては、そこに焦点を当てた社会の仕組み、働き方、男女の関係、更には民法の問題も含めて、従来とは違うシステムや発想も取り入れていかなければ子どもを産み育ててもらうことはできないと危機感を覚え、第2子からの保育料の無料化に取り組んできました。これは米原市の未来展望を切り開いていくための経済的な負担軽減を図る地域政策であって子ども政策ではありません。来年4月には中学生までの医療費の無料化も実施しますが、政策の真意について議論ができ理解をいただけたと思っています。行政は少子化に対して明確に方針を出すべきであり無策であってはなりません。来年はこのことについて更に活発に議論していきたいと思います。

 そして情報発信です。私はfacebookを通して、行政トップとしての市長の考えや行動をできる限り発信してきました。今やビジネスの世界でも情報発信は重要な役割を担っていますので、皆さんも市公式facebookから発信する市政の情報については、端的で分かりやすく、巧みな情報発信を常に心掛けてください。

 今年の冬は厳しい寒波と大雪が予報されていますが、今年から歩道の除雪機の新規導入など、雪寒対策に本気で向き合ってもらうことができました。あとはマンパワーです。地元事業者の皆さんと連携を密にして、雪が災害や障害になることのない生活レベルの確保に、引き続き、尽力をお願いします。

 そして、ようやく地域担当職員制度をスタートさせることができました。今や行政の市民サービスは市民の皆さんに厳しく評価される時代です。従来のように「要望があった」、「懇談会で意見を聞いた」というだけの地域と市役所の距離感、仕事のスピード感では、とても信頼を持続的に得ることはできません。だからこそ職員が地域に入って、信頼関係を築いて、スピード感のある取組姿勢が求められます。おそらく紆余曲折もあるかと思いますが、とにかく勇気を持って一歩踏み出してもらったことを称えるとともに、私も一緒に汗を流していきたいと思います。私はこの制度を通して、3年かけてでも市民の皆さんとの風通しやサービスの行き届き方を良くしていきたいと思っています。最後は市長として私が責任を取りますので、皆さんは臆せず全力で地域に飛び込んでいってください。

 私の政策提案の中に、空き家対策、そして醒ヶ井、近江長岡、柏原のJR3駅周辺の活性化を地域振興策として掲げています。この少子化と地域疲弊をどう乗り越えていくか、私は重要な地域の行政課題だと思っています。既に市民自治センター、土木部を中心に、地域を変えていく行政投資の仕方、マンパワーの注ぎ方など、まさに地域経営の議論を始めてもらっています。おそらく1年や2年で答えが出るものではありませんが、本気になって民間企業等の誘致も含めた条件整備を整えていかなければ、地域の住宅政策、地域開発は進みません。周辺住民の皆さんからは既に期待の声も出ていますので、ぜひその声に応えられるように懸命に答えを導き出してください。

 今年は北陸新幹線の敦賀以西のルート問題が滋賀県市長会議等でも議論になりました。関西広域連合では米原ルートを優位として議論をまとめられ国へも提案されたところですが、再来年には北陸新幹線の金沢延伸開業も始まりますので、おそらく、北陸から米原駅乗り換えで東京へ行く人は減り、特急の乗り入れ等も変わってくる可能性があります。このように北陸経済圏を関西経済圏に結び付けてきた米原の位置づけが大きく議論される時が目前に迫っていますので、私たちは米原駅東口を中心とした周辺開発に本腰を入れ直し、私も本格的に政治的責任を果たさなければならない時が来ていると思っています。外部からの活性化にも期待はするものの、やはり米原市民が新幹線停車駅の米原駅の潜在能力を余すことなく生かして、本気で活用していかなければ本当のにぎわいは生まれないと思います。今、米原市商工会の皆さんとともにさまざまなにぎわい創出の仕掛けを議論し始めていますが、そういう意味では、公としての市役所が問われますし、期待もされています。だからこそ皆さんには、交通の要衝・米原の見識とともに、しっかりとした米原駅の展望を持った米原市職員になってほしいと思います。

 一方で、今年は初の特別警報が発令された台風18号などに見舞われ、改めて自然の脅威を実感することになりました。さらには、初めて実施した原子力災害に対する図上訓練でも課題を見出し始めていますが、決定的な答えが見つからないまま、私たちは原発を目の前に立ち止まっているのが現状でないかと思います。言うまでもなく、私たち自治体は、市民の生命と財産を守ることが究極の責務です。私たちは今のままで大地震や災害から市民を守れるだけの備えと覚悟ができているのか、決して他人事、先の事と捉えず、今一度自らに問い直してください。

 昨日出席した福祉自治体ユニットの会議で、元検事で現在は「さわやか福祉財団」理事長の堀田力先生の話を聞いてきましたので、その中で私たち基礎自治体に対して問われた3つの覚悟についてお話しします。
 一つ目は、本当に市民が安心して、老いて病んで死んでいくことに責任が持てる行政の体制をつくれているか、また、職員につくろうとする覚悟があるか。
 二つ目には、私たちは民主主義、地方自治を語り、市民参加、市民協働という言葉を使っていますが、そこに本気で市民と一緒になって課題に向き合う覚悟があるか。市民や弱い立場の人に寄り添って、一緒に生きる命の輝きを感じたり、時には悲しんだり、希望を見つけるために一緒に汗や涙を流したりする覚悟があるか。
 三つ目は、やはり限界を感じる日本の縦割り行政のシステムを乗り越え、新しい手法で地域課題に向き合う覚悟があるか。部署を超えて、まさに職員一丸となって解決に取り組む姿勢があるか。この3つを問われていました。
 いよいよ地域が問われています。私の言葉で言うと、未来展望がなければ、結婚したい若い人や子どもの数は増えません。この地域は夢があると言われるまち、そして、この地域で生きて、老いて、一人になって病んでも寂しくないまちにしていく覚悟と気概を持つことが、何より基礎自治体職員である私たちに期待されていることなのです。

 最後に、私は、この平成25年を皆さんとともに乗り切れたからこそ、平成26年という新しい年に向かって希望を持つことができました。皆さんも新年を希望が持てる飛躍の年にするために何をしなければならないのか考えて、果敢に挑戦できる年にしてほしい。そんな願いと期待を込めまして、私からの仕事納めの言葉とします。

この記事に関するお問合せ先

本庁舎 政策推進部 広報秘書課(秘書)

電話:0749-53-5160
ファックス:0749-53-5148

メールフォームによるお問合せ