第21回米原市芸術展覧会 結果

更新日:2026年06月08日

第21回(令和8年度)芸術展覧会の審査の結果についてお知らせします。
インターネット環境の制約上、標準フォントを使用しているため、一部氏名表記や作品名が正しい表記と異なっていますが、ご了承願います。

絵画部門

入賞者(敬称略)
作品名 受賞者
市展賞 破壊U-R 白石 儀一
教育長賞 今夜はお鍋で 野村 晴代
市議会議長賞 きざし 臼井 洋子
芸術協会会長賞 押入れ 西澤 百花
滋賀夕刊新聞社賞 羽音の迷宮 大塚 和子
中日新聞社 土倉’26 中川 ゆきえ
佳作 ホロホロ鳥 石田 柚葉
佳作 森の妖精 岡本 紬生
佳作 中学の思い出 藤田 明和音
佳作 蒼の起源 沓水 和子
佳作 小さな探検 西橋 佳代子
佳作 陽炎 野村 厚子
佳作 梅香心酔
梅の香りに心とらわれし
蔵本 啓吾
佳作 銀杏並木の見える秋 川崎 武司

総評

展覧会期が6月と爽やかな季節でもあり、出品者の方々も制作に向けて快調であったかと思われます。その効果もあってか出品者数が昨年よりも少し増え、充実した作品も多くあったように感じました。米原市芸術展覧会も21回を迎え、新しい時代に入り嬉しいことと思います。今回の出品者数の増加には、若い優秀な出品者が新しい息吹を与えてくれました。そのことはこの展覧会が活性化することにも繋がり、とても望ましいことでもあります。これからも新しい世代の若い方々と、これまでの出品者が共に切磋琢磨して、世代を超えた幅広い展覧会になればと期待しております。
(森田審査員)

小型ショベルカーが赤い梁のある薄暗い建物の壁を壊している絵

市展賞「破壊U-R」
一見、赤と白の単純な構成に見えるが、良く見るとモノトーンを基調に工事現場のような風景が描かれている。ペンのような細かな線でドローイングのように描かれた繊細で無機質な表現と、上部の赤い鉄骨との対比が何か緊迫感さえ感じられて大胆で面白い。この瓦礫の場所を見ると、いま世界で勃発している戦争を背景に見て取ることができ、単なる写生を超えた強いリアリティと危機感を感じ、印象に残る作品です。
(森田審査員)

格子柄のテーブルクロスが敷いてある机の上に野菜や鍋が乗っている。鍋の中には大きく二つに切られた鮭がいる。

教育長賞「今夜はお鍋で」
テーブルクロスの格子によって、画面全体が強く平面化された構成が印象的です。背景となる白地もフラットに塗られ、所々にある汚れや擦れの表現も味わいとなっています。この空間の捉え方は、日本画における「平面性」や「装飾的な空間意識」を彷彿とさせ、鮭や野菜、器、といったモチーフの単純化された形態や明快な色彩とともに、どこか静かな緊張感と親しみ深さを生み出しています。
(上岡審査員)

画面右側から中央にかけて植物が伸びており、全体的に淡い色で描かれている。

市議会議長賞「きざし」
白の絵の具をうすく溶き塗り重ねた、白いヴェールがかかったかのような表現です。見る者の視線を定まらないまま画面の内部へと導き、形態は確かにそこに存在しているのに、掴もうとすると溶けていくような、意識と無意識のあわいに触れる感覚が呼び起こされます。曖昧さや不確かさ、その揺らぎによって、見るという行為そのものが問い直される、静かながらも深い余韻を残す作品です。
(上岡審査員)

彫刻・工芸部門

入賞者(敬称略)
作品名 受賞者
市展賞 Social(人々の交わり) 室谷 すて美
教育長賞 欅拭漆壺「壺中天」 鈴村 博司
市議会議長賞 心経仏 中川 善雄

総評

数は少なかったのですが、出品されたそれぞれの作品からは、どのようにして想いを伝えればよいか、苦労、工夫されてる姿が思い浮かびます。その困っている時間、目の前の作品の進み具合は停滞してしまうのですが、作者自身の内側が創られている時間なので、焦らず、勇気を持って作品に取り組んでください。
(柿本審査員)

