○手と手をつなぐ 米原市手話言語条例
平成30年3月23日
条例第4号
手話は、手指もしくは体の動きまたは表情を使って視覚的に表現し、ろう者がその意思を表示し、情報を取得し、および相互にコミュニケーションを図るために必要な言語です。ろう者は、物事を考え、知識を蓄え、または文化を創造するために、手話を大切に育んできました。
一方、我が国におけるろう教育の歴史をみると、その初期には手話による教育を中心としていたものの、その後、読話・発語を中心とする口話教育が取り入れられたことにより、ろう教育における手話の使用が事実上禁止されるなど、手話は言語として認められず、長くその使用が制約された時期がありました。
障害者の権利に関する条約および障害者基本法において手話が言語として位置付けられ、また平成28年4月には障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されるなど、地域における共生社会の実現のための施策の推進が期待されています。
このような状況を踏まえ、米原市は手話に関する施策を一層推進し、手話やろう者に対する理解を広げるとともに、聴覚障がいの有無にかかわらず市民が安心して心豊かに暮らすことができる共生社会の実現を目指し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話に対する理解の促進および手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市の責務ならびに市民および事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、市民の手話の習得および獲得機会の確保を図り、もって手話を使用する市民が安心して心豊かに暮らすことができる共生社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 市民 市内に住所を有する者、市内で働く者および学ぶ者をいう。
(2) ろう者 聴覚に障がいのある者のうち、手話を言語として、日常生活および社会生活を営む者をいう。
(3) 事業者 市内で事業を行う個人、法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 手話に対する理解の促進および手話を使用しやすい環境の構築は、手話が言語であるとの認識に基づき、市民が手話により相互に意思を伝え合う権利を有し、その権利は尊重されることを基本として行わなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、手話を使用する市民が手話により自立した生活を営むとともに当該市民の社会参加を促進するため、必要な施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 市は、前項の施策の推進に当たっては、国、県その他の関係機関および手話に関わる団体と連携し、協力して行うものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、相互に手話に対する理解を深め、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、手話に対する理解を深め、市が推進する手話に関する施策に協力するとともに、ろう者が利用しやすいサービスを提供およびろう者が働きやすい環境を整備するように努めるものとする。
(施策の推進方針の策定)
第7条 市は、第4条の規定に基づき、次に掲げる事項に係る施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定するものとする。
(1) 手話の普及啓発に関する事項
(2) 手話の習得および獲得機会の確保に関する事項
(3) 手話による情報発信および情報取得ならびに手話を使用しやすい環境の構築に関する事項
(4) 手話による意思疎通支援の拡充に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
2 施策の推進方針の策定に当たっては、市が別に定める障がい者に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
3 市長は、施策の推進方針の策定、実施状況の点検その他手話に関する施策の推進に関する事項については、米原市手話施策推進会議においてその意見を聴くものとする。
(手話を学ぶ機会の確保)
第8条 市は、ろう者、手話通訳者その他手話を使用することができる者および手話に関わる団体と協力して、市民に手話を学ぶ機会を提供するよう努めるものとする。
(学校における手話の普及)
第9条 市は、学校での教育活動において、手話への理解を促進し、手話を学ぶ機会および手話に触れる機会の確保に努めるものとする。
(事業者への支援)
第10条 市は、ろう者が手話を使用しやすい環境を構築するために事業者が行う取組に対して、必要な支援を行うよう努めるものとする。
(災害時の支援)
第11条 市は、災害時において、ろう者が必要な情報を迅速に得ることができるよう、情報の発信および意思疎通に必要な支援を講ずるものとする。
(施策の横断的な取組)
第12条 市は、手話に関する施策を効果的に推進するため、施策の推進方針に掲げる事項について、部局横断的に取り組まなければならない。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
付則
この条例は、平成30年4月1日から施行する。