○米原市自治基本条例

平成18年7月1日

条例第43号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 まちづくりの基本原則(第3条~第7条)

第3章 まちづくりの役割分担および協働(第8条~第12条)

第4章 市政情報の管理および運用(第13条~第15条)

第5章 市民ならびに事業者等の権利および責務(第16条・第17条)

第6章 市の責務(第18条~第23条)

第7章 地域自治活動(第24条)

第8章 他の公共機関との関係(第25条~第27条)

第9章 米原市自治基本条例推進委員会(第28条)

第10章 最高規範(第29条)

第11章 条例の改廃(第30条)

付則

米原市は、伊吹山・霊仙山、姉川・天野川そして琵琶湖をめぐる坂田郡四町が2005年に合併して生まれた市です。ホタルが飛び交い、梅花藻が咲き、豊かな湧水が潤す中、人々は自然と共生しながらその営みを続けてきました。それとともに、この地域は、古代から人やモノや情報の結び目として日本の歴史に深く関わり、東西文化の接点としてこの地域独自の文化を生み出してきました。また、人々は深い信仰心をもち助け合いながらこの地に愛着をもって住み続け、その歴史は現代におけるこの地域の文化や社会生活のあり方に深く関わっています。

合併によって、私たちは新しい力を手に入れました。それまでの個々のまちづくりを統合することで、恵まれたさまざまな地域環境を活かした新しいまちづくりをすすめる条件が整ったのです。

私たちは、地域や人々の多様性を尊重し、環境を守りつつ、歴史や文化やモノの流れの結び目としてのこの地域の役割を国際社会に広げつつ、さらに輝かしく発展させていきます。また、市民と事業者等および市の役割分担のもとに、豊かな人間性を持った人々を育み、情報の共有と協働によってこのまちをさらに充実させるために、総力を挙げて取り組んでいきます。

市民が、自主および自立の理念のもと、いつまでもこのまちに安心して住み、働き、学び続けることができるよう、ここに米原市自治基本条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、米原市が自主および自立の理念に基づき、世代を超えて住み続けられる魅力あるまちづくりを推進するための基本的な事項を定めるとともに、市民、事業者等および市の役割、権利ならびに責務等を明確にすることにより地域社会の活力を高め、米原市における自治の確立および市民福祉の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)、市内で働く者および学ぶ者をいう。

(2) 市 米原市の議会および執行機関をいう。

(3) 事業者等 次に掲げるものをいう。

 事業者 市内に事業所を有する営利法人をいう。

 団体等 市内に事務所または活動拠点を有する営利を目的としない組織および団体をいう。

 市民自治組織 市内の特定の地域を対象とする地縁団体および地縁団体に類する地縁組織をいう。

(4) 協働 まちづくりに関する役割分担に基づき、市民、事業者等および市が相互補完的に対等な立場で連携および協力をすすめることをいう。

(5) 持続的発展 世代を超えて、良好な環境、健全な地域経済および生き生きした市民の地域的連帯を享受することができる社会の発展のあり方をいう。

第2章 まちづくりの基本原則

(市民主権)

第3条 住民は米原市の主権者であり、市は住民の信託により都市経営に対し執行責任を負う。

2 市民は、まちづくりの主役であり、参加、参画および協働により、まちづくりを担うことができるものとする。

(役割分担および協働)

第4条 市民、事業者等および市は、まちづくりにおける役割分担を明確にし、相互補完および連携によって協働のまちづくりを推進するとともに、地域全体の意識の向上および人材育成に努めなければならない。

(持続的発展)

第5条 まちづくりに関する諸活動は、世代を超えた地域全体の公益を増進させるため、持続的な発展に寄与するものでなければならない。

(多様性の尊重)

第6条 すべての市民は、人として尊ばれ、不当な差別から守られる権利を有する。

2 米原市におけるまちづくりは、文化的、歴史的、地理的および環境的多様性に配慮し、市民活動および地域社会の自主性を尊重したものでなければならない。

(情報の共有)

第7条 まちづくりに関する情報は、米原市の公共的財産であり、市民、事業者等および市において共有されることを原則とする。

第3章 まちづくりの役割分担および協働

(市民の役割)