黒色の背景に野菜が上下に密集して配置されており、中央は野菜が上下を行きかうように配置されている、額の中にある作品。

市展賞「Social(人々の交わり)」
感情を押し殺したような深い黒色に、時の流れを意識させる力強い縦の直線、その空間に、野菜の持つ優しい有機的な「かたち」を配置することで、楽しく不思議で、魅力的な世界が表現できたと思います。遙かなる時間の流れのなか、煌めく銀河の世界にも、多くの生命の営みがあるような夢を広げてくれます。
(柿本審査員)

深い茶色の壺で、輪切りされたような隙間がある。

教育長賞「欅拭漆壺『壺中天』」
木目が美しい艶を持つ欅に、包容力のある繊細なふくらみのあるかたちを与え、漆で一段と気高い作品に仕上がりました。周りを静謐な空気に変えることができる深い作品です。
(柿本審査員)

竹の中央に仏像が、その背景に経文が彫られている。

市議会議長賞「心経仏」
堅くて裂けやすい扱いにくい素材の竹に細かな細工が施され、静かでほのかな灯りの中、御仏のお姿と教えが浮かび上がり、敬虔な気持ちになりました。
(柿本審査員)

書部門

入賞者(敬称略)
作品名 受賞者
市展賞 顧況詩 柴田 翠湖
教育長賞 胡奎詩 後藤 如穂
市議会議長賞 短詩堀口大學 橋本 美代子

総評

多様多彩な表現が集まった本展は、とても個性的な作品が多く、楽しく審査させていただきました。古典を基調として、確かな用筆をもって仕上げられた作、堂々と朗々と運筆された大字、紙墨の可能性を探る意欲作等々、すばらしいものが多く、大変刺激を受ける審査でした。さまざまな書作品が一堂に会する本展は、それぞれの個性と創意が響き合う展示となりました。来年度もさらなる多くの出品を願い、一層充実した展覧会になる事を期待しています。
(尾西審査員)

筆使いのリズムが楽しい堂々とした書

市展賞「顧況詩」
堂々とした用筆で堂々と書き上げられた本作は、変化に富んだ自由な造形と周到なまとまりを見せる秀作である。行の流れの美しさは圧巻で、一番の魅力となっている。特に筆使いのリズムの楽しさは本作の見どころと言えよう。
(尾西審査員)

重厚で気韻に満ちており、文字の大小を巧みに配置している書

教育長賞「胡奎詩」
重厚で気韻に満ちた力作である。文字の大小を巧みに配置して紙面の変化を出している点がすばらしい。また、雄渾な線質で深さと強さを演出しているところも高く評価される。
(尾西審査員)

大胆な墨色の変化が強く印象に残る緩急豊かな書

市議会議長賞「短詩堀口大學」
大胆な墨色の変化が強く印象に残る作品。墨量の多い所はおだやかに書かれ、所々に見せる細身の鋭い線で変化を出す。線と墨を巧みに使って緩急豊かに表現された本作は、書の多様な魅力を示す表現の高い作である。
(尾西審査員)

写真部門

入賞者(敬称略)
作品名 受賞者
市展賞 眼光 桑原 達夫
教育長賞 とおせんぼ 古川 夏子
市議会議長賞 余の景 杉谷 眞人
米原市商工会長賞 ドレスアップ 尼崎 依子
米原ライオンズクラブ賞 静かなる時の中で 細野 直彦
BBCびわ湖放送賞 春のあしおと 杉田 峰子
佳作 夢を乗せて 香水 秀和
佳作 きらめく花の雫 坂本 一博
佳作 影の年輪 石田 茂未
佳作 靄る朝 草野 秀憲
佳作 下校中 増田 辰也
佳作 挽夏光 櫻井 廣治
佳作 浪漫飛行 川崎 和夫
佳作 息吹の刻 猪田 澄和
佳作 花よりキャベツ 木下 三千代

