○米原市空家等の発生予防、管理および活用の推進に関する条例

平成27年3月24日

条例第3号

米原市における中山間地域から始まった人口減少は、空家等の発生の誘因となり、その状況は、今や一部の地域にとどまらず全市域に広がっている。

空家等の増加は、防災、防犯、生活環境および景観の保全上多くの問題を招き、集落の将来に不安を与えるなど、地域コミュニティの活力低下に大きな影響を及ぼしている。

一方、水源の里まいばらの暮らしと文化を反映し、今日に引き継がれた建築物群は、地域の魅力を伝える特徴ある景観の一部として評価されている。国の重要文化的景観に選定された「東草野の山村景観」など、管理が十分なされている空家を含め、集落を構成する建築物およびその景観を、地域の活性化の資源として活用することに、今大きな期待が寄せられている。

私たち米原市民は、空家等についての強い問題意識を共有する中で、50年先、100年先の世代に残すべき地域の姿を創造し、空家にしない、させない、ほっとかないを原則とする空家等の発生予防に取り組むとともに、地域ぐるみでその活用等を推進するため、ここに米原市空家等の発生予防、管理および活用の推進に関する条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、空家等の発生の予防、適正な管理および活用ならびに空家等の跡地の活用(以下「空家等の活用等」という。)に関し、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)に定めるもののほか、必要な事項を定めることにより、空家等管理の重要性を明確にするとともに、活用等を総合的に推進し、もって安心かつ安全な生活環境の確保、地域コミュニティの活性化、まちづくりの活動促進および地域の良好な景観の保全に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 空家等 建築物またはこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるものおよびその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国または地方公共団体が所有し、または管理するものを除く。

(2) 空家等の跡地 除却した空家等に係る跡地をいう。ただし、当該土地を販売し、または賃貸する事業を行うものが販売し、または賃貸するために所有し、または管理するものを除く。

(3) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。

(4) 地域コミュニティ 本市の区域内における地域住民相互のつながりを基礎とする地域社会をいう。

(5) 所有者等 所有者または管理者をいう。

(6) 事業者 本市の区域内において不動産業、建設業その他の空家等の活用等と関連する事業を営む者をいう。

(7) 市民自治組織 地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項の規定に基づく市長の認可を受けた地縁による団体およびこれに類する組織をいう。

(8) 市民活動団体等 地域コミュニティの活性化またはまちづくりの活動の促進に関わる市民活動団体および空家等の利活用等の支援を目的に活動する市民活動団体(ボランティア活動その他の公益的な活動を行うことを目的として市民が組織する団体をいう。)その他の団体をいう。

(9) 市民等 市民および本市の区域内に存する建築物の所有者等をいう。ただし、空家等の所有者等を除く。

(10) 特定空家等 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

2 前項各号に定めるもののほか、この条例において使用する用語は、法において使用する用語の例による。

(基本理念)

第3条 空家等の活用等は、次に掲げる事項を基本理念として取り組まなければならない。

(1) 地域内における建築物は、地域の景観と人々の暮らしの文化および地域コミュニティを構成する重要な要素であるとともに、安心安全な生活環境の確保および地域の良好な景観の保全をはじめとする重要な公共性を担っていることを鑑み、その利用および管理が図られること。

(2) 空家等および空家等の跡地(以下「空家および跡地」という。)は地域コミュニティの有用な資源として、積極的な活用が図られること。

(3) 空家等の活用等は、既存の建築物の保全、活用および流通を促進する見地から推進されること。

(4) 空家等の活用等は、地域コミュニティの活性化を図るという観点から推進されること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、空家等の活用等を総合的に推進しなければならない。

2 市は、空家等の活用等を推進するに当たり、所有者等、事業者、市民自治組織、市民活動団体等の参加および協力を促すとともに、当該所有者等が行う空家等の活用等に関する取組に対し必要な支援を行わなければならない。

3 市は、空家等に関する施策について総合的に調整し、および推進するために必要な措置を講じなければならない。

(市民等の責務)

第5条 市民等は、基本理念にのっとり、空家等の活用等に協力するとともに、空家等の発生の予防に努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、空家等の活用等に協力するとともに、空家および跡地の活用および流通の促進に努めなければならない。

(市民自治組織および市民活動団体等の役割)

第7条 市民自治組織および市民活動団体等は、空家および跡地が地域コミュニティの有用な資源であることを踏まえ、その状況および所有者等に関する情報の把握ならびに所有者等とのコミュニケーションの確保に努め、流通の促進に関わる事業者への情報の提供等、空家等の活用等の推進に積極的に協力するものとする。

(相互の連携と協力)

第8条 市、市民等、空家等の所有者等、事業者、市民自治組織および市民活動団体等は、この条例の目的を達成するため、相互にその役割を理解し、連携し、および協力するものとする。

(基本的な施策)

第9条 市は、空家等の活用等を推進するため、次に掲げる基本的な施策を実施する。

(1) 法第6条に規定する空家等対策計画の策定

(2) 空家等に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置

(3) 空家等の活用等に関する広報および啓発

(4) 空家等の活用等に協働で取り組む組織の育成

(5) 空家等の活用等に関する相談に応じる総合窓口の設置

(6) 市民等、空家等の所有者等、事業者、市民自治組織および市民活動団体等が相互に理解し、および協力するための交流の機会の提供その他必要な措置

(空家等の発生予防)

