第1回米原市まちづくり基本条例をつくる会(その2)
更新日:2017年11月30日
講演「なぜ、まちづくり条例が必要か。自治基本条例の作り方」
演題
龍谷大学法学部教授 富野暉一郎氏
講演要旨
(1)“日本国憲法”、読んだことはありますか
最高法規とはどういう意味か
- 国づくりの基本的理念、国民の定義、国民の権利と義務、国家の組織、政治と行政と司法の仕組み、地方自治、改正の手続き、など国のあり方の全体像を示し、国と国民の関係を定めている
- 全ての政治行政および社会活動や法律は、憲法の規定に拘束される
(2)憲法と自治基本条例の違いは何か
自治体の最高法規であるが、憲法は超えられない
法律との関係は、基本的には法律優先だが、法律解釈によっては柔軟な面も国民の定義と市民の定義は必ずしも同じではない
- 外国人住民に関する定義等
地域の環境・歴史・まちづくりのレベルなどによって多様な内容が可能
(3)都市宣言、総合計画等との違いは何か
条例なので、具体的に行政・市民を拘束する
- 違反については是正・賠償・改善等が強制可能
- 全ての条例の制定・運用の具体的な基準となる
まちの制度として半恒久的にまちづくりを主導する
(4)自治基本条例の基本的要素
- まちづくりの理念
- 市民の定義
- 市民の基本的な権利と義務
- 行政の基本的な責務と地域経営の原則
- 行政と市民との関係
- 制定と改正の手続き
(5)誰がどのように自治基本条例をつくるのか
地域社会全体の参加と合意が基本的な要件
- 住民、行政、企業などの関与
- 旧町村の垣根をこえる参加を
条例作りのプロセス
- 合併と自治基本条例の関係の説明
- 自治基本条例に関する知識と関心の喚起
- 他の自治基本条例の研究、先進自治体のプロセス調査等
参加型自治基本条例づくりの仕組みづくり
- ラウンドテーブルか市民・行政役割分担か
- 基本理念と基本的な条例内容に関する合意形成が重要
- 議会の理解と協力を
条例の制定方式
- 合意形成をどのように確認するか
議会の議決、パブリックコメント、市民意識調査、住民投票 - 最高法規制をどのような形で持たせるか
外国の事例
1.上位の政府による承認
2.王による都市憲章の承認に起源
3.米国では州政府による承認 - 住民投票による社会的承認
- 最高法規制の自己宣言(条例の規定)
(6)地方自治の新たな発展のために
- 自治の力の高まりを示す自治基本条例
- 自治体住民とその行政の自己統治力の具体的な表現
- 新米原市に期待する
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