総評

今回の写真部門には103点もの作品が出展され、それぞれに作者の視点や関心が感じられ、非常に見応えのある展示となっていました。全体としては風景写真が多く、自然の美しさや季節の移ろいを丁寧に捉えた作品が数多く見受けられました。なかでも、独創的な視点で撮影された作品や、作家自身のまなざしが感じられる作品、そしてプリントの美しさが際立つ作品には自然と目を惹かれ、高く評価させていただきました。一方で、黒マット・黒額による落ち着いた額装が圧倒的に多い点は、例年通りの傾向という印象も受けました。作品によっては内容と額装が十分に噛み合っておらず、惜しく感じられるものもありました。写真作品において額装は単なる付属的な要素ではなく、作品世界をどのように鑑賞者へ届けるかという重要な表現の一部です。実際、今回の審査でも作品内容と額装が美しく呼応している作品は、展示空間の中で自然と存在感を放っており、特に目を惹かれ印象に残りました。撮影技術だけでなく「作品としてどう見せるか」という視点も大切にしながら、今後さらに豊かな写真表現へと発展していくことを期待しております。来年もまた、新たな表現に出会えることを心より楽しみにしています。
(キリコ審査員)

二匹の黒猫が並んで座っており、二匹の黄色の瞳が光っている写真

市展賞「眼光」
暗闇の中に静かに存在感を放つ2匹の黒猫と、その中に光る眼光の鋭さが印象に残る作品です。黒という色彩を主題としながらも、毛並みの質感や、光の諧調が非常に繊細に表現されており、プリントの完成度も高く、暗部の中に豊かな奥行きと美しさを感じます。一見すると柔らかな布の上でくつろぐ猫たちの姿のようにも見えますが、実際には漁港の網の上であることに驚かされました。その意外性によって作品に独特の緊張感と物語性が生まれ、何気ない日常の風景の中から、作者が確かな観察眼と美意識を持って切り取られた1枚であることが伝わってくる素晴らしい作品でした。
(キリコ審査員)

竹林の下の方にホタルが飛び交っており、倒れた竹が道を塞いでいる写真

教育長賞「とおせんぼ」
荒れた竹林の空間に無数の蛍の光が舞い、その幻想的な情景がとても美しく感じました。奥へとつづく竹の線や、画面を斜めに横切る竹の構成によって視線にリズムが生まれ、空間全体に奥行きと動きを感じさせます。その中で発光する無数の蛍の光が、現実の風景でありながら夢の中の情景のような感覚を呼び起こさせ、まさに自然の神秘的な美しさを強く感じさせる1枚になっていると思います。
(キリコ審査員)

薄暗く霧がかった湖にポツリと植物が湖面から顔を出している写真

市議会議長賞「余の景」
静かな水面の中に一本の草木が佇むその光景は極めてシンプルでありながら、普遍性を持つ美しさが感じられる作品でした。モノクロームによって色彩を削ぎ落とすことで、空や水面の階調、わずかな光の移ろいが際立ち、画面全体に静謐で詩的な雰囲気が漂っています。また作品に合わせて選ばれた柔らかな木製フレームも素敵で、作品の持つ世界観をより引き立てていました。
(キリコ審査員)

芸術協会会長賞

色とりどりの物が押し入れに隙間なく詰め込まれている。上の段と下の段に分かれており、上の段がキャンバスの半分以上を構成している。

芸術協会会長賞「押入れ」
この作者の思いもよらない視点に驚かされる。誰もがあまり関心を持たないモチーフを描こうとするコンセプトがどこにあるのかは興味深い。押入れの中の整理されない荷物の大変さよりも、興味が先行した作者の複雑な感情が、生活の裏側の気配を感じさせているようで面白い。あたかも画面一杯に雑多な荷物を構成したごとく、抽象的な表現が見え隠れしている辺りは新鮮である。

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