第8条 市民は、地域社会の諸活動を自ら組織し、事業者等および市と連携しつつ、地域社会の活性化および課題の解決のため、公共的活動を推進するものとする。

(事業者の役割)

第9条 事業者は、地域の経済的活力を高め、地域の雇用の確保に努めるとともに、まちづくりの利害関係者として地域社会の公益に資する資源を提供するものとする。

(団体等および市民自治組織の役割)

第10条 団体等および市民自治組織は、地域社会の公共的活動の主体として、公共的サービスを広く担うことができるものとする。

(市の役割)

第11条 市は、行政によってのみ確実かつ効率的に実施できる事務に限定するよう努め、地域社会全体の円滑かつ効率的な公共的活動に対し必要な支援を行うものとする。

(協働)

第12条 市民、事業者等および市は、まちづくりを推進するため、それぞれ自立しつつ相互補完的に役割を担い、必要に応じて協働を行うものとする。

2 市は、まちづくりにおける参加、参画および協働に関する基本事項を、相互補完の理念に基づき、その内容等について整備するものとする。

第4章 市政情報の管理および運用

(知る権利)

第13条 市民および事業者等は、まちづくりについて適切に判断し行動するために、市が管理する情報を知る権利を有するものとする。

2 市は、市民および事業者等の知る権利を保障するため、適切な時期に、適切な方法で情報を提供し、または求めに応じて情報を公開しなければならない。

(情報の整備、公開および提供)

第14条 市は、まちづくりにおける市民の参加および参画を有効に機能させるため、計画、実施および評価の段階における情報を市民に提供しなければならない。

2 執行機関は、まちづくりに係る情報を迅速に整備し、開示するとともに、わかりやすく説明する責任を果たすよう努めなければならない。

3 議会は、会議を公開するとともに、議会が保有する情報を公開し、市民および事業者等と情報の共有を図ることにより、開かれた議会運営に努めなければならない。

4 議員は、議会活動に関する情報について、市民に開示し、説明するよう努めなければならない。

(個人情報の保護)

第15条 市は、市民の自己に関する個人情報の開示、訂正等を請求する権利を保障するとともに、個人情報の保護措置を講じなければならない。

第5章 市民ならびに事業者等の権利および責務

(まちづくりへの関与)

第16条 市民および事業者等は、まちづくりの役割分担に従い、広くまちづくりにおける参加、参画および協働の権利を有する。

2 市民および事業者等は、原則として市による計画、実施および評価の活動に参画する権利を有する。

3 市民および事業者等は、米原市の公益を増進させる活動を企画または実施する場合には、その活動の自主性および自立性を損なわない範囲で、必要に応じ市の適切な支援を受ける権利を有する。

4 市民および事業者等は、まちづくりに関与する場合には、自らの意見と行動が公益を増進させるよう努めるものとする。

5 事業者等は、事業活動にあたり、市および市民の公益ならびに地域社会との調和を図るよう努めなければならない。

(市民投票)

第17条 住民は、米原市における重要な課題について住民発意による市民投票によりその総意を明確にすることができる。

2 市は、市民投票に関する制度を整備するものとし、投票権の範囲、市民投票における情報の取扱い、投票方法および投票の成立要件等市民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定める。

3 市長は、市民投票の結果を尊重しなければならない。

第6章 市の責務

(まちづくりの姿勢)

第18条 市は、米原市の持続的発展のために適切かつ効率的な都市経営を推進することにより、市民福祉の向上を図り、常に最少の費用で最大の効果を挙げるよう努めなければならない。

2 市は、まちづくりの推進にあたり、自立した都市経営の理念のもとに、健全な財政運営と計画的な事業の実施に努めなければならない。

3 市は、事業者等の組織および運営に関し、その自主性および自立性を損なうおそれのある介入または関与をしてはならない。

4 執行機関は、市民の参加、参画および協働の基盤形成を支援するため研修および啓発を行うものとする。

(倫理規範の確立)

