○米原市太陽光発電施設の設置と生活環境等との調和に関する条例

令和4年3月23日

条例第5号

近年、地球温暖化の要因として、世界各地を記録的な熱波が襲い、大規模な森林火災を引き起こすとともに、ハリケーンや洪水が未曽有の被害をもたらしている。

私たちは、この地球温暖化の問題を克服すべく、1日も早い脱炭素社会の実現に向けて、太陽光発電をはじめとする地域資源を利用した再生可能エネルギーを早期に、かつ、飛躍的に普及させ、持続可能で豊かな社会へ転換することが必要である。

太陽光発電は、有効な発電方法として広く普及し推進が図られているが、一方で、太陽光発電の施設の設置に一定規模以上の土地を必要とすることや長期的な事業であることから、施設の設置に伴う災害発生の危険性や景観および生活環境への影響に対する不安が高まっている。

脱炭素社会の実現には、太陽光発電が積極的に導入されることと同時に、太陽光発電施設が米原市の美しい自然環境および市民の安全安心な生活環境と調和し、適正に維持管理されることが重要である。

ここに、太陽光発電施設の設置と生活環境等との調和に関する必要な事項を定めるため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、太陽光発電の普及推進および太陽光発電施設の設置と米原市環境基本条例(平成18年米原市条例第44号)第2条第2号に規定する良好な環境(以下「生活環境等」という。)との調和のために必要な事項を定め、脱炭素社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 太陽光発電施設 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項に規定する再生可能エネルギー発電設備のうち、同条第4項第1号に規定する太陽光を再生可能エネルギー源とする設備(送電に係る電柱等および建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物の屋根または屋上に設置する太陽光発電施設を除く。)をいう。

(2) 設置事業 太陽光発電施設を設置する事業または太陽光発電施設を設置するために行う樹木等の伐採、土地の造成等による区画形質の変更を行う事業をいう。

(3) 発電事業 太陽光発電施設を用いて発電を行う事業をいう。

(4) 事業者 設置事業および発電事業を行う者をいう。

(5) 事業区域 設置事業および発電事業を行う一団の土地(太陽光発電施設に付属する管理施設、変電施設、緩衝帯等に係る土地を含む。)をいう。

(6) 土地所有者等 事業区域に係る土地の所有者、占有者または管理者をいう。

(7) 関係住民等 発電事業に伴い生活環境等に著しい影響を受けるおそれがある者をいう。

(市の責務)

第3条 市は、第1条の目的を達成するため、営農型太陽光発電施設(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則(平成24年経済産業省令第46号)第5条第9号の2に規定する特定営農型太陽光発電設備をいう。以下同じ。)等の太陽光発電施設と生活環境等の一層の調和および適正な太陽光発電施設の導入等の促進に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。

2 市は、管理する施設での電気の使用に当たっては、太陽光発電等の再生可能エネルギー(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第2条第4項各号に規定するエネルギー源をいう。)の利用に努めなければならない。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、設置事業および発電事業の実施に当たり、関係法令およびこの条例を遵守し、生活環境等に十分配慮するとともに、災害等が発生することのないよう必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、関係住民等の意見を聴き、その意見を尊重し、常に関係住民等と良好な関係を保つため適切な対策を講じなければならない。

3 事業者は、計画的に資金を積み立てることその他の方法により、次に掲げる費用を確保しなければならない。

(1) 太陽光発電施設の維持管理に要する費用

(2) 太陽光発電施設の解体および撤去ならびにこれに伴い発生する廃棄物を処理するために必要な費用その他太陽光発電施設の廃止に要する費用

(土地所有者等の責務)

第5条 土地所有者等は、災害の発生を助長し、または生活環境等を損なうおそれのある事業者に対して、当該土地を使用させることのないよう努めなければならない。

(設置禁止区域)

第6条 事業者は、災害の防止および生活環境等の保全のため、次の各号に掲げる区域に太陽光発電施設を設置してはならない。

(1) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項に規定する地すべり防止区域

(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項に規定する急傾斜地崩壊危険区域

(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項に規定する土砂災害特別警戒区域

(4) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第3号に規定する国定公園の区域

(5) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第134条第1項に規定する重要文化的景観として選定されている区域(営農型太陽光発電施設を設置する場合を除く。)

(関係住民等への説明)

第7条 次条第4項または第5項に規定する許可を受け太陽光発電施設を設置し、または事業計画を変更しようとする者は、当該事業区域の関係住民等に対して理解が得られるよう太陽光発電施設の事業計画等について説明しなければならない。

(申請および許可)

第8条 事業区域の面積が1,000平方メートル以上の敷地で発電事業を実施しようとする者(以下「申請者」という。)は、設置事業および発電事業に係る事業計画その他規則で定める書類を添付して当該設置工事を着手する日の60日前までに市長に申請しなければならない。

2 前項に掲げる事業区域の面積は、実質的に1つと認められる事業区域で複数の太陽光発電施設に分割して設置する場合においては、その面積を合算するものとする。

3 市長は、第1項の申請の事業計画が他の市町の区域の生活環境等に影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、関係する市町長および行政機関の長に対し、その旨を通知し、意見を求めるものとする。

4 市長は、第1項の申請があったときは、事業計画等を審査し、設置事業および発電事業が適当であると認められるときは、当該申請者に必要に応じて条件を付して事業計画の許可を行うものとする。ただし、市長は、当該申請者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可しないものとする。

