重要文化的景観「東草野の山村景観」

更新日:2017年11月30日

平成26年3月18日付けの国の官報告示を経まして、米原市の「東草野の山村景観」が国の重要文化的景観に選定されました。

これにより東草野の山村景観は、全国で39件目、滋賀県内で4件目の選定となります。さらに今までは琵琶湖に近い水辺の景観だけでしたが、今回県内では初めて、山間地域での選定となりました。

滋賀県米原市東草野地域の白黒写真

東草野地域

名称

  • 東草野の山村景観

選定基準

複合景観

  • ため池・水路・港などの水の利用に関する景観地
  • 道・広場などの流通・往来に関する景観地
  • 垣根・屋敷林などの居住に関する景観地

選定面積

申請範囲の地図

所在地 滋賀県米原市甲津原、曲谷、甲賀、吉槻

面積 2365.5ヘクタール

概要

流通往来の概略図

東草野は,滋賀県の北東部に位置する伊吹山地の西麓に所在し,姉川上流の谷部に形成された山村です。峠を介し,隣接する岐阜県旧坂内村や滋賀県旧浅井町等との流通・往来が古くから盛んであったことは,例えば県境を越えて行われる「廻り仏」など習俗に表れています。

 

東草野は西日本屈指の豪雪地であり,冬季には集落内でも約3メートルにもなる積雪があります。そのため,民家はカイダレと呼ばれる長い庇を備えており,軒下に積雪時も使用可能な作業場を確保するほか,敷地内に設えられたイケ・カワト等は消雪に用いられるなど,豪雪に対応した生活の在り方が認められます。

東草野の基本的な生業は農業でしたが,甲津原の麻織,曲谷の石臼,甲賀の竹刀など,冬季を中心とした特徴的な副業が集落ごとに発達しました。また,東草野の最南部に位置する吉槻は南北および東西の交通路の結節点であり,行政施設・商店等が集積する中心地として機能してきました。

このように,東草野の山村景観は,滋賀県北東部の姉川上流において,峠を介した流通・往来によって発達した景観地で,カイダレなど独特の設備を備えた民家形態や,集落ごとに発達した副業など,豪雪に対応した生活・生業によって形成された文化的景観です。

用語説明

廻り仏(まわりぼとけ)

浄土真宗の特定の法主の御影や消息を巡回して法要を営みます。滋賀県の湖北地域から北陸に広く存在し、東草野では顕如(けんにょ)・教如(きょうにょ)の絵像をまわしており、甲津原の行徳寺(ぎょうとくじ)から岐阜県揖斐川町の旧坂内村の寺院を回り、その後吉槻の光泉寺(こうせんじ)へと回っています。

カイダレ

東草野の伝統的な家屋に見られる特徴的な家屋構造です。軒を大きく出すことで、積雪時の入口機能を確保や、収穫期に天日干しにしていた農作物を急な降雨から退避させるためにも役立っています。

イケ

集落内の水路や湧水を引き込んで貯水している施設です。

カワト

集落内の水路に板やコンクリートでせき止めて利用し、かつては洗濯、食器や野菜などの洗いものに利用されていました。

東草野の峠

甲津原から岐阜県揖斐川町(旧坂内村、久瀬村)へ通じる新穂峠(しんぽとうげ)、品又峠(しなまたとうげ)、鳥越峠(とりごえとうげ)と、吉槻から長浜市(旧浅井町鍛冶屋)へとつながる七曲峠(ななまがりとうげ)が存在しています。これらの峠を介した人や物の往来が盛んであり、中でも「廻り仏」といった習俗は他地域との交流が顕著に表れています。

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