第19条 市は、市民の信頼に応え、法令を適切に解釈し運用しなければならない。

2 市は、違法な手段による要求および米原市の行政執行に関し公正性を損なう不当な要求に応じてはならない。

3 市は、議員および市の職員が職務上受けた不当な要求を排除するため、組織的かつ制度に基づいて対応しなければならない。

4 市の職員は、議員もしくは上司から職務上明らかに違法または不当な要求を受けたと判断したときは、その命令および指示等に従わず、撤回させるために適切な対応をしなければならない。この場合、市は、当該職員に対して不当または不利益な扱いをしてはならない。

(議会の責務)

第20条 議会は、市民の意思が市政に反映され、適正な市政運営が行われるよう執行機関を監視し牽制する機能を果たさなければならない。

2 議会は、調査、政策提起および意見の提出等を活性化するため、具体的な対応をしなければならない。

(議員の責務)

第21条 議員は、住民の代表機関である議会の構成員として、自己研鑽に努め、常に市民全体の利益を行動の指針としなければならない。

(市長の責務)

第22条 市長は、米原市の代表者として主権者である市民の厳粛な信託に応え、この条例にのっとり公正かつ誠実に市政運営にあたり、持続可能な都市経営を推進しなければならない。

2 市長は、常に市民の意向を把握し、定期的に市政の基本方針を市民および事業者等にわかりやすく説明するとともに、予算編成に係る情報をわかりやすく提供しなければならない。

(職員の責務および権利)

第23条 市の職員は、市民および事業者等との協働に基づき、米原市の公益のために誠実に職責を果たし、都市経営の改善および効率的な事務の執行に努めなければならない。

2 市の職員は、職務の遂行に必要な能力を開発し、自己啓発に努め、そのために必要な支援を受けることができる。

第7章 地域自治活動

(市民自治組織)

第24条 住民は、地域社会における良好な自然的、社会的および歴史的環境の維持ならびに増進のため、共同活動を行う市民自治組織をつくることができる。

2 市民自治組織は、必要に応じ市の事業の委託を受け、市と連携して協働事業を実施することができる。

第8章 他の公共機関との関係

(他の地方公共団体等との関係)

第25条 市は、米原市の公益を増進させるために、他の地方公共団体等との広域的連携および協調を図り、まちづくりを推進するものとする。

(国および関連機関との関係)

第26条 市は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国との適切な役割分担の原則にのっとり、国およびその関連機関との適切な連携および協力をすすめるものとする。

(国際社会との関係)

第27条 市は、国際社会における諸原則ならびに国際的合意および国際機関の活動に配慮しつつ、国際社会における活動を通じて市民福祉の向上と地域社会の発展を図るように努めるものとする。

第9章 米原市自治基本条例推進委員会

(米原市自治基本条例推進委員会の設置等)

第28条 市長は、この条例の実効性を高め、市民、事業者等および市による推進体制を確保するため、米原市自治基本条例推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。

2 推進委員会は、この条例に基づく政策の制度化、事業の改善およびまちづくり体制の整備等の運営状況を定期的に検証評価し、改善点を指摘し、社会情勢に適合した運営となるよう是正等を求めることができる。

3 推進委員会は、この条例の運用に係る市民、事業者等および関係者の意見聴取等の調査を実施し、市長に意見書を提出することができる。

4 推進委員会は、この条例の改正または廃止に関する諮問に対して審議を行い、市長に答申を提出するほか、軽微な変更について意見書を提出するものとする。

5 前4項に規定するもののほか、推進委員会の組織および運営に関し、必要な事項は、別に規則で定める。

第10章 最高規範

(最高規範)

第29条 この条例は、米原市における最高規範であり、市民、事業者等および市は、この条例を遵守し、この条例を守り育て、次代に引き継ぐ責務を負う。

第11章 条例の改廃

(条例の改廃)

第30条 市長は、この条例を改正または廃止する場合には、推進委員会に意見を求め、市民投票において、その過半数の賛成を得なければならない。ただし、推進委員会が市民投票を不要と判断したとき、または軽微な変更についてはこの限りでない。

この条例は、平成18年9月1日から施行する。

米原市自治基本条例

平成18年7月1日 条例第43号

(平成18年9月1日施行)

体系情報
第1編 規/第1章 市制施行
沿革情報
平成18年7月1日 条例第43号