(1) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者であるとき。

(2) 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないとき。

(3) 第15条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないとき。

(4) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員(以下この項において「暴力団員」という。)または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者であるとき。

(5) 申請者が法人である場合において、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号において「役員」という。)または第1項の申請の日前5年以内に当該法人の役員であった者が第1号から前号までのいずれかに該当するとき。

5 第4項の規定による許可を受けた事業者(以下「許可事業者」という。)は、許可を受けた事業計画に定める事項を変更しようとするときは、速やかに第1項の申請手続の例により市長の許可を受けなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更の場合は、この限りでない。

(工事着手および完了の届出)

第9条 許可事業者は、当該許可に係る設置事業に着手したときおよび完了したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。当該設置事業を中止したときも、同様とする。

2 市長は、前項の規定による完了の届出があったときは、速やかに届出の内容について検査し、適合していると認めたときは、その旨を事業者に通知するものとする。

(維持管理)

第10条 事業者は、発電事業を実施する間、災害および生活環境等の保全上に支障が生じないよう、太陽光発電施設および事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう維持管理しなければならない。

(事業継承)

第11条 許可事業者から相続、譲渡その他の方法によりその事業を承継した者は、承継した日から起算して30日以内に市長に届け出なければならない。

2 前項の事業を承継した者は、第8条第4項または第5項の許可により付された条件についても承継するものとする。

(実施状況の確認)

第12条 許可事業者は、第8条第4項または第5項の許可を受けた日から5年経過後速やかに許可を受けた事業計画に係る発電事業の実施状況について確認し、その状況を市長に報告しなければならない。

2 前項による報告した日から5年経過後において、前項の例により許可を受けた事業計画に係る発電事業の実施状況を市長に報告し、以後も同様とする。

(立入検査)

第13条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において職員に許可事業者の事務所または事業区域に立ち入り、事業の状況もしくは施設、帳簿、書類の検査その他必要な調査をさせ、または関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査の権限は、これを犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(報告の徴収)

第14条 市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、許可事業者に対し、設置事業および発電事業に関し、報告または資料の提出を求めることができる。

(許可の取消し)

第15条 市長は、許可事業者が次の各号にいずれかに該当すると認めるときは、第8条第4項または第5項に規定する許可を取り消すことができる。

(1) 虚偽その他不正な手段により許可を受けたとき。

(2) 許可を受けた日から起算して1年を経過した日までに設置事業に着手しなかったとき。

(3) 許可を受け、設置事業に着手した日後1年を超える期間引き続き当該設置事業を行っていないとき。

(廃止の届出)

第16条 許可事業者は、太陽光発電施設を廃止しようとするときは、廃止しようとする日の30日前までに、その旨を市長に届け出なければならない。

2 許可事業者は、事業計画に定めた廃止後において行う措置を適切に行うとともに、太陽光発電施設の廃止が完了したときは、その完了の日から起算して30日以内に、その旨を市長に届け出なければならない。

(発電事業終了時の適正処分)

第17条 事業者は、太陽光発電施設を廃止したときは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)その他関係法令に基づき、速やかに撤去し、適正な処分を行わなければならない。

(指導、助言および勧告)

第18条 市長は、必要があると認めるときは、許可事業者に対し、必要な措置を講ずるよう指導または助言を行うことができる。

2 市長は、許可事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第8条第4項または第5項の規定による許可に付した条件に違反したとき。

(2) 正当な理由なく第8条第4項または第5項の規定による許可を受ける前に設置工事に着手し、または発電事業を行ったとき。

(3) 発電事業の適正な維持管理を怠り、事業区域外に被害を与えたとき、または被害を与えるおそれがあるとき。

(4) 第13条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げもしくは忌避し、または同項の規定による質問に対して答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をしたとき。

(5) 第14条の規定による報告もしくは資料を提出せず、または虚偽の報告もしくは資料を提出したとき。

(6) 第16条第2項の規定による太陽光発電施設の廃止後に行う措置を講じなかったとき。

(7) 設置事業または発電事業が生活環境等に重大な影響を及ぼすおそれがあると認めるとき。

(8) 前項の指導または助言に正当な理由なく従わなかったとき。

3 許可事業者は、前2項に規定する指導、助言または勧告を受けたときは、当該指導、助言または勧告により講じた措置の内容について、速やかに市長に報告しなければならない。

(命令)

第19条 市長は、許可事業者が正当な理由なく、前条第2項の規定による勧告に従わないときは、期限を定めて必要な措置を講ずることを命ずることができる。

2 許可事業者は、前項に規定する命令を受けたときは、当該命令により講じた措置の内容について、速やかに市長に報告しなければならない。

(公表)

第20条 市長は、前条第1項の規定による命令を受けた許可事業者が正当な理由なく当該命令に従わないときは、当該許可事業者の氏名および住所(法人その他の団体にあっては、その名称および代表者の氏名ならびに主たる事務所の所在地)ならびに当該命令の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定による公表を行うときは、あらかじめ当該許可事業者にその理由を通知し、弁明の機会を与えなければならない。

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく開発行為許可書の交付を受けている者は、この条例の第8条第4項の許可を受けることを要しない。

米原市太陽光発電施設の設置と生活環境等との調和に関する条例

令和4年3月23日 条例第5号

(令和4年4月1日施行)