第10条 建築物の所有者等は、当該建築物の老朽化、未登記その他将来において空家等の発生原因となるおそれがあるときは、当該建築物の改修、除却および登記その他空家等の発生を予防するために必要な措置を講じなければならない。

2 地域の景観およびコミュニティを構成する重要な要素となっている建築物の所有者等は、当該建築物の所在する市民自治組織および市民活動団体等と連携し、保全する見地から、当該建築物の管理および空家等の発生の予防に取り組まなければならない。

3 市は、前項の既存建築物の保全のために必要な支援その他空家等の発生の予防に資する措置を講じるものとする。

(空家および跡地の活用)

第11条 空家および跡地の所有者等は、当該空家および跡地を利用する見込みがないときは、賃貸、譲渡その他これを活用するための取組を行うよう努めなければならない。

2 事業者、市民自治組織および市民活動団体等は、前項の取組に協力するよう努めなければならない。

3 空家等の所有者等は、その利用の見込みがなく取り壊す空家等から発生する建築材の再利用および再資源化に努めるものとする。

(空家等の適正管理)

第12条 空家等の所有者等は、当該空家等が特定空家等となることにより地域住民の生活環境や景観に悪影響を及ぼさないよう、自らの責任において次に掲げる事項に取り組まなければならない。

(1) 空家等が特定空家等とならないよう、適正に管理すること。

(2) 空家等が特定空家等にあるときは、直ちにその状態を解消すること。

(情報提供)

第13条 市民等、市民自治組織および市民活動団体等は、特定空家等があると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする。

(特定空家等の所有者等を確知することができない場合の対応)

第14条 市長は、特定空家等の所有者等またはその連絡先を確知することができない場合は、当該特定空家等の所在地、特定空家等と認められるその状態を解消するために執るべき措置その他市長が必要と認める事項を公表するとともに、当該事項を記載した標識を当該特定空家等に設置することができる。

(不在者財産管理人および相続財産管理人の選任申立て)

第15条 市長は、特定空家等の所有者等の所在が特定できない場合であって、公益上当該特定空家等の不在者財産管理人を選任する必要があると認めるときは、民法(明治29年法律第89号)の規定により不在者財産管理人の選任の申立てを行うものとする。

2 市長は、特定空家等の所有者等の相続人のあることが明らかでない場合であって、当該特定空家等の相続財産管理人を選任する公益上の必要があると認めるときは、民法の規定により相続財産管理人の選任の申立てを行うものとする。

(緊急措置等)

第16条 市長は、特定空家等に起因して人命、身体または財産に危害が及ぶことを避けるために緊急の措置が必要であると認めるときは、当該特定空家等の所有者等の負担において、これを避けるために必要最小限の措置を自ら行い、またはその命じた者に行わせることができる。

2 市長は、前項の緊急措置を講じたときは、当該特定空家等の所在地および当該措置の内容を当該特定空家等の所有者等に通知し、または所有者等の連絡先を確知することができない場合にあっては、これを公告しなければならない。

(軽微な措置)

第17条 市長は、特定空家等について、開放されている窓の閉鎖、扉の施錠、草刈等の軽微な措置を執ることにより地域における防災上、防犯上または生活環境もしくは景観の保全上の支障を除去し、または軽減することができると認めるときは、当該特定空家等の所有者等の負担において、必要最小限の措置を自ら行い、またはその命じた者に行わせることができる。

(関係機関等との連携)

第18条 市長は、必要があると認めるときは特定空家等の所在地およびその内容に関する情報を、関係する行政機関、市民自治組織および市民活動団体等に提供し、当該特定空家等を適正に管理するため必要な協力を要請することができる。

(意見聴取)

第19条 市長は、第9条第1項に規定する空家等対策計画の策定、特定空家等に対する措置その他空家の活用等の施策の推進に関する事項については、米原市空家等対策協議会においてその意見を聴くものとする。

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成27年7月1日から施行する。

(平成28年3月24日条例第3号)

(施行期日)

1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

(経過措置)

3 前項の規定による廃止前のそれぞれの条例および付則第6項から第25項まで(付則第21項を除く。)の規定による改正前のそれぞれの条例(以下「旧条例」という。)の規定による付属機関およびその委員その他の構成員は、この条例による相当の付属機関およびその委員その他の構成員となり、同一性を持って存続するものとし、その任期は、当該委員の残任期間とする。この条例の施行の日前に執行機関が定めるところに置かれている委員会その他の合議制の機関およびその委員その他の構成員についても、同様とする。

4 旧条例の規定によるそれぞれの付属機関に係る諮問、答申その他の行為は、この条例の規定による相当の付属機関に係る諮問、答申その他の行為とみなす。前項後段に規定する委員会その他の合議制の機関に係る諮問、答申その他の行為についても、同様とする。

米原市空家等の発生予防、管理および活用の推進に関する条例

平成27年3月24日 条例第3号

(平成28年4月1日施行)